海と山の豊かな恵みから生まれる、横須賀の食の魅力にせまる

横須賀のある三浦半島は、海、山両方の自然に恵まれ、食文化も豊か。1年を通して温かく、冬も温暖な気候です。海からのミネラルを運ぶ海風が作る良質な土壌には、全国でも有名な三浦大根やキャベツなどの元気な野菜が育ちます。また、三崎マグロでおなじみの三崎港をはじめ、漁業も盛ん。そんな三浦半島が誇る“おいしい”をつなぎ、食から地域の魅力を発信していく取り組みを行っているのが、「三浦半島 食彩NETWORK」です。

今回、その活動をお話しいただくべく、合同会社オン・ザ・ハンモックの桑村さんと桒村さんにお話を伺いました。

インタビューに応える合同会社オン・ザ・ハンモック治良さん(左)と宰知子さん(右)さん 
インタビューに応える合同会社オン・ザ・ハンモック治良さん(左)と宰知子さん(右)さん 

桑村治良さんと宰知子さんはご夫婦で、ご主人の治良さんは関西、奥様の宰知子さんは藤沢の出身。そんなお2人が三浦半島に移住してまず驚いたのは、三浦半島の食の素晴らしさだったと言います。

 

目次

外から来たからわかる、食の素晴らしさ
横須賀中央でも気軽に、新鮮で多彩な食を楽しめる
「温暖な気候が美味しい食物を育む
大人も子どもも楽しめる、体験コンテンツも魅力のひとつ
ここが好き!三浦半島のおすすめ

 

外から来たからわかる、食の素晴らしさ

――まずはお取り組み、活動内容について教えてください

治良さん:「食彩NETWORK」は、三浦半島の農家、漁業者が中心となって構成されている民間団体です。エリアとしては、「鎌倉市、逗子市、葉山町、横須賀市、三浦市」の4市1町からなります。活動目的としては2つの“ショク”をPRしていこうと。まずひとつめは食べる方の「食」、ふたつめは働くという方の「職」です。「食」にまつわる「職」をつなぐネットワークを構築して、情報発信をしています。

「三浦半島 食彩ネットワーク」ホームページ
「三浦半島 食彩ネットワーク」ホームページ

メンバーには、農家・漁師さんと、食材を提供する、飲食店やサービス業者、IT企業などの方々が参加しています。

――「食彩NETWORK」を発足させた、きっかけは何だったのでしょう?

治良さん夫婦で「アプリ開発デザイン制作会社」を三浦市で起業したのですが、地域の方々に自分たちを認知してもらうために、自社のPRを含めて三浦半島の直売所巡りなどができる「地域ナビアプリ」の開発プロジェクトを発足しました。そのアプリコンテンツの制作中に、農家さんや漁師さんといった、多くの生産者の方繋がりができ、その中で、食を中心としたネットワークが誕生しました。

宰知子さん:弊社はデザインやウェブ、アプリ制作会社ですので、その強みを使って何かできないかと。そこで三浦半島では直売所が広く展開されていることに注目しました。

――直売所のどのようなところに注目されたのですか?

宰知子さん:自分は外から移住してきたので、直売所の多さに驚きました。外から来た私たちから見ると、それがとても魅力的に見えたんです。こんなに食材が豊かで、海も山もあって、素晴らしい食文化に溢れていると。ただ、地元の人に聞くと「うちは何にもないから。畑と海しかないからね」とおっしゃる方もいました。 でもこれは大きなPRポイントだと思い、直売所や朝市を紹介するアプリを作ろうということになりました。そしてアプリを制作していく上で、いろいろな方と知り合い、正式な団体を作ろうということになりました。

 

横須賀中央でも気軽に、新鮮で多彩な食を楽しめる

――豊かな食材とは、具体的にはどのようなものがありますか?

