スペシャルインタビュー

海辺のある憧れのライフスタイルを身近なものにしてくれる平塚海岸エリアの公園整備

東京から電車でおよそ1時間。神奈川県のほぼ中央に位置し、豊かな自然環境に囲まれた暮らしやすい街として注目されている平塚市。「選ばれるまち・住み続けるまち」をスローガンに掲げたまちづくりが進められ、子育て世代をはじめ高齢者にとっても過ごしやすい落ち着いた雰囲気が広がっている。海岸沿いも他の湘南エリアとは異なる趣で、夕日を眺めたり砂浜を散策したり、海辺の自然を感じながらゆっくり過ごせるのが魅力的だ。 今回は平塚海岸エリアの魅力アップに取り組む平塚市役所都市整備部みどり公園・水辺課を訪ね、平塚海岸エリアの公園整備について、また平塚市の魅力についてお話を伺った。

相模湾に面した人口約25万7千人を擁する平塚市

平塚市の街並み
平塚市の街並み

――まず平塚市の概要について教えてください。

ご担当者:平塚市は神奈川県の相模湾に面している都市で、海岸線のほぼ中央に位置しています。約4kmの海岸線とそこから北西に広がる扇状の地形を有しており、相模川と金目川という2つの主要な河川が市内を流れています。下流域には平野とそれを取り囲むように台地と丘陵が形成され豊かな自然環境に恵まれています。

人口は2021(令和3)年7月現在およそ25万7千人で、他の自治体では人口減少が課題になっておりますが、平塚市は計画的な市街地整備や区画整理等を行うことによってほぼ横ばいで推移している状況です。

本市の特徴のひとつに商業、工業、農業、漁業などバランスの取れた産業構成となっていることが挙げられますが、「平塚」駅周辺は古くから商業地として栄え、少し離れた相模川沿いや郊外は工業地帯として発展してきました。また市北側と西側には市街化調整区域がありまして、農業に適した田畑が今も多く残っています。

平塚市では現在、「選ばれるまち・住み続けるまち」をスローガンに掲げて政策を行なっておりまして、若い世代だけではなく、ご高齢の方にとっても暮らしやすいまちづくりを目指してさまざまな取り組みを展開しているところです。

海岸エリアの魅力アップを図る「ひらつか海岸エリア魅力アップチャレンジ」

湘南ひらつかビーチパーク
湘南ひらつかビーチパーク

――「ひらつか海岸エリア魅力アップチャレンジ」についてお聞かせください。

ご担当者:「ひらつか海岸エリア魅力アップチャレンジ」というのは、平塚の海岸エリア全体の魅力アップを図ることを目的に2016(平成28)年5月に公表させていただいたものです。本市が掲げる「選ばれるまち・住み続けるまち」を実現するためには、圏央道などの広域交通網の整備効果を最大限に生かして交流人口の増加を図ったり、平塚市民のまちへの愛着と誇りの醸成を目指すことが重要であると考えます。

詳しくは市のHP(http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/keikaku/page03_00015.html)からもご覧いただけますが、平塚の海岸エリアを大きく5つのゾーンに分けまして、それぞれ特色をもった取り組みが進められています。駅から海岸に向けて整備された「なぎさプロムナード」をはじめ、観光や新しい産業の拠点として注目される「漁港周辺」、SunSunマルシェの開催で知られる「湘南海岸公園」やビーチスポーツの盛んな「ビーチパーク」、そして今回新しい公園として整備を進めている「龍城ケ丘プール跡地とその周辺」もそのひとつです。

2013(平成25)年に廃止された龍城ケ丘プール跡地とその周辺を新たな公園として整備

龍城ヶ丘ゾーン整備計画 俯瞰図 ※現時点での計画であり、関係機関との協議の上変更することがあります。
龍城ヶ丘ゾーン整備計画 俯瞰図 ※現時点での計画であり、関係機関との協議の上変更することがあります。

――公園の整備に至った背景や経緯についてお聞かせください。

ご担当者:古くは1937(昭和12)年に平塚の海岸一帯が総合公園として都市計画決定されました。同年には「龍城ケ丘プール」も開設され、長年、市民のみなさまに楽しんでいただいたのですが、施設の老朽化により2013(平成25)年に廃止となりました。

