川崎市 高津区役所 インタビュー

利便性と自然環境を兼ね備えた子育て環境として魅力的な「高津区」

インタビューにご協力いただいた「高津区役所」の皆さま
インタビューにご協力いただいた「高津区役所」の皆さま

交通アクセスに優れ、子育てに人気のまちとして知られる川崎市高津区。商業施設が集まる生活利便性の高い「溝口」駅周辺と、駅から少し離れると水や緑があふれる自然環境が広がり、さらには大山街道沿いの歴史的・文化的な地域資源にも恵まれ、多彩な魅力を併せ持っている。 今回は「高津区役所」を訪ね、まちづくり推進部企画課の佐藤さん、桐ヶ谷さんをはじめ、子育て支援に携わる各課の皆さまにお集まりいただき、高津区の魅力また子育て事情についてもお話を伺いました。

川崎市の中央に位置し、都市と自然の魅力を兼ね備えた「高津区」

高津区の中心、「溝口」駅周辺
高津区の中心、「溝口」駅周辺

――人口153万人、7区ある川崎市の中で高津区はどのような特色のある街ですか?

桐ヶ谷さん:高津区の特徴ですが、川崎市は地図で見ると南北に長い形で、高津区はその真ん中に位置しています。
川崎区は「川崎」駅を中心に開発が進んでいて都会のイメージがある一方、多摩区や麻生区は緑が多いベッドタウンのイメージがあると思いますが、7区の真ん中にある高津区は川崎市のいろいろな特徴がぎゅっと凝縮されている地区なのかなと思います。「溝口」駅周辺は「NOCTY(ノクティ)」に代表されるような商業地域がありまして、買い物や飲食も非常に便利ですし、「渋谷」駅まで15分で行けるアクセスの良さが人気です。
一方で、駅から少し離れれば自然がたくさんあり、「緑ヶ丘霊園」や「東高根森林公園」といった広大な緑が広がっています。また「二ヶ領用水」や、多摩川の「多摩川緑地」にはバーベキュー場や野球場、サッカー場もありますし、水辺に親しむ環境があります。
さらに、歴史的・文化的にも恵まれており、大山街道や由緒ある神社・仏閣などがたくさんあります。人とのつながりという点においては、町会や自治会など昔からのつながりがしっかりした地域がある一方で、転入される方も含め新たに育まれているつながりも増えている地域です。

東高根森林公園
東高根森林公園

佐藤さん:昨今は駅周辺を中心にマンションの建設も多いので、特に子育て世代の人が多く移り住んできているのも特徴です。
また、最近は、大山街道沿いにお洒落な雰囲気のお店も増えてきて、顔の見えると言うか、気兼ねなく会話ができるような素敵なお店があるのは良いねと地域の方の声も聞いています。

 ――高津区ならではの取り組みについて教えてください。

佐藤さん:高津区独自で取り組んでいる事業としては、大山街道沿いの歴史的・文化的な資源を活用する事業であったり、「エコシティたかつ」という環境に関する取り組みもしています。
また高津区の人口は現在およそ23万3千人いるのですが、転入者の7割以上を子育て世代が占めていて、子育て支援や地域包括支援に関する取り組みやイベントも多く行っています。

都市と自然の魅力を兼ね備えた「高津区」
都市と自然の魅力を兼ね備えた「高津区」

転入者の7割以上を子育て世代、高津区の子育ての魅力とは?