治良さん「高梨農場」という農場では、年間150種類の野菜を作っています。それだけいろいろな野菜が1年を通して採れるということ。代表的なところで言えば、大根、キャベツ、夏だとメロン、スイカとか。

宰知子さん:三浦半島には野菜直売所や卵の直売所、道の駅や漁港で開催される朝市などがあります。西に行っても東に行っても、どこでも美味しい食材を手に入れられるというのは特長だと思います。野菜は三浦大根が有名ですが、大根の種類だけでも数十種類あるんです。

治良さん横須賀中央は都会ですが、少し足を延ばせば畑が広がり、道の駅では新鮮な野菜が手に入ります。また、冬から春にかけては、この季節しか味わえないワカメの直売所も登場します。新鮮なお魚も、水産加工会社が経営するお店や朝市などで購入できたり、食べられたりします。本当に旬の食材が、気軽に購入できるということは、大きな特長だと思います。

食彩ネットワークメンバーMAP
食彩ネットワークメンバーMAP

――都内の有名レストランでも三浦半島の食材を謳うお店がありますね

治良さん東京、横浜から近いということで、都市部のレストランのシェフが直接買い付けにこられたりします。イタリアン、タイ、中華料理などの調理人の方が、こんな野菜が欲しいなどと直接話をされていたりしますので、イタリア野菜や中国野菜など色々作っている農家さんもいます。都市近郊だから、直接オーダーに応えられるというのもありますね。

――そういった珍しい野菜は、一般でも買えますか?

治良さんスーパーには並ばないような野菜が、直売所には売っていたりするので、面白いと思います。直売所には時に、買い付けに来た有名シェフのフェラーリやポルシェが止まっていたりするんですよ。(笑)

さまざまな品種の野菜が作られているのも魅力のひとつ
さまざまな品種の野菜が作られているのも魅力のひとつ

 

温暖な気候が美味しい食物を育む

――美味しい野菜ができるのは、この土地の気候などが関係していますか?

宰知子さん:1年を通して温暖な気候なのと、海風が運ぶミネラルが土に良い影響を与えるので、農家さんもこの土でできる作物を、自信をもって作っているようです。

豊かな土壌が、美味しい野菜・食品を生み出している
豊かな土壌が、美味しい野菜・食品を生み出している

治良さん年間の平均気温は温暖で暖かいですが、夏場は都心よりも気温はやや低く、冬は滅多に雪が降りません。昔は田んぼも多かったといいますが、気候に合わせて年に数回農作物が採れる畑作がどんどん広がっていったようです。

――魚、魚介類についてはどうでしょうか

治良さん三崎といえばマグロが有名ですが、東京湾では黄金鯵、あと相模湾では伊勢海老も採れるんですよ。貝類は、鮑やサザエも。三浦半島には、しらすの漁師さんもいるので、新鮮な生しらすも食べられますね。

海の幸も新鮮で多彩だ
海の幸も新鮮で多彩だ

宰知子さん:あと、タコも。それからワカメも。猿島ワカメが有名なんです。猿島ワカメの養殖を行う生産者さんも「食彩NETWORK」のメンバーです。

 

大人も子どもも楽しめる、体験コンテンツも魅力のひとつ

――「食彩NETWORK」では、さまざまな体験事業も行なっていると聞きます

治良さん農業や漁業体験、講演や料理教室など、たくさんの活動をしています。例えば農業体験では収穫体験だけではなく、どのように野菜ができて、生産者が日々どのような気持ちで作っているかまでを知って欲しいと、雑草抜き、種まきから、収穫、野菜の流通までを体験してもらって、農家さんと実際お話をする時間もあります。

宰知子さん:収穫したものを試食するという事も行なっています。小学校、中学校単位で参加を受け付け、地元の方というよりも都内近郊の方たちの参加が多かったです。それと、食育に興味のある方も多く参加されています。

治良さん都会のお子さんは、野菜が畑でどのように作られているのか知らない場合も多い。なので野菜の生産過程を見せたいという親御さんや学校の先生からのニーズも多いです。採れたてのトウモロコシを生で食べてみて甘く感じるとか、そういうところで驚きや感動を体感している姿を見ると、こちらも嬉しくなります。

生の声を聞かせてもらいながら、さまざま体験ができる
生の声を聞かせてもらいながら、さまざま体験ができる

――漁業体験ではどのような体験ができますか

治良さん漁業体験では、漁師さんと水揚げされたタコを塩揉みしたり、鯵の干物を作ったりしてきました。また水産加工会社のマグロの加工場の見学などもあります。マグロはマイナス60℃で冷凍保存するのですが、その冷凍庫に入ってもらう体験をしてもらった事もあります。

