スペシャルインタビュー

この場所で良かったと思える、しあわせを感じられるまち横須賀

三浦半島の中央部に位置し、人口およそ38万人を擁する横須賀市。「品川」駅から「横須賀中央」駅まで京急線で1時間弱というアクセスにありながら、海の幸、山の幸に恵まれた豊かな自然環境をはじめ、歴史や異国情緒漂う街並みが魅力です。

今回は横須賀市役所を訪ね、上地克明市長に横須賀市の歴史やまちの魅力、今後のまちづくり、そしてそれぞれの取組みへの熱い想いをお話しいただきました。

横須賀市 上地克明市長
横須賀市 上地克明市長

 

目次

全国から多くの人が集まってできた多様性のあるまち
変わりつつあるまち、横須賀
「誰も一人にさせないまち」を目指して
しあわせを感じられるまちを目指して
横須賀中央・追浜・久里浜の3極構造で横須賀市全体を盛り上げる
豊かな自然に恵まれた子育てしやすいまち。DXなど先進的な取り組みも
海の幸、山の幸、野菜も美味しく、食文化が豊か
みなさんと一緒にしあわせを感じられるまちづくりを

 

全国から多くの人が集まってできた多様性のあるまち

――まず横須賀市の歴史、概要について教えてください。

上地市長 横須賀の歴史と言うと、文献では「古事記」や「日本書紀」に弟橘媛(おとたちばなひめ・日本武尊(やまとたけるのみこと)の妃)が海神の怒りを鎮めるために入水した場所が走水(はしりみず)として、歴史に登場しています。パワースポットとして有名な「走水神社」はこの2人を祀った神社です。

もっと遡ると、古くからこの土地で人々の営みが行われて来たことがわかる、古墳や貝塚の跡もあるので歴史的にはかなり古いでしょう。

日本中の多くの方々に大事にされ、道徳観を培ってきたと言われる「走水神社」
日本中の多くの方々に大事にされ、道徳観を培ってきたと言われる「走水神社」

近代史では、浦賀奉行所が置かれて、ペリーの来航、それから明治維新が始まって日本が近代化に向けて動き出しますが、フランソワ・レオンス・ヴェルニーというフランス人の技師を招いてできた横須賀製鉄所が日本の近代化に大きな影響を与えたと言われています。

横須賀市自体は1907(明治40)年に誕生したので、市政としては116年目を迎えたところ。もともと半農半漁の町で、今の横須賀につながる話というのはおそらく先ほどの横須賀製鉄所からの歴史なんでしょうね。戦前に海軍の鎮守府が出来て、日本全国から多くの人たちが仕事を求めて集まったまち、ということが前提としてあると思います。

そういった背景もあり、全国から集まった人たちの県人会がかつては数多くあって、助け合いの精神がすごく強いし、ダイバーシティなんて当たり前。私はそういう環境で育って来たから分かりますが、ある意味それが横須賀の匂いであり魅力である。いま多様性が大切と言われているけど、横須賀にはずっと前からそれがあったと感じています。

横須賀ではずっと昔から多様性をもって暮らしが営まれていた
横須賀ではずっと昔から多様性をもって暮らしが営まれていた

 

変わりつつあるまち、横須賀

――横須賀市にはどのようなイメージ、特徴がありますか?

上地市長 市長になったとき、自動車に「横須賀」ナンバーを導入するアンケートを実施したら、「横浜ナンバーのままでいい」という意見が多く、私にとってその結果は大変意外でした。また、横須賀を色でたとえると。という質問に対して、グレーという回答が多くて。横須賀にあまり良いイメージも持ってもらえていないと思ったので、それを変えたいとまず一番に考えています。横須賀に誇りを持ってもらえるように、まちづくりを進めなければという思いでやっています。

街を盛り上げるため、深く広い視野での考えをお話いただいた
街を盛り上げるため、深く広い視野での考えをお話いただいた

私が感じるのは横須賀には強いアイデンティティが無いのではないかということ。だから新しいアイデンティティをつくりたいという思いで、音楽・スポーツ・エンターテイメントの力を活用してまちを盛り上げることにしたんです。

外からも多くの人に来てもらう必要があると思っていますし、若い人たちの新しい視点、新しい価値観で横須賀をリメイクしてもらいたい。そのためにも新しいアイデンティティをつくることが大切だと考えています。

