人柄の良さとどこか懐かしさを感じる踊場エリアで、つながりを大切にしながら元気を届ける「MOHEJI BREAD KITCHEN(モヘジ ブレッド キッチン)」
猫が夜な夜な踊る街、「踊場」。そんな不思議な伝説のある横浜市営地下鉄ブルーラインの「踊場」駅には、この伝説にちなんだ猫をモチーフにしたオブジェがたくさん。その美しいデザインから、関東の駅百選に認定されている。そんな「踊場」駅の近くで、開店から2年を迎えた評判の良いパン店がある。店のドアを開けると焼きたてのパンの香りが漂い、明るく元気にお客さんに声がけをする店主の姿があった。
今回は、地域に密着したパン屋さんの「MOHEJI BREAD KITCHEN(モヘジ ブレッド キッチン)」を訪問し、お店のこだわりや特色、踊場の魅力についてお話を伺った。
パン職人と料理人が作る毎日食べたい美味しいパン
——はじめに、オープンの経緯を教えてください
拓也さん:妻はパン職人、私はイタリアンやバーなどで調理していたこともあって、いつか自分たちの店を持ちたいとしばらく場所を探していました。私たちは横浜市内の別の場所で暮らしていまして、特に「踊場」駅付近も地元ではなかったのですが、このあたりを訪れた時に人通りが多く、適度ににぎやかで明るさを感じまして、ここでお店を出すことを決めました。
実際に暮らしてみると、ここは古い街並みも残り、下町人情の残る街だと感じます。人がよく、おおらかで、人とのつながりが深い。私たちもそのつながりを大切にしたいと、ここで使用する食材はこのエリアのものを極力使用するようにしています。
——「MOHEJI BREAD KITCHEN(モヘジ ブレッド キッチン)」という名前の由来や、お店のコンセプトについて、お聞かせください
拓也さん:「もへじ」は「へのへのもへじ」から来ているんです。絵に書くと「へのへの」の部分は目に当たる。店名のように「へのへの」を取ると、目がないということになる。すなわちパンに目がない、というような言葉あそびなんですよ。
智砂さん:私はパンがとにかく大好きで、中でもドイツパンが好きなんです。それで自分のお店を持つなら、ヨーロッパやドイツの雰囲気がいいかなと思いまして。ドイツのお店って、飾り看板も多くてかわいいなと。それで店頭にも飾り看板を付けています。
——パン職人と料理人が作るパンは、どのように役割分担をされているのでしょうか
智砂さん:パンの製作は私が、パンの具材は主人が担当しています。開店が朝6時半なので、私は朝3時前から仕込みを開始しています。
拓也さん:私は開店時間に来ます。朝は子どもたちに食事をさせ、幼稚園に送ってから店に出ています。帰宅時間も別々で、妻は早く帰るという、完全分業制でやっています。
身体にやさしい毎日食べたいパンを目指して
——このお店のパンの特徴を教えてください
智砂さん:材料は、北海道産の小麦粉の「ゆめちから」と「よつ葉バター」を使用しています。マーガリン、ショートニングは一切使用していません。毎日食べられるよう、安心できる材料を使用しています。この店の前から色々な小麦粉を試しましたが、香りがよくほんのりと小麦粉本来の甘みを感じるのが、「ゆめちから」でした。
拓也さん:お店では毎日60種類以上のパンを焼いています。種類は大まかに分けると、食パン、総菜系、菓子パンなどですね。そして、あんこを除いてほぼ手作りしています。
材料は地域とのつながりを第一に考えていまして、調達できるものは極力踊場で調達しています。ハンバーガーのハンバーグのお肉は、「今美屋ストアー」の「横濱上田屋」の厳選豚肉を超粗挽きで使用しています。他にも、魚や野菜なども「今美屋ストアー」で調達しています。
やっぱり地域とのつながりや、地域を盛り上げたいという気持ちもありまして、できるだけ毎日、買い物するようにしています。
智砂さん:ドイツパンもカンパーニュなど2、3種類置いていますが、この地域の特色を考えたパン作りをしています。ご高齢のお客様でも食べやすいよう、イギリス、フランスパンは、配合を調整してやわらかな口当たりになるように調整しています。
食パンは玄米、スタンダードなど3種類あります。湯種製法を用いて作っているので、モチっとした食感でやわらかです。イギリスパンにもこの湯種製法を用いているので、見た目よりソフトだと思います。
——革・シルバー製品を取り扱っている「Sigma」の商品も置かれていますね。パン屋さんとの組み合わせは大変珍しいと思うのですが、こちらはなぜ一緒にやられているのでしょうか。
拓也さん:あるイベントがきっかけで知り合いまして、この近くに公園もあってお客さんにワンちゃん連れの方も多かったので、置いてみたら相乗効果が狙えるのではないかなと思いました。会計の際に商品を見てくれたり、ちょこちょこ売れているんですよ。
先ほどの「今美屋ストアー」同様、地域のつながりの一つとなっています。
いちばん人気は、猫にまつわるパン
——人気のパンの紹介をお願いします
拓也さん:お総菜系でおすすめは、小さなソフトフランスパンを使ったものとか。生ハムとバター、あんバター、かねふくの明太子を使った明太子フランスなどがあります。
定番で特に人気なパンはクリームパンですね。また、「踊場」は猫が多く、猫の伝説が多い街なんです。猫の焼き印を押したあんぱんが人気です。
拓也さん: 中には、動物と一緒に食べられる「シェアパン」という商品もありまして、先ほどお話したようにこの付近はワンちゃん連れの方が多く、愛犬も飼い主も一緒に楽しめるパンとして考案しました。
智砂さん:砂糖、塩を使用せず、イーストモルトオリーブオイルのみを使って作っています。塩味などはないのですが、小麦本来の味がよくわかるパンになっています。
——今後、新メニューや新企画、チャレンジしてみたいことなどがあればお教えください
拓也さん:隣のお店が空くというので、ここを借りてベーカリーカフェをやってみたいと計画しています。パンを店内でゆっくり楽しんでもらえたらと思っています。
——最後に踊場エリアについて、地域の魅力やおススメのスポットなどがあればお聞かせください
拓也さん:私は「NAPALM(ナパーム)」というメキシコ料理のお店がお気に入りです。ここは老舗の人気店なのですが、オーナーが適度にやる気がなくて、それが逆にいい感じなんです(笑)。昭和の香りが残る商店街も買い物がしやすいです。
智砂さん:車で少し行くと、戸塚の森の「まさかりが淵」があってここもおすすめ。滝もあって自然豊かな場所なんですよ。

MOHEJI BREAD KITCHEN(モヘジ ブレッド キッチン)
オーナー 森拓也さん、智砂さん
所在地:神奈川県横浜市戸塚区汲沢8-10
電話番号:045-438-9369
URL:https://www.instagram.com/moheji.bk/
※この情報は2024(令和6)年2月時点のものです。