スペシャルインタビュー

三浦海岸を体感する、ユニークなモビリティサービスを提供する「三浦観光バス」

三浦市を拠点に観光バスやレンタカー事業を行う「三浦観光バス」。常務取締役の根岸辰也さんは元々東京で働いていたが、数年前に地元三浦海岸へと戻って来た。今回はそんな根岸さんに、トゥクトゥクやキックボード、キャンピングカーなど移動手段としてだけではないユニークな提供サービスや、生まれ育った三浦海岸エリアの魅力について語っていただいた。

「三浦観光バス」根岸さん
「三浦観光バス」根岸さん

帰省や町案内など、移住者の利用が増えているレンタカー

――まずは三浦観光バスについてと、根岸さんのご経歴をお聞かせください。

根岸さん:1955(昭和30)年代に祖父が開いた海の家が、三浦観光バスの始まりです。当時この辺りでは海の家が大流行し、全盛期には120軒ほどもあり、大勢の海水浴客であふれていたそうです。これだけの人を海水浴だけで帰すのはもったいないと、民宿や飲食店、旅行会社などが生まれていきました。そうした観光業の流れのもと、祖父も観光バス事業やレンタカー業を手掛けるようになり、やがて父が継いで、約20年やってきました。

僕は新卒で東京の旅行会社に4年半ほど勤めていましたが、父が体調を崩したのをきっかけに退職し、生まれ育った上宮田に戻ってきました。2014(平成26)年に入社し、社内の事業改革などを行い、2017(平成29)年より役員となりました。

津久井浜〜三浦海岸間開通により海水浴客でにぎわう三浦海岸(提供:京浜急行電鉄株式会社)
津久井浜〜三浦海岸間開通により海水浴客でにぎわう三浦海岸(提供:京浜急行電鉄株式会社)

――現在提供されているサービスについてお聞かせください。

根岸さん:ひとつは、昔から行っているレンタカーや貸切バスの事業です。レンタカーはコンパクトカーからトラックまで多彩にそろえています。僕がキッチンカーで出店していた関係で、キッチンカーのレンタルもやっています。

また、僕の代になってからは新たに、トゥクトゥクやキックボード、キャンピングカー、一人乗りの超小型電気自動車なども貸し出しています。ただ移動するだけでなく、乗っている時間や乗り物の空間なども楽しんでもらいたいと思い、始めました。

例えばキャンピングカーなら、宿泊するだけではなく、海が見えるところに停めてテーブルを広げてランチするくらいの、気軽な使い方をご提案しています。キャンピングカーを借りるからといって、本格的なキャンプをしなくてもいい。普段乗っている車とは違うだけでも気分が変わるし、ビーチでランチするだけでも十分に楽しいことを、体験いただきたいです。

僕自身、休日に3人の子どもたちとそんな風にゆるく楽しんでいます。海岸にも地面が硬い所があるのでテントも張れますし、夏の海水浴場エリア以外では、浜辺で焚き火も楽しめるんですよ。

気軽なキャンピングカーのレンタルで新たな生活の一面を見る(提供:三浦観光バス)
気軽なキャンピングカーのレンタルで新たな生活の一面を見る(提供:三浦観光バス)

――三浦海岸の住民の方に人気のサービスがあれば、教えてください。

根岸さん:地元の方に一番需要があるのはレンタカーですね。特に移住してきた方の利用が多いです。自家用車はコンパクトカーという方が、大きい車が必要なときに借りてくださっています。大阪など遠方に帰省する方などが荷物をたくさん積んで行くとか、ご家族が東京から遊びに来るからみんなを乗せて市内を案内したいというケースもあります。あと、これは移住者に限らないのですが、地元の人も意外とトゥクトゥクを使ってくれますね。

――地元の方にも人気のトゥクトゥクなどで行ってほしい、三浦海岸付近のおすすめスポットがあればお教えください。

根岸さん:いつもご案内するのは「三崎下町商店街」です。定番ですが、あの辺りを見てまわるのは楽しいと思います。風車がある「宮川公園」周辺からの景色もおすすめです。すぐそばに架かっている宮川大橋から見下ろす宮川湾の景色がいいんです。穏やかな海に停泊しているヨットが小さく見えて、小さな漁村を臨む感じがまるでジブリ映画のような雰囲気で。駐車場やサイクルステーションもあるので、車やロードバイクでも行きやすいです。

