戸塚エリアガイドTOTSUKA AREA GUIDE

受け継がれた豊かな自然環境のもと、家族みんなで収穫体験を楽しめる場所/インタビュー「かねこふぁ~む」

舞岡ふるさと村の中にある「かねこふぁ~む」は梅、柿、農薬散布をしない有機野菜、竹の子などを栽培する農家だ。農業空間の演出をテーマに、梅まつりなど季節毎のイベントを開催し、子どもたちも楽しめる体験農業も人気がある。そして、コーヒー、紅茶、梅ジュース、手作り梅ケーキ、梅干、梅ジャムなどを販売している喫茶「あとりえ」も運営されている。周辺には木陰も多く、「舞岡公園」も一帯に見える風景に抜けていく涼風が心地よさを感じさせ、木々のざわめきや鳥のさえずりが絶え間なく聞こえてくる。今回はそんな恵まれた自然環境にある「かねこふぁ~む」の代表金子さんにお話をうかがった。

「かねこふぁ~む」代表 金子様
「かねこふぁ~む」代表 金子様

代々受け継がれてきた地で営む農園

――まずは、「かねこふぁ~む」の概要や、栽培している野菜・果物について教えください。

金子さん:記録によると、私の先祖がこの地で農業を営むようになったのは、今から約330年の元禄時代のことです。父は建築事務所を開所したため農業は継ぎませんでしたが、JA(農業協同組合)で働きながら農業に携わっていた祖父が他界し、父が農業も継承することになりました。そのときに梅を植え、空いているところには柿を植えました。私も、父と同じように建築士の道に進むか、もしくは農業の道に進むか、それとも二足のわらじを履くかで悩んだのですが、最終的には農業を選びました。

しかし農業を専業にしたとはいえ、やるべきことはたくさんありますし、新しく勉強しないといけないことも多く悩んでいました。そのときに、父が考案した収穫時の負担を少しでも軽減でき、誰でも参加できる「梅のもぎとり」に力を入れ始めたのです。

「梅のもぎとり」は、毎年恒例の行事となっている
「梅のもぎとり」は、毎年恒例の行事となっている

――こちらの梅園は、品質や畑の管理状況などを審査する「神奈川県果樹立毛共進会」の梅部門で優秀賞に輝いたことがあるそうですね。

金子さん:横浜市の梅農家の中から選抜され、「神奈川県果樹立毛共進会」に進んだ上での結果ですから、私たちにとっては本当に嬉しいことでした。審査項目は着果、果樹栽培に被害を与える害虫の有無、雑草が刈られているかどうかを含めた園内管理です。

手間ひまかけて育てられる梅は、収穫量も豊富だ
手間ひまかけて育てられる梅は、収穫量も豊富だ

地域の方の要望に応える形でうまれた「喫茶あとりえ」

――「かねこふぁ~む」にある「喫茶あとりえ」についても聞かせてください。 ※インタビューは「喫茶あとりえ」で行いました。

金子さん:梅のもぎとりを終えた参加者にお茶を出していたときに、ここに喫茶店があればいいのにという意見があり、それに応えるように「喫茶あとりえ」を開きました。父が設計し、大工の兄が建て、店を切り盛りするのは母です。“あとりえ”という屋号は、月替りで作品を展示したいという母の願いからでした。

地域の方の要望に応える形でうまれた「喫茶あとりえ」
地域の方の要望に応える形でうまれた「喫茶あとりえ」

営業日は金・土・日で、常連さんが集まってくるのは日曜日の午後。みなさん仲がよく、初めての方でも、そのコミュニティにすぐ入れると思います。 メニューは梅ジュース、コーヒー、緑茶、キウイフルーツ、梅、みかん、はっさくなどのジャムを練り込んだケーキなどがあります。茶葉とコーヒー豆以外は自家栽培・自家製です。

人気の梅ジャムは、「喫茶あとりえ」のメニューにも使われている
人気の梅ジャムは、「喫茶あとりえ」のメニューにも使われている

――梅ジュース、ジャムも自家製とのことですが、それ以外に販売されている加工品についても伺えますか?

