「横浜」駅東口から徒歩10分以内にありながら、昔ながらの人情商店街の風情を残す「平沼商店街」。その一角にある「お惣菜カフェ オレンジ」は、2015（平成27）年に開店したお店で、街の雰囲気になじみながら、地元の人々のご愛用の店として定着している。

店のオーナーの関口さんは、もともとこの平沼に生まれ育った生粋の平沼っ子。就職後はアパレル業界で働いていたそうだが、「地元に腰を据えて、地元の方のために店をやってみたい」とこの店を持った。もともと飲食店経験が無いところからの開業だったそうで、「うちは本当に、家庭でも作れるような料理ばっかりなんです。母と祖母から教わた料理もけっこうあるんですよ」と関口さん。

確かに、店の看板商品として紹介された「オレンジB定食」の内容は、鶏もも肉のネギ塩焼きと目玉焼きがメインの和定食。もうひとつの「A定食」も、唐揚げと目玉焼きに変わっただけで同じ内容だ。看板商品としてはかなり、地味である。だが、それでも日々多くのお客さんがリピートしてやって来るのは、美味しくて、体に良さそうで、幸せな気持ちに満たされるからに違いない。

「このへんには、一人でお住まいの方が多いんですよ。お年寄りの方もそうなんですが、横浜駅が近いので、若い方や学生さんにも一人の方が多くて。そういった方に日常的に来ていただけるように、毎日来ていただいても飽きないように、体にやさしいメニューを、全部手作りで作っています」と関口さん。この心遣いが、すべてのメニューに一杯にあふれている。

店が一番混み合うのはランチ時間。近くに大きなオフィスビルがあるので、毎日のように訪れる常連客も多い。A定食とB定食以外にもオムライス、カレーライス、ロコモコ、タコライス、ミートドリアといったものが定番として置かれている。常連には数量限定の日替わり定食の人気も高いそうだ。

定食の値段はおおむね1,000円ほどで、ハーフサイズにすると少し安くなる。なお、ランチタイム以外の時間帯でもほとんど同じメニュー構成なので、お年寄りなど近隣に住む人はコアタイムを外して訪れ、ゆっくりと過ごしていくそうだ。テイクアウトやおかずの単品販売にも対応しているので、持ち帰って自宅で食べる人も多く、鶏むね肉を使った唐揚げは、単品でもとくに人気の高い一品だ。

「カフェ オレンジ」は、こうしたアットホームな料理を出す、「カフェ」というよりは「定食屋」寄りのお店なのだが、店内はけっこうマニアックな雰囲気で、ランチタイム以外はつねにビートルズの音楽がかかり、壁の一等地にはビートルズのポスターが貼られている。

このマニアックさの理由は、主に夜に店に立っている、「マスター」ことギタリストのヤッチさんの趣味ということ。ヤッチさんは「オレンジ」の一員でありつつも、ギター以外にもさまざま作品の編曲も手掛けるなど、プロミュージシャンとして活躍中の方なので、彼を慕って訪れる音楽好きの客も多いという。月に1回から2回のペースで店内ライブも行っており、さまざまなゲストを迎えながら、毎回盛り上がっているそうだ。

ライブの日以外にも、貸切でパーティーやイベントに使われることは比較的多く、ビートルズマニアの集まりや、“嵐”ファンの集いなど、ユニークな集まりでも利用されている。最近ではウーバーイーツなど、宅配サービスにも力を入れているそうなので、ホームパーティーなどに利用してみてはいかがだろうか。

この店が多くの人を魅了してやまない理由は、最終的にはやはり、「人の魅力」に集約されるのだろう。「たまに訪れるオシャレな店もいいけれど、日常的に使うなら、こういうほっとする店がいいよね」という人が多いのではないだろうか。そんな人々がいて、ここに関口さんたちの笑顔がある限り、「オレンジ」はこの街でお腹とココロを満たし続けてくれることだろう。

※本文内のメニューは掲載時のものです。変更している場合がありますのでご了承ください。

お惣菜カフェ オレンジ
所在地：神奈川県横浜市西区平沼1-36-16 
電話番号：045-620-2533
営業時間：11:30～20:30（水曜日は14:30まで）※土・日曜日、祝日は12:00から（不定休）
https://cafe88orange88.wixsite.com/cafeo..
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