もうひとつは、油壺湾のヨットハーバーの辺りから見える夕日です。季節によりますが、沈む夕日がうまいこと山頂に重なって輝くダイヤモンド富士も見えるんです。実物は写真で見るよりずっとキレイで感動しますよ。

地元住民にも人気のトゥクトゥク(提供:三浦観光バス)
地元住民にも人気のトゥクトゥク(提供:三浦観光バス)

休日には近くの農園でみかん狩りやBBQを楽しむ

――「三浦海岸」駅周辺で、ファミリーで楽しめるおすすめの場所をお教えください。

根岸さん:気軽に楽しむなら収穫体験がおすすめです。この辺りにはいちご狩りやみかん狩りができる農園がいくつもあるんですよ。みかんは温暖な三浦ならではですね。

子どもの遊び場としては、「三浦海岸ハイツ」という団地内の公園がおすすめです。駅の北に広がる団地で、敷地内に公園が7~8個はあるんじゃないかな。どれも定番遊具が設置された小さな公園ですが、幼児や小学生が遊ぶには十分な広さがあります。昔からあって、僕も小学校の頃に遊んでいました。うちの子たちはここで公園をハシゴして大いに楽しんでいます(笑)

「三浦海岸ハイツ」敷地内の公園で遊ぶお子さん(提供:根岸さん)
「三浦海岸ハイツ」敷地内の公園で遊ぶお子さん(提供:根岸さん)

あとはやはり海辺ですね。ここの海は穏やかでビーチが広く、何をするにしても気持ちのいい場所です。海沿いにあるシェアオフィス&カフェ「BAYSIDE CAFE 三浦海岸」ではおいしいコーヒーが飲めますし、ソフトドリンクもあるので、テイクアウトして浜辺を散歩してみてはどうでしょう。

ここの海は波が立たないので、サーフィンではなくウインドサーフィンに向いていて、みなさん一年中楽しんでいます。SUPやシーカヤックもできますし、カイトサーフィンも盛んです。カイトサーフィンはスピードが出るため日本ではできるところがほとんどなくて、三浦海岸以外だと宮崎県の海岸ぐらいしかないんだそうですよ。家族でマリンスポーツを楽しむのもいいでしょう。

BAYSIDE CAFE 三浦海岸
BAYSIDE CAFE 三浦海岸

――この辺りにお気に入りスポットがあればお教えください。

根岸さん:「三浦海岸」駅から海とは反対方向へと延びるゆるやかな坂道があって、そこを登りきったところから見える富士山が気に入っています。空気が澄んでいる冬は特に綺麗で、お正月にはよく写真を撮りに行っています。車を停められるような場所でもないし、知らなかったら通り過ぎてしまうようなところですが、富士山が見えると大体みんな「わあっ!」って声をあげますね。夕陽が畑を照らす様子もいいですよ。

坂の上から見える富士山(提供:根岸さん)
坂の上から見える富士山(提供:根岸さん)

便利過ぎない三浦海岸エリアで、心にゆとりをもった暮らしを

――「三浦海岸」で暮らす魅力についてお聞かせください。

根岸さん:こっちに帰ってきて改めて感じたのは、都心までの近さです。「三浦海岸」駅からは「品川」駅まで約73分、「横浜」駅まで約52分。乗り換えなしで行けるからラクです。東京にお勤めの方なら、京急電鉄の座席指定サービス「モーニング・ウィング号」も便利でしょう。知り合いは行きも帰りもウィング号を利用していて、電車の中でガッツリ仕事をしていると言っていました。通勤時間を仕事に充てられるから、忙しくても家では仕事をしないで済んでいるようです。

そして何より、海と駅の近さ。「三浦海岸」駅から7分歩けば海辺に出られます。三浦半島全体を見ても、こんな場所なかなかないですよね。だからこそ、僕は高校生の頃からずっと「三浦海岸はアーバンリゾートだ」って言い続けています。