「YOKOSUKAビジョン2030」の表紙
「YOKOSUKAビジョン2030」の表紙

2030年に向けた市の未来像を「YOKOSUKAビジョン2030」として、その未来像を実現するため具体的な事業計画を「横須賀市再興プラン」として設定し、それに向けて政策立案や事業を推進しています。それがいまの横須賀の姿。これからの横須賀は変わって行くと思っています。

 

「誰も一人にさせないまち」を目指して

――音楽・スポーツ・エンターテイメントを活用した取り組みについてお聞かせください。

上地市長 私が最終的に望むのは理想的な社会をつくること。その理想的な社会というのは「誰も一人にさせないまち」というのがテーマで、横須賀にはもともと助け合いの精神や人と人との強い絆があるから、それを生かすことで外からいろいろな人が来たときにもその文化を広げることができると思っています。

「誰も一人にさせないまち」のキーワードが入った、「横須賀再興プラン2022-2025」の表紙
「誰も一人にさせないまち」のキーワードが入った、「横須賀再興プラン2022-2025」の表紙

それを叶えるためのツールが、音楽・スポーツ・エンターテイメント。横須賀は戦後アメリカ文化が入ってきて、それを楽しんだ人たちがたくさんいる。そんなDNAを持った横須賀だからこそ、人々をワクワクさせ、感動させてくれるスポーツや、見たり聴いたりすると元気になる音楽やエンターテイメントといった、いわばビタミンを使って、このまちに眠っている活気や賑わい、そういったものを目覚めさせたい。

これからの横須賀を担う人たちには、自由になんでもやってもらいたい。突き抜けて、宇宙まで行こうよと。才能ある人たちがたくさん出てきて、その人たちがどんどん突き抜けて活躍できるように、私は条件整備を進めていきたいと思っています。

 

しあわせを感じられるまちを目指して

――暮らしやすさという点ではいかがでしょうか?子育て、教育、医療など横須賀市で力を入れている取り組みはございますか?

上地市長 私は総合力だと思っています。生きていくということは「Well being」、つまり一生をかけてしあわせになっていくということで、一時的・瞬間的なしあわせを表現するHappinessとは少し違うと思っています。死ぬときに良い人生だったな、このまちで生きてて良かったなと思えるかどうか、それが大切だと思っています。

だから横須賀市は総合力で勝ちたい。総合力のあるまちにしたい。最近は子育て支援や医療の無償化など、個々の政策が取り上げられることが多いですが、横須賀市では福祉という概念そのものを変えようと新しい組織づくりに向けて動き出しています。

“しあわせ”や“生きるということ”を実感できる街にするため。そう語る市長の目は真っすぐだ
“しあわせ”や“生きるということ”を実感できる街にするため。そう語る市長の目は真っすぐだ

福祉というと、高齢者への対応と、赤ちゃんやその保護者のための子育て支援など、縦割りになっているのが一般的ですが、そこに横串を刺すような、赤ちゃんから高齢者まで一貫した保健活動ができるような福祉のまちづくりを進めています。

そのためには行政だけではなく地域の人たちにもそれを理解していただくことも重要なので、「誰も一人にさせないまち」というテーマを共有しつつ、みんなで支え合っていくチームを作っていきたいと考えています。

“子育て施設があるからしあわせ”、“医療費が無料だからしあわせ”ということではなく、なんとなくこのまちで暮らしてきて、しあわせだったなと思えることが本当のしあわせなんだと思っています。だから横須賀市は総合力でそういう仕組みを作っていきたい。

 

横須賀中央・追浜・久里浜の3極構造で
横須賀市全体を盛り上げる

――横須賀市の中でも横須賀中央エリアの位置付けや役割、魅力とはどういったものでしょうか?