――子育て情報ガイド「ホッとこそだて・たかつ」についてご紹介ください。

石倉さん:高津区の子育てに関する情報をまとめた「ホッとこそだて・たかつ」は、2005(平成17)年3月に創刊し、最新版はvol.14です。当時、高津区でもマンションが多く建設され、全国的にも“子育て支援”という言葉が広くいわれるようになっていたのですが、マンションに住むお母さんが、同じマンションに住んでいるのに出会えないという意見がありました。子育て不安を抱えているといった悩みを区の方でも聞くようになり、「高津区子ども・子育てネットワーク会議」の中で、2003(平成15年)に子育ての専門機関、関係団体、ワーキンググループのお母さん方に編集委員として参加いただき「高津区子育て情報発信委員会」を立ち上げ「見やすい・使いやすい」をめざし子育てに生かせる情報誌を作ろうと出来上がったのがこの冊子です。
A5版のポケットサイズで100ページくらいあるんですが、当時からボリューム感はそれほど変わらず、施設数が増えたり、現役のお母さんの意見を取り入れて、より使い勝手の良いものにとvol.14になりました。
この取り組みの良かったところは、お母さんたちの生の声を聞こうと、初版から編集委員に現役のお母さんが入り、その意見を紙面に反映させてきたことです。また何より情報量が多いですよね。何を求めているか、必要な情報がすぐにわかるようにデザインも工夫して改訂を重ねています。
今回のvol.14は大改訂ではなく部分的なリニューアルです。施設情報を更新したのと、見やすくするためにはどうしたら良いのかという点について検討させていただきました。

高津区子育て情報ガイド「ホッと こそだて・たかつ」(高津区役所HPより引用)
高津区子育て情報ガイド「ホッと こそだて・たかつ」(高津区役所HPより引用)

吉田さん:必要な情報がすぐに見つけられるように、色合いだったりデザインも含めて、お母さん方に興味を持って手に取っていただけるような工夫をしています。イラストや写真を多く入れたり、スマホを使う方も多いのでQRコードを入れたりとか、子育て世代のニーズに合わせて毎年、改訂をしています。

菅原さん:最初にこの冊子を手にされるのは、母子手帳をもらいに来られた時が多いですね。

吉田さん:他には、区民課に転入・転居の手続きの時に、お子さんが一緒にいらっしゃる場合はご案内していますし、また地域ケア推進課の窓口までお越しいただければお渡しいたします。

子育てカレンダーや公共施設をまとめたマップなど、お役立ち情報満載の「ホッと こそだて・たかつ」
子育てカレンダーや公共施設をまとめたマップなど、お役立ち情報満載の「ホッと こそだて・たかつ」

谷さん:母子手帳を交付するときは、ただパッと手渡すだけではなく、どこにどういう情報が載っているか、必要な情報がすぐわかるようにと、職員が冊子を実際に使いながら説明しているので、より使いやすいツールになっているかなと思います。

吉田さん:巻末の地図もいつも苦心するところで、施設が変わるたびに、それを1つ1つ間違えずに反映させる作業は大変な労力が必要です。全体図があると必要な情報や場所がひと目でわかるので、より見やすいように工夫を重ねています。

多様な子育てニーズに応えるイベントも充実

――子育てに関連したイベントについてご紹介ください。

吉田さん:3月、4月は転入される方が多い時期となります。4月に0歳から就学前のお子さんを対象に「きっと見つかるよ!たのしい仲間!」という子育てイベントを開催しています。地域の子育てサークルの紹介やあそびコーナーなど、子育ての輪を広げていただける機会をご用意しています。

谷さん:35歳以上で初めて妊娠・出産した方を対象にした「とことこタイム」といったイベントもやっています。「若いママが多いと行きづらい…」といったニーズに応えるもので、高津区役所と同じ建物の中にある地域みまもり支援センター1階の「保健ホール」で毎月行っています。
また、早産や低体重で生まれたお子さんの会「すくすくママキッズ」というのも「保健ホール」で行っています。これは高津区だけの取り組みです。

石倉さん:転入者向けに特化したイベントとしては、「転入者 子育て交流会 ホッとこそだてinたかつ」というのも行っていまして、高津区に転入された方、もしくは転入して高津区で初出産をしてママになった、パパになったという方向けに、子育ての情報や地域の方との出会い場を提供しています。

「転入者向け」「パパ向け」など、さまざまなニーズに合わせた子育て応援イベントも充実
「転入者向け」「パパ向け」など、さまざまなニーズに合わせた子育て応援イベントも充実

吉田さん:イベントは他にも、毎年11月に「子ども・子育てフェスタ」というイベントを行っています。今年で15回を迎えました。
フェスタには、区内で子育て中の方や、子育て支援に関心のある区民の方が集まり、子どもと一緒に楽しく過ごしながら子育て関連情報を得られるようにといった趣旨のイベントになっています。
お子さんと一緒に遊べるコーナーや体験コーナーも多数あり、手づくりの缶バッチは毎年、好評をいただいています。また今年は親子で楽しむ体験の音楽イベントとして音楽コンサートを開催しました。600名の定員がすぐに満員になるほどの人気でした。