その年に湘南海岸全体の公園整備の方向性を示した「湘南海岸公園再整備計画」を策定しました。すでにその一部の「ビーチパーク」等は整備されておりますが、「龍城ケ丘プール跡地とその周辺」につきましても「ひらつか海岸エリア魅力アップチャレンジ」と合わせて整備を進めることにしました。

現在は危険の無いようにプール跡地を柵で囲っておりますが、安全上の問題や景観の課題もあるエリアなので、公園として一体的な整備を進めて行く計画です。

“Beach Life Base Hiratsuka”をコンセプトに掲げた新しい公園の整備

サンセットテラスからの眺望イメージ ※現時点での計画であり、関係機関との協議の上変更することがあります。
サンセットテラスからの眺望イメージ ※現時点での計画であり、関係機関との協議の上変更することがあります。

――整備のコンセプトや特徴についてお聞かせください。

ご担当者:まず今回の公園整備に関しては平塚市だけではなく複数の民間企業で構成する平塚シーサイドパーク共同事業体と一緒に事業を進めているのが特徴です。2017(平成29)年に都市公園法の改正がありまして民間事業者の参入機会が拡大され、民間事業者が入ることによって自治体の財政負担を軽減できるだけではなく、民間のノウハウを取り入れることによってより質の高いサービスを提供できると考え新しい手法を取り入れることにしました。

公園の整備を進めるにあたってコンセプトに“Beach Life Base Hiratsuka”というものを掲げておりまして、地域住民はもちろん広域来園者が目的を持って訪れる公園として整備することで、海辺のある暮らしといった平塚のライフスタイルを創出していきます。さらにそのライフスタイルが周辺地域にも広がることで、「選ばれるまち・住み続けるまち」の実現へとつながることが期待されています。

シーサイドテラスイメージ ※現時点での計画であり、関係機関との協議の上変更することがあります。
シーサイドテラスイメージ ※現時点での計画であり、関係機関との協議の上変更することがあります。

整備の基本的な方針としては平塚海岸の魅力を生かした夕日の絶景ポイントとして、また砂浜や海を見ながら安らげる憩いの場とする考えがあります。

工事は今年度から着工する予定で、2022(令和4)年12月には完成する計画です。コロナ禍において外出自粛が続いておりますが、健康維持のために適度な運動や散歩は必要で、公園のあり方に注目が集まる今、計画通り整備を進めていく予定です。

海辺の雰囲気を感じながらゆっくり過ごしていただける空間を意識

マルシェ棟イメージ ※現時点での計画であり、関係機関との協議の上変更することがあります。
マルシェ棟イメージ ※現時点での計画であり、関係機関との協議の上変更することがあります。

――施設の特徴や独自の設備等があれば教えてください。

ご担当者:まず公園の主要な出入口になる場所に「ビーチライフプロムナード」という園路を整備します。来園者を海辺や夕日方向へと導く園路で、それに沿って広場や店舗を配置する計画です。園内には公園の賑わいの中心となる「イベントプレイス」や「芝生広場」、「スポーツフィールド」といった施設を整備する予定で、海辺の雰囲気を感じながらゆっくり過ごしていただける空間にします。

また平塚市の農水産物を販売、飲食できる「マルシェ棟」や、海の景色を楽しみながら飲食ができる「カフェ棟」や「BBQレストラン」を合わせて整備していく計画です。平塚市には「あさつゆ広場」という市内の農産物を取り扱う直売所はありますが、海岸エリアからはちょっと離れた場所にあります。そういった点からも物販や飲食できる施設を含めた一体的な整備をすることによって、近隣住民はもちろん圏央道から国道134号を利用される方にも平塚の魅力を発信できるようになると考えています。

カフェ棟イメージ ※現時点での計画であり、関係機関との協議の上変更することがあります。
カフェ棟イメージ ※現時点での計画であり、関係機関との協議の上変更することがあります。