金子さん:梅干し、梅酢、切り干し大根、柿酢などがあります。特に、一推しは梅酢ですね。梅酢は梅干しを漬けたときのエキスで、疲労回復に効果があるとされるクエン酸が豊富に含まれており、梅酢を使うレシピ、場面が思い浮かばないという方が多いのですが、健康のためにもぜひ、興味を持っていただけると嬉しいです。

自然に囲まれて、リラックスしたひと時を過ごせる庭もある
自然に囲まれて、リラックスしたひと時を過ごせる庭もある

――栽培されている野菜は、地産地消にこだわり、農薬や化学肥料も使っていないそうですね。

金子さん:引き合いはあるのですが、野菜については地元での消費にこだわっています。ここでの直売だけでなく、毎週木曜日は「戸塚区役所」でも販売しています。野菜の栽培を始めたのは10年くらい前で、手が空いた父が栽培するようになりました。安心・安全の大切に育てた野菜も、ぜひ味わっていただきたいです。

子どもも大人も楽しめる、さまざまな収穫体験が身近に

――梅のもぎとり以外にも、いろいろな収穫体験ができるそうですね。

金子さん:果樹に関してはみかん、野菜ならじゃがいも、玉ねぎ、さつまいも、さといも、かぼちゃ、ヤーコン、たけのこなどがあります。タイミングが合えば、二種類を収穫できます。 収穫体験の畑までの道のりは山を登らないといけないのですが、当園は「舞岡公園」に接していることもあって、その途中の横浜市とは思えないのどかな光景に多くの方が驚かれます。

収穫するだけではなく、こうしたストーリーが参加者の記憶により強く刻まれるのだと思います。 コロナ禍で休止する前までは、梅のもぎとりの前に、子どもたちにどのように梅を育てているかをまとめた紙芝居を読み聞かせていました。その紙芝居を見ていた保育園児が成人し、社会人になったと報告に来てくれたこともあります。

子どもたちも楽しみながら、さまざまな種類の野菜の収穫体験ができる
子どもたちも楽しみながら、さまざまな種類の野菜の収穫体験ができる

「かねこふぁ~むメンバーズ」という会員制度も設けていまして、登録していただいた方には、収穫体験を含む園の情報をお送りしています。年会費は1,000円ですが、先行予約と入場料無料、会員限定イベントの参加という特典があります。割合としては、ご家族で登録されているケースが多いです。

――今後、「かねこふぁ~む」をどのようにしていきたいとお考えですか?

金子さん:この恵まれた環境で農業ができる事を次の世代に継承していきたい思いがあります。この場所があることで、この景観があるわけですし、代々受け継がれてきたこの場所を、私の代で終わらせるわけにはいきませんね。

恵まれた自然と景観を、次の世代にもつなげていきたいと話す金子さん
恵まれた自然と景観を、次の世代にもつなげていきたいと話す金子さん

――子育てファミリーおすすめのスポットなどがあれば、ぜひ教えてください。

金子さん:古民家を改築したカフェ「さくらの家」は、味も雰囲気もおすすめです。それ以外では、直売所「舞岡や」もなかなか特徴があって面白いところです。ほかの直売所では、近隣エリアの野菜・果物も置いていますが、「舞岡や」ではその大半が舞岡産です。特に、3月から6月にかけてのハウストマトはおすすめです。何軒もの農家が同じエリアで競い合っていることで、高いレベルの農作物ができあがったのかもしれませんね。

――最後に、戸塚エリアへの引っ越しを検討されている方に向けて、メッセージをお願いします。

金子さん:まず、電車のアクセス性の良さは魅力の1つですね。横浜や湘南台、上大岡へ行くのにも便利ですし、JR東海道線に乗れば、都内の主要駅にも乗換なしでいけます。また、緑が多い落ち着いた住環境がありながら、駅周辺は商業施設が多いので買い物に困らないというのも戸塚のいいところだと思います。ぜひ「かねこふぁ~む」にいらして、戸塚の魅力を感じてみてください。

かねこふぁ~む

代表 金子宗司さん
所在地 :横浜市戸塚区舞岡町1911
電話番号:045-823-1222
URL:http://www.kaneko-farm.co.jp/
※この情報は2023(令和5)年8月時点のものです。

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