住むほどに好きになる、帰ってくると安心できる。横須賀の魅力

2023(令和5)年9月に定期運航の開始から15周年を迎える「YOKOSUKA軍港めぐり」。海上自衛隊とアメリカ海軍の艦船を間近で見られる日本で唯一のクルーズで、横須賀の街を感じられる貴重な体験だ。また東京湾で唯一の無人島として知られる「猿島」もインスタなどSNSを通じて注目を集め、横須賀の魅力を発信するスポットのひとつになっている。

今回は「軍港めぐり」や「猿島航路」を運航する株式会社トライアングルを訪ね、事業の概要や背景にある思い、横須賀の魅力などについてお話を伺った。

「株式会社トライアングル」の岩澤さん(右)と萑部(ささべ)さん(左)
「株式会社トライアングル」の岩澤さん(右)と萑部(ささべ)さん(左)

目次

民間企業で日本初となる海難救助の会社として設立
マイナスイメージを逆手にとった軍港めぐり
今なお新しい取り組みにチャレンジする姿勢
東京湾で唯一の無人島「猿島」に非日常の空間を求めて
海、山、自然、食、文化…を一度に味わえる街
横須賀は、住めば住むほど好きになる

 

民間企業で日本初となる海難救助の会社として設立

――まずは株式会社トライアングルの概要や歴史について教えてください。

岩澤さん 設立は1986(昭和61)年で、プレジャーボートなどの海難救助を行う会社としてスタートしたのが始まりです。当時はバブルの全盛期で、プレジャーボートやクルーザーを所有する人も多く、海でのトラブルもかなり多くあったそうです。それまでは海上保安庁がすべて対処していたようですが、トラブルの件数も多く、比較的軽微なものを扱う日本初の民間海難救助会社を設立しました。

そこから調査船や作業船、交通船、警戒船といった事業も行うようになり、海洋調査や工事など海上での支援が加わっていきました。

猿島航路の出発地となる「三笠ターミナル」
猿島航路の出発地となる「三笠ターミナル」

「三笠ターミナル」1Fには、チケットターミナルのほかに、お土産コーナー、観光案内スペースなどもある
「三笠ターミナル」1Fには、チケットターミナルのほかに、お土産コーナー、観光案内スペースなどもある

その後、ひとつの転機を迎えたのが1995(平成7)年の「猿島航路」の就航です。BtoBの海洋事業から一般のお客様を対象にした観光事業へと展開することになったのです。

私がこの会社に出会ったのはその後のことで、学生時代に猿島でバーベキュー事業のアルバイトをしたことが入社のきっかけです。正社員になるために船舶の免許も取得しましたし、2008(平成20)年から定期運航が始まった「YOKOSUKA 軍港めぐり」では、船長や案内人としてさまざまな業務を経験してきました。

 

マイナスイメージを逆手にとった軍港めぐり

――「猿島」に加え「YOKOSUKA 軍港めぐり」に事業を広げていった背景について、詳しく教えていただけますでしょうか?

岩澤さん 「YOKOSUKA 軍港めぐり」が始まった頃の話ですが、「横須賀を色で例えると何色ですか?」といったアンケートに対して“グレー”という回答が多くあったそうです。おそらく海上自衛隊やアメリカ海軍の基地のイメージが強くあったのだろうと思いますが、それを逆手にとって横須賀の魅力として発信できないかという思いで、現在の代表取締役である鈴木(隆裕)が軍港の観光クルーズを発案したことが発端です。

当初、年に数回、猿島航路の拠点である三笠桟橋からチャータークルーズを運航していたのですが、軍港をめぐるツアーの評判が良く、基地の近くから発着できるようになれば、より特化したクルーズになるだろうということで横須賀市の協力のもと定期航路化し、現在の汐入桟橋からの定期運航を開始しました。

新三笠桟橋の様子
新三笠桟橋の様子

当初は150人乗りの船で、チケットも現在のようなチケットセンターではなくキッチンカーのような移動車で発券していました。その後、需要の増加とともに定員250名の「Sea Friend 7」が就航(2016年4月)し、多くの方にご乗船いただいています。

 

――「YOKOSUKA 軍港めぐり」の概要について、教えてください。

岩澤さん 運航を開始してから15年間経つのですが、その間に培ったノウハウは大切にしたいと思っています。45分間という時間はそのままに、現在の「コースカベイサイドストアーズ」前にある汐入桟橋を出発して長浦港をまわり、再び汐入桟橋へと戻ってくる周回コースとしています。海上自衛隊の潜水艦やアメリカ海軍の艦船を間近にご覧いただける日本で唯一のクルーズで、ときには全長300mを超える空母を見ることもできますし、艦船が入港するシーンを間近にご覧いただけることもあります。