宰知子さん:鯵や鯖を捌いたり、タコを生で触ると、最初は敬遠している子どもも、一度そのフィールドに入るとイキイキとして最後まで成し遂げたり。そんな変化も実感します。

ぬるぬるしたタコを洗ったりする作業でも、子どもたちの変化がみられるという
ぬるぬるしたタコを洗ったりする作業でも、子どもたちの変化がみられるという

――料理体験などはいかがでしょうか

治良さんこれは京急百貨店さんの「COTONOWA」(ことのわ)というカルチャースクールで、定期的に料理教室などの企画をしています。また三浦の農家さんや漁師さんが講師としてお話をする企画もあります。

宰知子さん:ほかにも依頼を受けて料理教室を企画することもあります。メンバーにフードコーディネーターの方もいるので、三浦の食材を活かした料理方法を紹介していただいています。また、食材の提供者である農家さんや漁師さんに来ていただき、食材の紹介やお仕事のお話を披露してもらって料理教室を行ったこともあります。ほかにも、今年度は生涯学習センターの横須賀市民大学で「三浦半島に生きる 生産者が語る”食”の現場」という講座や神奈川大学の生涯学習講座を行うなど、幅広く活動しています。

宰知子さん:マルシェなども実施しており「横浜高島屋」さんの火曜マルシェに参加したり、横須賀中央の商業施設「リドレ横須賀」で「食彩マーケット」を不定期で開催しています。こうしたマルシェなどは食彩ネットワークのSNSで情報を発信しているんですが、固定のお客様もいて、次の開催はいつかと楽しみにしていただいています。

おうちでも気軽に体験できる、野菜づくりキットも食彩オンラインマーケットで購入できる
おうちでも気軽に体験できる、野菜づくりキットも食彩オンラインマーケットで購入できる

 

ここが好き!三浦半島のおすすめ

――三浦半島の食の魅力を伝えるお二人ですが、食以外での好きなところを教えてください。

宰知子さん:食べることも身体を動かすことも大好きです。また、自然やアウトドアが好きなのですが、横須賀周辺では、それらのどれもが気軽に楽しめるんです。山歩きもできるし、自転車もランニングもどこを走っても気持ちがいいので最高です。

治良さん海もあるしね。マリンスポーツもできる。ちょっとしたトレッキングもできますしね。

宰知子さん:都会でもあれば、自然豊かな田舎でもあるという側面があって、そこがとても気に入っています。

治良さん都心まで車や電車で1時間弱で行けますし、これまでの生活をしながら、田舎暮らしができますね。直売所に行くのも、ちょっとしたイベントのように感じられると思います。いろいろな魚や野菜などをみて、生産者の方とお話しするのもとっても楽しいです。そんなふれあいができるのも魅力だと思います。

――最後に、これから横須賀中央周辺に住まれる方々に向けてメッセージをお願いします。

宰知子さん:そうですね、都会と田舎が混在していて、自然と共に生活できるというか。生活の中に自然とオンとオフが切り変わるというか。簡単にいいますと、とても住みやすい場所です。直売所に行けば新鮮な食材も手に入るし、横須賀中央には大きなショッピングモールもあるので便利だと思います。映画館やボーリング場などもあって、雨の日でも楽しめる場所が豊富で気に入っています。

映画館も入る大型商業施設が点在する利便性の高いエリア
映画館も入る大型商業施設が点在する利便性の高いエリア

治良さん横須賀もエリアによって全く顔が異なりますね。ドブ板通りがあったり、米軍基地があったりするので、さまざまな街の表情を楽しんでもらいたいなと思います。気軽に楽しめる大衆酒場も多くあれば、地ビールやB級グルメといった独自の食文化も楽しめる。横須賀ならではの独特な文化を感じられるので、地方都市としても面白い街ですね。

宰知子さん:横須賀中央は魅力的な“食”が近くにある。ここではその食の魅力が実感できると思います。

 

海と山の豊かな恵みから生まれる、横須賀の食の魅力にせまる
海と山の豊かな恵みから生まれる、横須賀の食の魅力にせまる

合同会社 オン・ザ・ハンモック

上・代表 桑村治良(くわむら なおよし)さん 
下・デザイナー 桒村宰知子(くわむら さちこ)さん
URL:https://miura-shokusai.net
※この情報は2023(令和5)4月時点のものです。

\ 私が紹介しました/

admin