自主自律の心を育てる公立小学校

一人ひとりに合った支援で学びの充実を図る「川崎市立坂戸小学校」

「溝の口」駅周辺には大型商業施設や商店街などもあり、高い利便性とにぎわいを感じることができる。そして川崎市高津区坂戸エリアには、いちご狩りの出来る農園などもあり、穏やかな住環境が整っている。そうした穏やかな環境に包まれる「川崎市立坂戸小学校」に着任され3年目を迎える山川佳美校長先生に、学校の取り組みや地域住民との関わり、そして溝の口エリアの魅力について話を聞いた。

山川佳美校長先生
山川佳美校長先生

児童の増加は、豊かな人間形成につながる

――学校の歴史や概要についてお聞かせください。

山川校長先生 本校は、1969(昭和44)年、周りの小学校の児童が増えてきたため、開校しました。近くの「東高津小学校」と「久本小学校」から移って来た児童200名と新入生100名の計300名ほどでスタートしたそうです。2018(平成30)年に創立50周年を迎えたときの在校生の数は590名でしたが、現在は734名と、5年間で150名近く増えました。普通教室はいっぱいで、これから増築工事が始まるところです。

「音楽のまち・かわさき」らしく、朝は校内放送で校歌が、掃除の時間には月替わりの曲と川崎市歌がかかります。やっぱり毎日聴いていると愛着がわきますね。

「川崎市立坂戸小学校」正門
「川崎市立坂戸小学校」正門

――児童が増えていることについて、期待することなどあればお聞かせください。

山川校長先生 私たちは「人」と「もの」と「こと」との出会いによってできています。その出会いが多いほど人は豊かになると思っていますので、その点で期待をしています。友だちと自分の気もちを伝え合う中で、子どもは多くのことを学びますよね。児童数の増加は、人と関わるチャンスが増えることだと捉えています。

もちろん児童が増えれば、まとめるのも大変になりますが、児童とともに増える大きなエネルギーをプラスにして、できることを着実に進めていきたいと考えています。また、保護者も増えるため、みなさんの働き方やキャリアについての考えを聞かせていただき、キャリア教育に活かして、子どもたちの学びにつなげたいと思っています。

普通教室
普通教室

――授業の方法や指導について、特に大切にされていることや特色などをお教えください。

山川校長先生 本校の教育目標は「明るく健康な子」「やさしく思いやりのある子」「よく考え行動する子」「最後までやりとげる子」の4つです。また、「一人ひとりの子どもを大切にする」ことを運営方針として掲げ、「学校生活の充実」「人権尊重教育」「安全・安心」「地域とある学校」という4本柱を立てています。

子どもたちに学校に来るのが楽しいと思ってもらうには、生活面に加えて学習面の充実が大事です。「わかる」「できる」「楽しい」といった気もちを実感できる授業を心がけ、児童一人ひとりのニーズに合った支援ができるよう努めています。

合唱コンクールなど、さまざまなトロフィーが飾られている
合唱コンクールなど、さまざまなトロフィーが飾られている

タブレット端末を活用したオンラインの取り組み

――タブレット端末の活用方法やメリットを教えてください。例えば、テレビ朝会とはどういった取り組みでしょうか。

山川校長先生 コロナ禍による休校期間があったため、オンライン授業はその間に一気に進みました。ただ、小学生だと長時間じっとタブレットを見て過ごすのはまだ難しいため、成長段階に合わせて使ってはいます。オンラインの授業は多くはありませんが、学校に来たくても来られないお子さんと担任がつながるには、いいツールだと感じています。

また、「テレビ朝会」は本来、体育館に全校児童を集めて行う朝会を、各教室のテレビに配信して行うものです。私は本校に来て3年目ですが、最初の年は私が校長室で配信し、子どもたちは全員教室のテレビで視聴していました。昨年度は、1学年だけ体育館に集まってもらって、直接子どもたちの顔を見て話しました。今年度は体育館に3学年集まってもらって、スタートしています。

外光が射し込み明るい廊下
外光が射し込み明るい廊下

コロナ禍で密を避ける意味もありましたが、本校は増加する児童数に対して体育館が小さいため、オンラインの環境が整い良かったと思います。「1年生を迎える会」や「6年生を送る会」などの行事でもタブレットを活用することで、みんなでお祝いの気もちを伝えることができました。

