スペシャルインタビュー

藤沢で生まれ育った子どもたちが「住み続けたい」と思える街を目指す「藤沢市 子育て企画課」

神奈川県の中央南部に位置し、横浜市や鎌倉市に隣接する藤沢市。その自然の多さや子育て環境の充実、駅周辺で進む再開発による利便性の向上などを要因として、近年、子育て世代を中心に移住者からの人気が高まっているエリアだ。

今回はそんな藤沢市の「子ども青少年部 子育て企画課」を訪ね、藤沢市の子育て施策や親子で利用しやすい施設、藤沢市の魅力などについてお話を伺った。

webから最新版をダウンロード可能な「ふじさわ子育てガイド」
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自然環境と交通の便に恵まれた、多彩な顔を持つバランスのよい街

――まずは、普段の業務についてお聞かせください。「子ども青少年部 子育て企画課」はどんな業務を行っている部署なのでしょうか。

三膳さん:子ども青少年部は、子育て企画課、子ども家庭課、保育課、子育て給付課、青少年課の5課で組織されています。子育て企画課は主に、子ども子育て支援事業計画の策定や保育所の指導監査業務、認可保育所の施設整備、子育て支援センター等の子育て支援業務を行っています。また、部内の庶務・総務という位置付けの課でもあります。

他の課についてもご紹介させていただくと、子ども家庭課では子育てや子どもの発達、児童虐待など子どもに関する相談対応業務、保育課では主に保育園の入園事務や法人立保育所運営の助成関連業務、子育て給付課では小児医療費助成や児童手当の給付業務、青少年課では児童館や地域子どもの家などの運営管理業務などを主に受け持っています。

「藤沢市役所」本庁舎
「藤沢市役所」本庁舎

――近年、藤沢市に転入される子育て世帯が増加していますね。子育ての面で、藤沢市が選ばれている理由はどのような点にあるとお考えでしょうか。

三膳さん:まず、藤沢市は環境に恵まれた基礎自治体です。温暖で過ごしやすい湘南エリアに位置し、南は海に面していて江ノ島や海水浴場といった観光地があり、北側は丘陵地帯で御所見地区など農業が盛んな地域があり、南北で違った特色があります。また、「清浄光寺(遊行寺)」の門前町、江戸時代に江ノ島詣で栄えた藤沢宿など歴史が感じられる場所もありながら、住宅地という性格も持っています。

こうしたさまざまな性格を合わせ持つ藤沢市は、神奈川県の中では実にバランスがよい街です。

「清浄光寺」
「清浄光寺」

三膳さん:さらに東京からも約50kmほどで、市内にはJR東海道本線、小田急江ノ島線、江ノ島電鉄線、相模いずみ野線、湘南モノレール線、横浜市営地下鉄線と鉄道が6路線も通っているため、どこへ行くにも便利です。鉄道網だけでなくバス路線も非常に充実しているので、市内の移動も楽で暮らしやすいと思います。

また、こうした住環境に加え、子育て環境も整っています。藤沢市では市内13地区ごとに市民センターや公民館を設けており、さまざまな行政サービスを受けることができる他、市立図書館が4カ所、市民図書室が11カ所あり、小さいお子さんを連れて気軽に絵本などを借りられます。さらに市内には300を超える公園があり、藤沢本町近くには「新林公園」「引地川親水公園」、辻堂には県立の大型公園「辻堂海浜公園」もあります。こうした環境だからこそ、ファミリー層の方に住む場所として選んでいただいているのかなと感じます。

「引地川親水公園」(引用:藤沢市観光HP)
「引地川親水公園」(引用:藤沢市観光HP)

――今年から設立した制度「藤沢市こども未来基金」をはじめ、藤沢市では近年特に子育て制度が拡充されている印象です。力を入れている背景には、どのようなお考えがあるのでしょうか。

三膳さん:藤沢市は子育て世帯に限らず、特に人口流入を促進するための施策に積極的というわけではありません。基本的には市民の方に藤沢市を好きになってもらうため、さまざまな施策を行っています。

藤沢市では以前から「郷土愛あふれる藤沢」という都市像を掲げていて、市長のもと職員が一丸となって、自然と歴史が調和した街並みを維持することや、藤沢らしさを大切にすることに取り組んでいます。そこに注力することで、藤沢で育つ子どもたちがこの地に愛着を持ち、「住み続けたい」と感じてもらって、進学や就職で市外に出て行ってもいずれは帰ってきたいと思ってもらえる街になると考えています。そういった街を目指すことで、結果として市外から人に来ていただき、都市として成長できれば、なお良しという感覚ですね。