上地市長 横須賀市にとってこの横須賀中央というのは本当に大切なところ。市役所もあるし大型商業施設や商店街、再開発計画もあって、行政的にも経済的にも重要なポジションです。ただ、若い人たちにとっては家賃が高いという側面もあるようで、商売したくてもなかなかできないという声を聴くことがあります。

「横須賀中央」駅前の様子
「横須賀中央」駅前の様子

幸いなことに新しくマンションなどが建つようになって、外からも人が入って来るようになった。外からの人が増えれば必然的にまちも商売も変わってくると思うし、逆に言えば外から人が来ない限り新しい商売もビジネスも始まらないと思います。そういった点で、横須賀中央の変化に期待しています。

ほかにも、横須賀市としては現在、北、中央、南の3極構造によって市全体を盛り上げて行こうと考えています。北の拠点としては追浜。「横浜DeNAベイスターズ」を呼び、同時に駅前の再開発も始まっています。それから南の拠点として「横浜F・マリノス」の練習場を久里浜に作ったことにより、追浜・横須賀中央・久里浜の3極構造になりましたね。

 

豊かな自然に恵まれた子育てしやすいまち。
DXなど先進的な取り組みも

――今後、横須賀市に移り住む方はどのようなことを求めて来るとお考えでしょうか?

上地市長 やはり子育てしやすい環境でしょうか。横須賀市は自然が豊かで食べ物も美味しいし、横須賀中央だけでも「三笠公園」、「平和中央公園」、「ヴェルニー公園」のほか、市役所前公園など、大小様々な公園が多い。

「ヴェルニー公園」の様子
「ヴェルニー公園」の様子

2023(令和5)年4月には「ソレイユの丘」もリニューアルオープンするなど、市内には自然とともに楽しめる場所がたくさんある。海も西と東で全く違った表情をみせるのも面白い。少し時期は過ぎてしまいましたが、「田浦梅の里」も、約2,000本以上のウメが咲きほこる、素晴らしいところです。

「かながわ花の名所100選」にも選ばれている「田浦梅の里」
「かながわ花の名所100選」にも選ばれている「田浦梅の里」

またその一方で、横須賀市は先進的なことにも取り組み、eスポーツの開催やメタバースへの参入なども検討を進めています。市役所もDX化を進めていて、職員には将来的には仕事の内容がAIに変わる時代が来るから、そのときにどうやって生きていくのかといった話もしています。

それはつまりAIにはできない、市役所の外に出て人に寄り添うことが、今後私たちにとって求められていくことなのではないかと投げかけているんです。横須賀市役所の職員3,000人が変われば、すごいまちになる。きっと日本で一番すごいまちになると。

職員が窓口業務ではなく、市役所の外に出て子育て支援したり、高齢者のお手伝いをしたり、社会のセーフティーネットとして役立つようなチームをつくりたいと思っています。

 

海の幸、山の幸、野菜も美味しく、食文化が豊か

――横須賀市の魅力についてお聞かせください。

上地市長 いっぱいありますが、ひとつは食文化が豊かなところ。海の幸もあるし、山の幸もある。よこすか野菜としてダイコンやキャベツを売り出しています。最近はイタリア野菜も有名で東京から買いに来る人もいるくらい美味しい野菜があります。

あとはご承知のように魚も鮮度の良いものが手に入るし、ちょっと山に入れば無人の販売所もあって採れたての野菜が食べられる。ほかにも「すなかごっそ」という農産物直売所もあって、市内の美味しいものがたくさんそろっているんだよね。

「よこすかポートマーケット」などでも、新鮮な魚介類や野菜が手に入る
「よこすかポートマーケット」などでも、新鮮な魚介類や野菜が手に入る

 

みなさんと一緒にしあわせを感じられるまちづくりを

――最後に、横須賀に住まわれている方、今後移り住む方に向けにメッセージをお願いします。

上地市長 やっぱりこれからの社会にはマインドの部分が必要で、生きていくためにはそれぞれの人がそれぞれのしあわせを感じられることが大切です。だからこそ、しあわせを感じられるまちにしたいと思っている。

いまお話したように、横須賀にはいろいろな魅力、いろいろな顔があって、なんでもありの懐の深さもある。そこに住む人たちにしあわせを感じていただけるようお手伝いをすることが行政の役割だと思ってます。

「横須賀市役所」
「横須賀市役所」

みなさまのご意見を聞きながら、みなさまと一緒にまちづくりをやっていきたいと思うし、横須賀市に住む方には、しあわせになっていただきたいと思います。

 

横須賀市役所

上地 克明市長
所在地:神奈川県横須賀市小川町11
電話番号:046-822-4000
URL:http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/
※この情報は2023(令和5)年4月時点のものです。

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