YOKOSUKA軍港めぐりの様子
YOKOSUKA軍港めぐりの様子

ここで活躍するのが案内人と呼ばれるガイドなのですが、今は9名のガイドがそれぞれ個性を生かした特色ある案内を繰り広げています。まさに臨場感あふれる観光クルーズです。

2023(令和5)年3月には、お客様の最初の接点である「汐入ターミナル」(チケット発券所)や、クルーズの起点となる「汐入桟橋」を全面的にリニューアル。桟橋は屋根がついた全天候型のプラットフォームになり、揺れも少なく安心して乗船いただけるようになりました。

猿島航路の拠点となる新三笠桟橋と停泊中の「Sea Friend ZERO」
猿島航路の拠点となる新三笠桟橋と停泊中の「Sea Friend ZERO」

 

今なお新しい取り組みにチャレンジする姿勢

――ガイドについて詳しくご紹介いただけますでしょうか?

岩澤さん 今でこそガイド付きの観光クルーズというのは全国でも珍しくありませんが、当時は決められたルートに合わせて案内テープが流れるというのが一般的でした。しかし、軍港めぐりの案内人ではマイクを使った生のアナウンスにこだわりました。

今回のリニューアルでは、ハード面に加え、ソフト面も充実させるように心がけました。その一環として、お客様と会話をしたり記念写真を一緒に撮ったりできるコミュニケーションの時間を取り入れてみました。お客様にとって乗るたびに新しい発見があったり、また乗りたいと感じていただけるようなきっかけになればと思います。

推しの案内人を探してみるのも楽しみの1つだ
推しの案内人を探してみるのも楽しみの1つだ

15年目を迎える「YOKOSUKA 軍港めぐり」ですが、当社のみならず行政も含め、横須賀全体でさまざまな取り組みをしたことによって、横須賀に対するイメージも徐々に変わってきていると思います。最近では横須賀から連想される色が海の青や自然環境のグリーンに変わって来ているらしいんです。

 

東京湾で唯一の無人島「猿島」に非日常の空間を求めて

――猿島航路についても概要についてご紹介いただけますでしょうか?

岩澤さん 猿島は東京湾で唯一の無人島と言われています。東京からも1時間圏内にある秘境として知られ、非日常の空間を求めて訪れる方も多くいらっしゃいます。歴史は古く、縄文土器の破片が見つかったことから8,000年前くらいまで遡ることができるそうです。また開国で知られるペリーの愛した島として“ペリーアイランド”と名付けられたこともあったようですし、幕末から昭和初期は要塞としての役割も果たしていました。砲台跡やレンガ造りのトンネルなど当時の遺構も数多く残されていて、日本遺産にも指定されています。

雄大な自然と歴史を感じられる「猿島」の風景
雄大な自然と歴史を感じられる「猿島」の風景

はじめて猿島を訪れる方からどんな服装や準備をしておけば良いかといった質問もいただくのですが、今は公園として整備されていてテイクアウトのレストランもありますので安心してお過ごしいただけます。ちょっと時間があるから行ってみようと気軽に来ていただけると嬉しいです。

横須賀の観光に関する感想としては、「意外と行ってみて良かった」というコメントをいただきます。訪れてみると想像以上に“非日常”の景色が見られるからか、実際に軍港めぐりや猿島に行った方から「楽しかった」とか「また行ってみたい」という声をいただくのはとっても有り難いことですね。

 

海、山、自然、食、文化…を一度に味わえる街

――横須賀で生まれ育ったおふたりからご覧になった横須賀の魅力とは?

岩澤さん そうですね、海、山、自然、食、文化そういったものを一度に味わえるところかなと思います。横須賀の人ってフットワークの軽い人が多くて、横浜、東京方面もそうですし、車に乗るようになってからは静岡方面などいろいろな場所に出かけています。

鉄道も京急線とJR線があるので交通の便も良くてまさに理想的。市内には大きい商業施設もあるので普段の生活や買い物にも不便しませんし、恵まれた生活環境だと思います。

あと最近注目しているのはアーバンスポーツです。BMXやスケートボードができる施設もあるので、子どもが大きくなったらやらせてみたいなと思っています。新しいことに先駆けて取り組んでいるのも横須賀の良いところですね。

