立場エリアガイドTATEBA

特別インタビュー

さまざまな支援で泉区の子育て世帯を支える「泉区地域子育て支援拠点すきっぷ」

相模鉄道いずみ野線「いずみ中央」駅から徒歩1分。駅ビルの一角にあり、ガラス張りの半円筒形が目を引くのが「泉区地域子育て支援拠点すきっぷ」だ。子育て世帯を中心とした、遊び・交流のための「親子ひろば」があることで知られるが、その他にもさまざまな取り組みを行い、泉区で子育てする家庭の暮らしを支えている。

今回はそんな施設の取り組みや泉区の魅力について、職員の杉山さんにお話を伺った。

駅前広場から見た「泉区地域子育て支援拠点すきっぷ」
駅前広場から見た「泉区地域子育て支援拠点すきっぷ」

予約なしで利用可能!2階から見える電車に子どもたちは大喜び

——「泉区地域子育て支援拠点すきっぷ」の概要を教えてください。

杉山さん:本施設は、未就学児のいる子育て世帯を支援する公共施設であり、子どもと保護者が安心して過ごせる居場所でもあります。また、妊娠中の方やそのご家族、地域で子育てを応援している方も利用しています。

他にも育児相談や子育て情報の提供や、子育て支援の担い手を育成するための研修開催や学生の実習受け入れを行っています。

階段をのぼったところにある、ひろばの出入口
階段をのぼったところにある、ひろばの出入口

杉山さん:この施設は、1階には子育て相談室・授乳スペース・事務所などがあり、2階が親子で遊べる「ひろば」になっています。さまざまなおもちゃやミニすべり台、おままごと道具、絵本などが置いてあります。

お座りの時期くらいまでの小さな子と保護者が安心して過ごせる「赤ちゃんスペース」もありますよ。お昼の11時45分~12時45分のランチタイムには、持参したものを食べていただくこともできます。授乳やおむつ替えのスペースは1、2階両方のフロアにありますので、お子さん連れの方にとっては利用しやすいと思います。

窓から電車がよく見える2階の「ひろば」
窓から電車がよく見える2階の「ひろば」

——「すきっぷ」の利用者層と、利用状況についてお教えください。

杉山さん:イベントは事前申込制のものもありますが、「ひろば」は予約なしで自由にご利用いただけます。利用者数は1日40組ぐらいで、きょうだい児の利用も多いですね。ご両親だけでなく、祖父母がお孫さんを連れて来られることもあります。土曜日は家族全員でいらっしゃる方や、パパの利用も多いです。

泉区の子育て情報を集めた「ちょこっとマップ」
泉区の子育て情報を集めた「ちょこっとマップ」

杉山さん:私がここで働き始めた10年ぐらい前は3~4歳くらいの子が多かったんですが、最近は0~1歳の子が多くなっていますね。1歳過ぎに職場復帰する家庭が増えているからでしょう。

ママ同士がお友だちになって、遊びに行く場所や離乳食、保育園や幼稚園のことなど、話が弾んでいる様子も見られます。

また、生活リズムを作るために利用される方もいらっしゃいます。たとえば午前中に来ていっぱい体を動かして、帰ってお昼ご飯を食べてお昼寝するとか。逆にお昼寝をしてご飯を食べてから遊びに来るとか。日課になっていて、毎日通ってくださる方もいらっしゃいます。

地域住民との交流や助け合いを通じ、保護者も変わっていく

——「すきっぷ」の特長についてお教えください。

杉山さん:「ひろば」の運営だけでなく、専任スタッフが必要な制度や支援機関を紹介して相談者と一緒に考える「子育てパートナー事業」など、横浜市の方針で7つの事業を展開し、さまざまな方に対応できるよう幅広い支援を行っています。