菅原さん:あとは保育園の展示もあったので、保育園に通うお子さんや保護者の方も多かったですし、赤ちゃんのお世話体験も多くいらっしゃいましたね。

石倉さん:会場が「NOCTY(ノクティプラザ)」の「マルイファミリー溝口」の上なので、お買い物がてらちょっと行ってみようかという方もいますし、入場無料なので当日情報を知って参加される方も多かったですね。

地域資源を活用した多彩なイベントも盛りだくさん

大山街道ハシゴめしMAP(高津区役所HPより引用)
大山街道ハシゴめしMAP(高津区役所HPより引用)

――子育て世代も参加できるおすすめ&注目のイベントについてご紹介ください。

押川さん:おすすめのイベントはたくさんありますが、ひとつは9月に行われた「大山街道ハシゴめし」というイベントです。大山街道という地域資源を活性化させるための取り組みのひとつで、地元の飲食店が集まって料理を提供してくれました。
それと11月には「カレーフェスタ」もあって、同じく大山街道沿いの飲食店がそれぞれ独自のカレーを持ち寄ってその味を披露しました。おそらく3,000人くらいは来ていた感じで、食だけではなく、ワークショップや地元のダンスチームがパフォーマンスを披露してくれて、大いに盛り上がりました。
ダンスと言えば、溝口は“ブレイクダンスの聖地”として海外でも知られているほどで、「溝口」駅に行くと、ガラスに向かって練習している人がたくさんいるんです。実はそこで練習している子どもが世界大会で優勝したこともあるんです。
また、川崎市は“音楽のまち”として有名ですが、毎月一回、区役所でロビーコンサートを開催したり、高津区には「洗足学園」があって、音楽大学があるからこそできるイベントというのもあります。
例えば、親子でオペラを楽しめる「子どもから大人まで楽しめるオペラ」といったものがあり、0歳から小学6年生までの子どもは当日券100円(前売券90円)で鑑賞いただけるような取り組みも行いました。
他にも「Candle Night JAZZ(キャンドルナイトジャズ)」といった子どもも楽しめるジャズコンサートがあって、高津区民100名を無料招待し音楽に親しむ機会をいただきました。

高津区ならではのイベント「区民祭」「区民音楽祭」

「高津区民音楽祭」など、子どもから大人まで楽しめるイベントがもりだくさん
「高津区民音楽祭」など、子どもから大人まで楽しめるイベントがもりだくさん

――高津区ならではのイベントについてご紹介ください。

佐藤さん:長年行われているイベントとしては、7月末に行われる「高津区民祭」があります。大山街道を通行止めにしてパレードが行われるのですが、小学校のブラスバンドやお神輿、「大山詣(まい)り」の習慣を再現し、巨大な木製の太刀を担いで練り歩く「納太刀(おさめだち)」などが行われます。

押川さん:「高津区民音楽祭」も歴史のあるイベントです。今年は11月から12月にかけて3日間にわたって開催されるのですが、第1弾のバンドから始まり、器楽、コーラスと続きます。
“区民参加型”というのをひとつの特色にしていまして、企画から当日の運営まで、参加者が中心になって行っています。今年で30回目を迎える歴史あるイベントです。
最初は高津区に第九のサークルがあって、そこの活動からはじまったそうです。今のように3日間の開催になったのは5、6年前くらいからと聞いていて、アンケートの結果をもとにバンド部門を増やしたり、キッズパーカッションと言って、小学生までの子どもたちが集まって練習を3日間やって舞台で発表するという試みもあります。
このように高津区では音楽に親しむ機会が多く、区内にも音楽を趣味として楽しんでいる方が多いのかなと思います。

農体験や農産物直売所など、農のある高津区の魅力

農業との近さも高津区の魅力のひとつ
農業との近さも高津区の魅力のひとつ

――高津区では農業もひとつの特色のようですが?