アーバンスポーツも楽しめる「うみかぜ公園」
アーバンスポーツも楽しめる「うみかぜ公園」

学生時代は自分の生まれ育った街に興味は無かったのですが、仕事を通して横須賀のことを知り、こんなにも歴史のある街なんだなと、知れば知るほど好きになります。横須賀の人は横須賀のことをほとんど知らないのだと思います。めちゃくちゃポテンシャルがありますが、住む人にとっては当たり前となってしまっているため、気がつかないんです。最近になって歴史や観光資源もたくさんあることを知り、自分たちの街の魅力を感じられるようになって来たのかなと思います。

さまざまな横須賀の魅力を、爽やかに清々しく語っていただいた
さまざまな横須賀の魅力を、爽やかに清々しく語っていただいた

萑部さん そうですね、私も今の仕事に就くまでは猿島も軍港もなんとなくは知っていたのですが、目を向けることはなかなか無く、入社して改めて歴史の勉強をしなおしているところです。そうすると今までと違った視点で見られるようになりますし、横須賀って面白い街だなとあらためて感じています。あと、とにかく住みやすいんです!言葉にすると軽くなってしまうのですが、その一言に尽きると感じています。

 

横須賀は、住めば住むほど好きになる

――横須賀に住まわれている方、また他の地域から移住される方に向けて、メッセージをお願いいたします。

岩澤さん そうですね、横須賀はとにかく住みやすいですね。僕は自然や旅行も好きで、家族といる時間もすごく好きなので、休みがあるたびに家族でいろいろな方面に出かけています。アウトドアや公園、遊園地など子どもと一緒にいろんな遊びが楽しめますし、プライベートのオンとオフを実感できる環境だと思います。それがきっと住みやすさにつながっているんじゃないかと思います。

萑部さん 横浜まで30分、都内も1時間弱で行けますし、休みの日には京急線で三浦海岸へもすぐに行けます。

都心に行くと忙しい感じがしますが、横須賀に戻って来ると安心感みたいなものを感じるんです。静かで落ち着いているなと思いますし、一市民として住みやすくて良い街だなとあたらめて感じています。

帰ってくると安心感を感じる、そんな横須賀の街並み
帰ってくると安心感を感じる、そんな横須賀の街並み

――横須賀市の中でも横須賀中央のイメージ、魅力あるポイントとは?

岩澤さん 私にとって憧れの場所です。住んでみたいです。自然もあるしお店もあって不便なことが無い。横須賀は地域によっては車が無いと生活しづらいところもありますが、横須賀中央に住めば、きっと車は必要無いと思いますね。

萑部さん その名の通り横須賀の中央なので、なんでもあるし不自由しない。飲食できるところもたくさんあるし、落ち着いた雰囲気で飲めるお店多くなってきましたね。

岩澤さん 横須賀中央のおすすめのスポットといえばやはり「猿島」が好きですね。あとは「ヴェルニー公園」も年末のカウントダウンで行くと横須賀らしい体験ができると思います。海上自衛隊とアメリカ海軍の船が汽笛を鳴らすんです。船に搭載しているサーチライトも回って、公園に集まっている人みんなで新年のお祝いをしています。公園にも露天のお店が出たりととても良い時間を過ごせると思います。

年末のカウントダウン時には、いつもと違った盛り上がりを見せるという「ヴェルニー公園」
年末のカウントダウン時には、いつもと違った盛り上がりを見せるという「ヴェルニー公園」

萑部さん 年末年始と言えば、馬堀海岸にある「横須賀温泉 湯楽の里」もおすすめです。マボ直(馬堀海岸線沿いにある約1.8kmの直線道路)越しに、東京湾と猿島を臨む絶景の中、露天風呂が楽しめます。年末年始は入場制限される程人が集まるのですが、そういったところも含めて横須賀という街が好きです。

岩澤さん 横須賀は、住めば住むほど好きになる街って言うんですかね。私は仕事でもつながっているので、そういった魅力をどんどん発信していきたいと思っています。また、魅力の発信だけでなく、横須賀市民の方には当社の運営する「YOKOSUKA 軍港めぐり」「猿島航路」「浦賀の渡し」を半額でご利用いただけるようにするなど、住まわれる方へのメリットも付与しております。会社として地元に愛される企業、地域に必要とされる企業を目指していきたいと思っています。

 

株式会社トライアングル

岩澤さん(右)、萑部さん(左)
所在地:神奈川県横須賀市小川町27-16
電話番号:046-825-7144
URL:https://www.tryangle-web.com/
※この情報は2023(令和5)年4月時点のものです。

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