学習面では、より主体的に学べるようにしたいと考えています。具体的には、算数を中心に、自分の理解の度合いを子どもたちに聞きながら授業を進めます。出来たのか、出来なかったのか、もうちょっとで出来そうなのか。自分の理解度を意識しながら進めることで主体性を育み、学びの喜びにつなげられればと思います。学年によっては昨年度も実施していましたが、今年度から学校全体で行う予定です。

近隣の学校や地域の方と連携して出来る取り組み

――近隣の保育園・幼稚園・中学校と連携して取り組んでいる活動、地域の方々との交流などがあればお聞かせください。

山川校長先生 保育園や幼稚園との交流は、残念ながらコロナ禍ではほとんどできませんでした。ただ、その中でも1年生の担任が中心になって、学校での活動内容を手紙で伝えるなど、できることから実施してきました。私立の中学校に進む子を除き、多くの子は「川崎市立東高津中学校」に、1丁目の子は「川崎市立高津中学校」に進学します。この2校が毎年12月の同じ日に学校見学会を開いてくださり、6年生が参加しています。

また、本校では工事の都合で去年の夏休み明けくらいから校庭が使えず、歩いて約5分と近い「高津中学校」の校庭をお借りして体育の授業を行っています。そうした事情もあって同校とは特によく連携できていて、運動会も校庭をお借りして行う予定です。児童も中学校の雰囲気を感じ取れるため、こうした連携ができてよかったと感じています。

増築工事中の校庭
増築工事中の校庭

そしてやはり、地域の方のご協力も大きいですね。PTAのOBの方が畑を貸してくださり、昨年度は2年生全員が大根の栽培と収穫を体験しました。近年は共働きの家庭が増えてきていますので、PTAとしてのベストな体系を考えて活動内容を見直しているところです。「出来る人が、出来るときに、出来ることをやっていく」という方針で進めていけたらと思っています。

また、保護者の方とはできるだけコミュニケーションを取りたいと思っているため、授業参観や運動会、個人面談など、月に1度程は学校に来ていただける機会を作るようにしています。

屋上は授業で使うことも
屋上は授業で使うことも

――今後、力を入れて取り組んでいきたい活動はありますか?

山川校長先生 しばらく校庭が使えないため、体力維持につながる活動を取り組みたいと思っています。また、座っているときの姿勢や鉛筆の持ち方、お箸の持ち方といった所作についても見直し、しっかり指導したいと思っています。

タブレット端末を使うときも、ノートに文字を書いているときも、だんだん姿勢が崩れて画面やノートと目の距離が短くなる子が多いことが気になっています。姿勢を保つことは体幹を鍛えることにもなりますし、その辺りに力を入れていきたいです。

畑もある、のどかな雰囲気が魅力の周辺環境

――最後に、溝の口エリアの魅力をお聞かせください。おすすめスポットや好きな風景どもあればぜひご紹介ください。

山川校長先生 「溝の口」駅前は、「マルイファミリー溝口」や「ノクティプラザ」、スポーツ施設や商店街などがあってとてもにぎやかですが、駅前を離れるとのどかな風景が広がっています。便利で都会的な街ですが、坂戸の学区には畑もありますし、のどかな部分が残っている。私はそこが好きですね。少し足を延ばすといちご農園もあって、いちご狩りも近くで楽しめるんですよ。この近くだと「坂戸公園」や「坂戸児童遊園」などの公園もあるほか、「かながわサイエンスパーク」の自由広場などでも子どもたちはよく遊んでいます。

広々として遊具も整う「坂戸公園」
広々として遊具も整う「坂戸公園」

自由広場の地面が赤い色で整備されているため、子どもたちは“赤の広場”と呼んでいますね。遊具は何もないんですが、走りまわるにはいいみたいです。隣の学区には大きめの遊具がある公園もありますし、いろいろなタイプの公園があるため子どもたちは楽しいと思います。

一番のおすすめスポットは、市内を流れる「二ヶ領用水(にかりょうようすい)」です。江戸時代に造られた水路で、この水路沿いの道を通って登校してくる子もいます。特に春になると桜が見事で、水に映る様子も綺麗です。新緑の季節も気もちがいいですよ。

 

校長 山川佳美先生
校長 山川佳美先生

川崎市立坂戸小学校

校長 山川佳美先生
所在地:神奈川県川崎市高津区坂戸1-18-1
電話番号:044-822-2341
FAX:044-822-1663
※この情報は2023(令和5)年5月時点のものです。

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