地域ぐるみで子育て支援を行う「横浜子育てサポートシステム」は、「子どもを預かってほしい人」と「預かる人」が会員登録し、条件の合う方をマッチングするものです。預かる会員はしっかりした研修を受けて頂きます。昨年の夏から利用料が改訂されて使いやすくなったことと、2023(令和5)年4月以降に生まれたお子さんを対象に、8時間分のおためし券「子サポdeあずかりおためし券」で利用する人も増えてきています。

——「入学前の気持ちを話しませんか」「歯磨き相談」などさまざまなイベントを定期的に開催されていますね。イベントを企画するにあたって、こだわりや心がけていることがあればお聞かせください。

杉山さん:利用者さんとの日頃の会話から困っていることを拾い出し、それを解消できるように心がけています。

新米ママとパパに喜ばれているエピソード集
新米ママとパパに喜ばれているエピソード集

杉山さん:「こういうことを知ることが出来たら保護者の方は助かるだろう」、「こういう話を聞いてもらったら役に立つのでは」といった視点で考えています。講師には、横浜市で長く活動されている助産師さんや栄養士さん、地域に根差して活動されているグループの方にお願いすることが多いですね。

あとは近隣の保育園の先生や専門家の方にお越しいただくこともあります。たとえば利用者さんから「夜泣きが大変で困っている」という声があれば、眠りの専門家の方にお願いして講座を行う場合もあります。

杉山さん:もう一つ、子育てを頑張っている保護者のみなさんが明るい気持ちになれることも大事にしています。そのひとつが、ボランティアのみなさんが作る「背守り」です。元々は母親が子どもの成長を願って着物の背中に入れた刺しゅうですが、すきっぷではガーゼに刺しゅうを施しています。

完成した背守りは、作った方の手書きのメッセージを添えて1歳までに第一子のお子さんと来てくれた利用者さんにプレゼントしています。可愛らしいですし、やはり手作りのものは気持ちが伝わるみたいで、ママさんたちにとても喜んでいただいています。

完成した背守り(提供:「泉区地域子育て支援拠点すきっぷ」)
完成した背守り(提供:「泉区地域子育て支援拠点すきっぷ」)

——施設利用者へのアンケートで、多くの方が「子育てや利用者自身に変化があった」と回答されているのを拝見しました。利用者の声などあればご紹介いただけますか?また、こういった結果につながるような普段の心がけがあれば教えてください。

杉山さん:ある程度通っていただくうちに、徐々に変わっていかれる感じですね。たとえばプレパパやプレママさんのイベントがあれば、前もって利用者さんに、「お子さんを抱っこさせていただけると嬉しいです」とお声がけしておきます。そうすると当日、多くの人が協力しようと自発的にいらして、プレママさんたちに快く抱っこさせてくださるんです。

お話を聞いていると、「以前自分がお世話になったので」「あのときのイベントに参加してよかったから」など、ご自身の経験から参加してくださる方々が多いように感じます。地域の方々との交流や利用者さん同士の助け合いを通じて、少しずつ変わっていくのだと思います。私たち自身、そういうお手伝いができればいいなと思いながら、日々利用者さんと地域の人をつなげるように心がけています。

R3年度利用者アンケート結果の一部(引用:R3年度利用者アンケート結果)
R3年度利用者アンケート結果の一部(引用:R3年度利用者アンケート結果)

杉山さん:利用者さんはここに来ることで、「子どもがこれくらいの頃は私もすごく大変だったけど、ここを乗り越えたらだいぶラクになるよ」なんていう話を先輩ママから聞くことができたり、他のお子さんを見て「数か月先あるいは数年後には、こんなふうに成長するんだな」と想像できたり、「大変なのはみんな一緒なんだ」と安心したりします。小さなお子さんや保護者の方にとって大切な場所なので、誰もが安心して過ごせるよう心がけています。