押川さん:高津区は、駅周辺の商業的なエリアからちょっと離れると、農地があって、農家さんがいて、こういった「直売所マップ」を作成してみました。
また「高津さんの市」と言って、地元産の農産物を食べてもらう活動もしていて、偶数月の第3日曜日に「溝口」駅から歩いて5分ほどの場所にある「久本薬医門公園」で野菜や食品を販売しています。
夏場には親子で参加できる農体験もあったりと、区としても農のある高津区の魅力を知っていただく機会を提供しています。

農業の魅力を伝える、「農業体験イベント」や「たちばな農のあるまちづくり“地参地笑”おさんぽマップ」
農業の魅力を伝える、「農業体験イベント」や「たちばな農のあるまちづくり“地参地笑”おさんぽマップ」

――パンフレットでは、“地産地消”ではなく、“地参地笑”となっていますね。

石倉さん:地参地笑の“笑”というのが良いですよね。「直売所マップ」はお母さんたちにも好評で、お散歩がてらお野菜も買いに行こうというマップにもなっていて、非常に喜ばれています。

――最後に、それぞれ高津区の好きな〇〇について教えてください。

押川さん:私は「たちばな農のあるまちづくり」をぜひ。久末地区の畑の風景、そこから見える風景がすごく好きです。

菅原さん:私は「子ども夢パーク」ですね。どろんこ遊びができる。あそこは売りだと思います。あと区内37箇所で「公園体操」をやっているのですが、高齢者だけではなく子供も参加できるので、保育園の子どもたちも参加しているみたいですね。

吉田さん:9月~10月にかけて、お仕事も子育ても家事も頑張るお父さんを対象に「イキメン講座」を開催しました。講座の中でお父さんとお子さんでカメラ片手に「二ケ領用水」沿いに「久地円筒分水」までお散歩しました。お魚を見たり、お花を見たりと親子でお散歩するのには、おすすめの場所でした。

佐藤さん:僕は大山街道ですね。最近、まちづくり活動をしている方がどんどん増えてきて、街が元気ににぎわってきている、そんな様子を見られるのが楽しいです。お洒落なお店がありつつも昔ながらの街並みが残っている、多様な感じが好きです。

二ヶ領用水(大石橋付近)
二ヶ領用水(大石橋付近)

石倉さん:私は高津区の住民の方が子育てに優しいということをお伝えしたいです。民生委員や児童委員の方がずっと以前からサロンを立ち上げていたり、自主保育といって、現役のママさんが保育園とか幼稚園に預けるんじゃなくて、自分たちで子どもたちを見守る、育ち合いというのをやっているのも素晴らしいと思っています。地域の力が非常に強いかなと思います。

谷さん:私は溝口地区の担当なので、「高津図書館」と、そこから派生したボランティアのグループによる「読み聞かせの会」をご紹介します。「高津図書館」で0歳児から各年代に分けて読み聞かせの会をやっていたのですが、去年の9月から溝口の第6町会の町会館をお借りして、月に一回、0歳児向けの「読み聞かせの会」を行なうことになりました。6丁目は、大きな道路で溝口から分断されている地区でもあり、育児サロンがあればと立ち上げに携わりました。

桐ヶ谷さん:私は「二ヶ領用水」の雰囲気ですね。「溝口」駅を降りて都会だなというイメージがあったのですが、「二ヶ領用水」の桜と水辺を見て、とても風情があるなと今でも一番印象に残っています。

前列左から〇〇さん、・・・
前列左から〇〇さん、・・・

■今回お話を伺ったのは

高津区役所

(前列左から順に)
地域みまもり支援センター 地域ケア推進課 主任 吉田さん
     同       地域支援課 谷さん
     同       保育所等・地域連携担当 課長補佐 石倉さん

(後列左から順に)
まちづくり推進部 地域振興課 課長補佐 押川さん
地域みまもり支援センター 地域支援課 課長補佐 菅原さん
まちづくり推進部 企画課 担当係長 佐藤さん
   同     企画課 桐ケ谷さん

電話番号:044-861-3113
URL:http://www.city.kawasaki.jp/takatsu/
※この情報は2019(令和元)年12月時点のものです。