設備面に関してはユニバーサルデザインを意識した設計にしています。障がいのある方やご年配の方も含め、誰もが使いやすい公園となるように計画しています。

また海岸に面している施設なので万が一津波が発生した場合の避難施設も整備します。「エントランス棟」は屋上に登ることができまして、普段は海や夕日を眺める展望台としてご利用いただけますが、津波高潮発生時には屋上に避難することもでき、公園利用者の安心・安全を確保する施設として整備します。

さらに公園を整備するにあたって周囲の樹林はできる限り残しつつ、適正な維持管理をすることによって、公園としてより良い環境にする計画です。

平塚の海を気軽に楽しんでいただき平塚の魅力を感じてもらえる場へと

国道134号
国道134号

――公園の整備によって今後期待されることについてお聞かせください。

ご担当者:平塚市は海に面してはいるのですが、これまで市民にとって気軽に来られる環境ではありませんでした。駐車場も限られていますし駅から歩いても少し距離があるので、他の海水浴場や海岸に行ったことはあっても、平塚の海の魅力についてはあまり知られてはいませんでした。

そこで今回公園を整備することによって市民の皆様に気軽に来ていただけるようになり、平塚の海を楽しんでいただけるようになることが私どもとしては非常に期待しているところです。公園整備と合わせて「龍城ヶ丘ゾーンに整備する公園」「ビーチパーク」、「漁港周辺」を園路で結ぶ計画もあり、海岸エリア全体の活性化を期待しているところです。市民に誇りと愛着を持っていただくということと、市外の方にも平塚の魅力を知っていただく場になるということを期待しています。

海岸の自然が多く残されているのが平塚の海岸の特徴

自然環境豊かな平塚市(湘南平レストハウスからの眺望)
自然環境豊かな平塚市(湘南平レストハウスからの眺望)

――他の湘南エリアの海岸との違いや特徴があればお聞かせください。

ご担当者:平塚の海岸は他のエリアと比べて自然が多く残されているのが特徴ではないかと思います。公園を整備するにあたっても海岸の自然環境を楽しんでいただけるような計画にしています。

平塚の海岸には若者だけではなく、親子連れやご高齢の方も含めて誰もが気軽に訪れていただけるような公園になるよう目指しています。

ちなみに平塚にはビーチスポーツが盛んな「ビーチパーク」がすでに整備されています。ゾーンごとの役割を生かして、こちらの公園ではゆっくりと夕日を眺めていただいたり、海辺を散策していただいたり、海岸の自然を感じながらゆっくり過ごしていただけるような公園の整備をイメージしています。

四季温和で自然に恵まれた生活しやすい街

湘南平からの眺望
湘南平からの眺望

――最後に平塚市の魅力(住環境、自然環境、利便性、おすすめスポットなど)についてお聞かせください。

ご担当者:あくまで個人の感想ですが四季温和な気候なので非常に暮らしやすいと思います。市域も相模湾に面していたり大山や丹沢、遠くには富士や箱根連山を遠望できるエリアということで自然環境に恵まれた市であると考えます。

また自然だけではなく様々なバランスの取れた産業があることで、お住まいいただくには生活しやすい便利な環境だと思います。

ainowa(あいのわ)
ainowa(あいのわ)

おすすめのスポットとしては湘南平という場所がありまして、高麗山の頂上から360°のパノラマを見渡すことができます。恋人たちの聖地としても知られている場所で、「ainowa(あいのわ)」という鍵かけモニュメントを設置しており多くの人が訪れています。

あと市域のほぼ中央に「平塚市総合公園」がありまして、スタジアムやスポーツ施設があるほか、大型の複合遊具もありますので小さなお子様連れのご家族に人気のスポットになっています。また園内には広々とした芝生広場や四季折々の景色が楽しめる日本庭園などもあり、散策やジョギングなど幅広い年代の方にご利用いただいています。

海辺のある憧れのライフスタイルを身近なものにしてくれる平塚海岸エリアの公園整備
海辺のある憧れのライフスタイルを身近なものにしてくれる平塚海岸エリアの公園整備

平塚市役所

都市整備部みどり公園・水辺課
所在地 :神奈川県平塚市浅間町9番1号
電話番号:0463-23-1111
URL:http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/
※この情報は2021(令和3)年8月時点のものです。