泉区は水と緑が豊か!屋内の遊び場や親子向けイベントも豊富

——子育てにおいて、泉区はどんな点が魅力的だと思われますか? 利用者様の声なども合わせてお聞かせください。

杉山さん:いろいろありますけど、ひとつは境川沿いの遊水池や公園、畑など水と緑が豊かで、子どもの遊び場が多いところですね。農家さんが家の前に新鮮な野菜を並べた無人の直売所を設けていたりして、ママたちが散歩がてらお買い物に行っているとよく聞きます。

「すきっぷ」の公園遊びでは、「泉中央公園」や境川沿いにある「和泉町桜川公園」などに行きます。屋内なら「いずみ中央」駅の北口にある「みんなの絵本のおうち」や、中田にある「かがやきおもちゃ館」も人気です。今でも公園は十分にありますが、夏に「ゆめが丘」駅前にできるショッピングモールの屋上に、相鉄のキャラクター「そうにゃん」をモチーフにした遊具を備えた広場ができるそうですよ。

「泉中央公園」の様子
「泉中央公園」の様子

杉山さん:さらに、遊ぶ場所が豊富なだけでなく、地域の人と一緒に楽しめる親子向けイベントが多いのも泉区のいいところです。地区ごとに子育て家庭を応援するネットワークがあって、区役所、地域ケアプラザ、地区センター、保育園やこども園、幼稚園などが連携して子育て家庭への支援を行っているんです。

子どもや乳幼児親子が楽しめるイベントもそのひとつで、例えば下和泉地域では、赤ちゃんと中学生とのふれあいの場を設けています。楽しい時間を過ごせるだけでなく、地域の人とのつながりを作る機会にもなります。町内会や地域の方が開いている場である「子育てサロン」が、お芋掘りや公園遊びなど独自にイベントを企画することもあります。

「立場地区センター」
「立場地区センター」

杉山さん:また、地域性なのか、子育てを応援してくれる方が多いのも魅力です。この辺を歩いていると、ママたちに温かい言葉をかけてくれる人がたくさんいらっしゃるんですよ。そういう声かけを後押しするために、泉区では「子育て応援マーク」というワッペンを用意しています。ママやパパなど子育てを応援してほしい人はピンク色の面を表にして、子育てを応援したい人はブルーの面を表にして、カバンなどにつけるんです。

親だけでなくみんなで子どもを守るペンギンのように、地域ぐるみで子育てをする街を目指そうというコンセプトで、ペンギンをモチーフにしています。街中を歩いていると、結構つけている方を見かけるのでうれしいです。

もっと広がれば、より温かく住みやすい街、子育てしやすい街になるんじゃないかなと思います。ワッペンは、すきっぷをはじめ、区役所や各地区のケアプラザや地区センター等で無料配布していますので、ぜひご利用ください。

リュックやカバンなどにつけられる「子育て応援マーク」
リュックやカバンなどにつけられる「子育て応援マーク」

——泉区エリアのおすすめスポットなどがあればお聞かせください。

杉山さん:作業所のパン屋さんがオススメですね。泉区には障がいのある方の就労支援をしている事業所がいくつかあって、パン屋をメインにお店をやっているんです。「すきっぷ」にも月に一度、販売に来るので、利用者さんにも買っていただけます。今日も「南万騎が原」駅近くに店がある「パン工房ぴぐれっと」さんがいらっしゃる予定です。

区役所の裏には「ぶどうの樹」がありますし、立場にも「ベーカリー&カフェ はなむら」があります。どこのパンもすごくおいしくて、ママたちもよく行っていますよ。すぐそこにある「讃岐うどん なかだや」さんも作業所の方たちが作っていて、職員の間で評判です。

「ぶどうの樹」
「ぶどうの樹」

「讃岐うどん なかだや」
「讃岐うどん なかだや」

image photo
image photo

泉区地域子育て支援拠点すきっぷ

職員 杉山さん
所在地:横浜市泉区和泉中央南5-4-13 相鉄いずみ中央ビル209号
電話番号:045-805-6111
URL:https://skip-izumi.jp/
※この情報は2024(令和6)年2月時点のものです。

\ 私が紹介しました/

admin