藤沢市が発行する「ふじさわ子育てガイド」には、役立つ情報が満載で、子育て世帯も安心。
藤沢市が発行する「ふじさわ子育てガイド」には、役立つ情報が満載で、子育て世帯も安心。

18歳以下の医療費が無料で、親子の居場所や子どもの遊び場が豊富

――藤沢市の小中学校教育における教育方針や、特に注力している活動などをお聞かせください。

三膳さん:藤沢市は「学校教育ふじさわビジョン」を掲げ、「自己の知」「状況の知」「かかわりの知」という3つの知によって「自ら未来を切り開く自立したふじさわの子ども」を目指しています。

「学校教育ふじさわビジョン」(引用:「藤沢市HP(【改定版】学校教育ふじさわビジョン」))
「学校教育ふじさわビジョン」(引用:「藤沢市HP(【改定版】学校教育ふじさわビジョン」))

――特に市として推したい、もしくは今後推していきたい子育て制度やサービスはございますか。

佐藤さん:まず、2024(令和6)年度から新たに拡充される子育て支援制度やサービスをご紹介します。これまで小児医療費助成制度は中学生まででしたが、2024(令和6)年4月からは所得制限をなくし、助成対象を18歳まで拡大します。

また、安心して出産・子育てを迎えられるよう「ふじさわはぐくみプラン」のシートを基に、妊娠期に産前産後の手続きをする際に、担当者が一緒に確認し、出産後すぐに行う手続きの案内や、母子の健康相談等のサービスを提供しております。

「ふじさわはぐくみプラン(子育て期)」(引用:藤沢市HP(「妊娠届出時・妊娠8か月時面談について」))
「ふじさわはぐくみプラン(子育て期)」(引用:藤沢市HP(「妊娠届出時・妊娠8か月時面談について」))

佐藤さん:また、出産・育児関連用品の購入などの負担軽減を図るため、妊娠の届け出をした妊婦さんには、出産・子育て応援給付金5万円を給付しています。そのほか3年ほど前からは紙おむつの無料回収も行っていて、透明や半透明の袋であれば市指定の有料ごみ袋ではなくても可燃ごみの日に回収しています。

――「つどいの広場」や「子どもの家」など、市内には多くの親子の居場所がありますね。利用者の声があればお聞かせください。

矢野さん:まず施設についてご紹介させてください。「つどいの広場」は親子が気軽に集い交流できる場所で、市内に4カ所あります。常駐する子育てアドバイザーに子育ての不安や悩みを相談したり、身近な地域の情報をキャッチしたりできます。

「藤が岡 つどいの広場」
「藤が岡 つどいの広場」

矢野さん:また、地域の子どもたちが身近な場所で自由にのびのびと遊べるように、そして、心身ともに健やかに成長してくれることを願って建てられた藤沢市の施設として、「子どもの家」・「児童館」が計23カ所あり、子どもたちの遊びの拠点となっています。こちらの利用対象は0歳から18歳と幅広いのですが、月に1度ほど、小中学生が学校に行っている午前中に、乳幼児親子向けの子育てふれあいコーナーを設けています。市内の保育士さんと子育てボランティアの方にご参加いただくので、親御さんが保育士さんに相談するときには、ボランティアの方がお子さんと遊んでくださるので、お話に集中できると思います。

「本町子どもの家(元気王国)」
「本町子どもの家(元気王国)」

矢野さん:では、利用者さんの声を少しご紹介いたします。育児休業中の方から、「子どもが小さいと家族以外の人と話す機会が少なくなってしまう。ひろばに来ると世間話ができたり愚痴をこぼしたりできて、気持ちが楽になった」というお声をいただきました。「我が子より月齢が高いお子さんの様子を見られるので、今後の成長をイメージできる」という声も届いています。

また、子育てボランティアの中には子育てが一段落した方、お孫さんがいる方が多数いらっしゃるので、子育て・孫育てのアップデートの場にもつながり、ボランティアさんにとってもプラスだと聞いています。

旧東海道藤沢宿の街並みが魅力の藤沢本町エリア

――藤沢本町エリアは「藤沢公民館・労働会館等複合施設(Fプレイス)」など比較的大きな施設があったり、「子どもの家」が充実していたり、市内でもより子育てがしやすい環境だと感じます。市の皆さまから見た、同エリアの魅力についてお教えください。

安江さん:地域にとって大きな存在である複合施設「Fプレイス」からご紹介させてください。主に4階が子育て世代関連の場となっていて、このフロアにはボルダリングやネット遊具がある「藤沢子どもの家」、保育付き事業が巡回子育て広場を開催している保育室、「藤沢市立藤沢小学校」の児童を対象とした「かがやき児童クラブ」が併設されています。2階には図書室、6階にはレストランがある他、2階、4階、5階には多世代間の交流スペース等が設置され、子育て世代の方が休憩場所として利用されているのも見かけます。