僕はこれまで電車とバスを乗り継いでどこかに通った経験がないので、それだけで面倒に感じてしまうんですよね。駅から20分歩くのは苦じゃないけど、駅から10分バスに乗って10分歩くのは無理なんです。こういう立地の良さもあって、この地を再び離れる理由は今のところ見つかりません。

「三浦海岸」駅
「三浦海岸」駅

一方で、ほどよい田舎であることも大きな魅力です。横須賀もいいけど、三浦海岸はより田舎だからもっといい。その分、心にゆとりをもった暮らし方ができるので。

三浦海岸には、精神的なゆとりを与えてくれる環境や、子どもがのびのび育つ環境など、利便性には代えがたい良さがあると思います。テレワークが進んで満員電車での通勤が当たり前ではなくなったように、価値観が変わり、ライフスタイルも多様になった今、三浦海岸は生活拠点としてベストに近い場所に感じていますね。

そもそも利便性にしても、徒歩圏内には「京急ストア」がありますし、あちこちに地元農家の方々の直売場があります。駅前で月に2回開催されている朝市では新鮮な野菜や海産物を安く買える上、他に必要なものがあったら車で「ベイシア 三浦店」か「ヤオコー 三浦初声店」に行けばいいだけですので、全く困っていません。

駅前の「京急ストア 三浦海岸店」
駅前の「京急ストア 三浦海岸店」

最近は都市部から移住して来た人が飲食店を開くケースも多く、外食の選択肢が増えてきました。価格が都心の7割ぐらいですし。この事務所の下にあるイタリアン「ao(アオ)」も非常にクオリティの高いお料理を出していますが、手頃な価格で食べられます。三浦で生まれ育った人には少し割高に感じるでしょうが、都内から越してくる方にしてみれば、納得できる価格設定だと思います。海が近いので、魚は特に新鮮でおいしいです。漁師さんが経営している近くの居酒屋「創作料理清丸(きよしまる)」は、刺し盛りが最高においしいですよ。

――東京都心など他の地域から移り住んでくる方にとって、三浦海岸はどんなエリアだと思いますか。

根岸さん:移住者は多いので、街に溶け込みやすいんじゃないでしょうか。さっきお話しした「BAYSIDE CAFE 三浦海岸」も東京から移住してきた方が開いた施設で、移住者のサポートや移住者のコミュニティ作りもされています。少し前にオープンした「BARそなちね」も、横須賀から引っ越してきた方が開いたお店です。こんな田舎町のバーに客が入るのかと心配しましたが、蓋を開けたら大盛況。オーナーさんの人柄に加えてお酒やお料理、内装も素敵で。良い店にはちゃんと人が来るんだなと思いましたね。

関連会社「Awesome Wheel Designs」のオフィスにて
関連会社「Awesome Wheel Designs」のオフィスにて

――最後に、これから三浦海岸エリアにお住まいになられる方々へメッセージをお願いします。

根岸さん:海岸沿いの飲食店はチェーン店ばかりだったんですが、個人店も見かけるようになってきました。駅前にもラーメン店「KURAUDO -喰堂-」ができ、空いていたところが埋まり始めています。こだわりを持った良質な店が増え、いい方向に向かっていると思います。

最近も、麻布に店を構えていた方がこっちでイタリアンの店を開くという話を耳にしました。「そこでもおいしい料理をお手頃価格で食べられるのでは」と、今からワクワクしています(笑)。マンションができると知って出店を検討している人が大勢いますから、店はこれからもっと増えるでしょう。これから独自の文化が育ち、より魅力的なエリアになるんじゃないかと思います。

 

心豊かな暮らし方ができる三浦海岸で楽しい移動を提供する「三浦観光バス」
心豊かな暮らし方ができる三浦海岸で楽しい移動を提供する「三浦観光バス」

株式会社三浦観光バス

常務取締役 根岸辰也さん
所在地 :神奈川県三浦市南下浦町上宮田1486-2
電話番号:046-888-3821
URL:https://miurakankobus.co.jp/
※※この情報は2023(令和5)年9月時点のものです。

\ 私が紹介しました/

admin