「藤沢公民館・労働会館等複合施設(Fプレイス)」
「藤沢公民館・労働会館等複合施設(Fプレイス)」

安江さん:学校の夏休み期間には、公民館事業としてさまざまな子ども向け講座を実施しています。最大300席となるホールで映画上映会やコンサート等が行われている他、藤沢公民館主体で開かれている「子育て応援メッセ」というイベントも、親子連れに人気です。子育てサークルなどが情報提供をする場で、親子や子育てにかかわる方々が楽しみながら交流できます。これは「Fプレイス」を含め、市内13カ所で開催しています。

また、2024(令和6)年3月24日に「Fプレイス」に隣接した「吉野町公園」がオープンします。子どもの家の利用者等のアンケートを踏まえて複合遊具や健康遊具を設けた他、富士山などの眺望を楽しむ展望デッキも配置しました。元々ある「本町一丁目憩いの森」と一体的に整備されるので、自然豊かな公園として、本町の新たな人気スポットになると思います。

「吉野町公園」
「吉野町公園」

安江さん:さらに、この地域には昔から活動している「こめこめクラブ」という地域団体があり、「藤沢市立藤沢小学校」や「藤沢市立本町小学校」の5年生を中心に、田植えから稲刈りまで米作り体験を行っています。

藤沢本町エリアの1番の魅力は、旧東海道藤沢宿の街並みかと思います。藤沢宿は東海道五十三次の6番目にできた宿場で、江戸時代に街道の拠点だった場所です。その町並みが現在も一部残っていて、藤沢宿の歴史を知ることができる「藤沢市ふじさわ宿交流館」や紳士服の「英国館」、雛人形や5月人形を販売している「福田屋人形店」、老舗和菓子屋の「豊島屋本店」などがあります。

「藤沢市ふじさわ宿交流館」
「藤沢市ふじさわ宿交流館」

安江さん:市としても街なみ継承地区や魅力向上店舗の出店に対して一部助成しており、補助金を活用した事例として、築136年の蔵をリノベーションしたパン屋「関次商店 パンの蔵 風土」、築110年の石蔵で植物のある暮らしを提案する「庭・花・暮らし cottontail」などのお店があります。遠方から散策に来られる方も多くいらっしゃる人気スポットです。

――藤沢本町エリアに居住を検討されている方にメッセージをお願いします。

安江さん:藤沢本町エリアは公園や施設がたくさん整備され、子育てをするにも生活をするにも快適な地域かと思います。転入して来られて子育てで困った際には、ぜひ子育て支援センターやつどいの広場にお越しください。友だちがほしいと思ったときや不安な気持ちを相談したいときなど、いつでもサポートできる環境を整えることが私たちの役目です。

三膳さん:藤沢市はまだまだ成長を続けています。例えば、まちづくりの面では、「辻堂」駅周辺で、大規模工場が撤退したあと、区画整理や街路の整備を行い、大型ショッピングモールを誘致するなど、生活環境が整い、子育て世代にとっても利便性の高いエリアとなっています。

また、「藤沢」駅周辺については、湘南の玄関口として、新しい藤沢駅前づくりに取り組んでおり、「藤沢」駅北口は地下通路、ペデストリアンデッキ(サンパール広場)がリニューアルされました。デッキではさまざまなイベントが実施され、にぎわいの場として市民の皆様に利用されています。南口についても、これから再整備を実施していく予定です。

その他、2032年頃に「藤沢」駅と「大船」駅の間に開業を予定している村岡新駅を中心としたまちづくりや、長期的な計画になりますが、「湘南台」駅から西に向けた相鉄いずみ野線の延伸及び周辺のまちづくりについても検討を進めるなど、魅力ある街づくりを進めていきます。

JR村岡新駅の完成イメージ(出典:「第1回村岡新駅周辺地区まちづくり協議会」)
JR村岡新駅の完成イメージ(出典:「第1回村岡新駅周辺地区まちづくり協議会」)

総務・監査担当 主幹 三膳和孝さん、課長補佐 佐藤純恵さん、主任 矢野利孝さん、子育て支援担当 安江舞さん
総務・監査担当 主幹 三膳和孝さん、課長補佐 佐藤純恵さん、主任 矢野利孝さん、子育て支援担当 安江舞さん

藤沢市役所 子ども青少年部 子育て企画課

総務・監査担当 主幹 三膳和孝さん
子育て支援担当 佐藤純恵さん
子育て支援担当 矢野利季さん
子育て支援担当 安江舞さん

所在地:神奈川県藤沢市朝日町1-1
電話番号:0466-50-3562
FAX:0466-50-8428
※この情報は2024(令和6)年3月時点のものです。