スペシャルインタビュー

三溪園に続く「まかどの森」が遊び場所 海と緑に囲まれた、水族館のある「横浜市立間門小学校」

本牧地区の中心をまっすぐに横切る本牧通り。その少し南側にある「横浜市立間門小学校」は、約90年前からある伝統校。広い敷地を生かしながら、特に健康教育に力を入れている学校として、全国的にその名を知られている。また「間門小学校付属海水水族館」は、学校の敷地内にある水族館としては全国唯一のものだ。今回は中尾和世校長先生に、間門小学校の教育内容や地域との関わり、周辺環境の魅力などについて幅広くお話を伺った。

「横浜市立間門小学校」
「横浜市立間門小学校」

長い歴史をもつ水族館がある校舎

「間門小学校」中尾校長先生
「間門小学校」中尾校長先生

――間門小学校はたいへん歴史のある学校ですが、その歴史および学校の特徴について教えてください。

中尾校長先生:本校は1929(昭和4)年7月に創立、1930(昭和5)年の1月に開校した学校で、2019(令和元)年に90周年を迎えました。開校当時は、尋常小学校とともに、身体の弱い子たちのための「臨海学級」というものが併設されていました。

――「健康教育」とともに、校内に水族館があることも小学校では全国唯一と聞きました。これも臨海学級に関係しているのでしょうか?

中尾校長先生:昭和30年代にコンビナートの開発が進み、学校の目の前にあった砂浜がすべてなくなってしまいました。 そこで、地域の方や卒業生の方が「子どもたちに、昔ここに砂浜や海、自然があったことを忘れないでほしい」という思いを込めて水族館を作ってくださいました。水族館が開館したのは1958(昭和33)年ですので、60年以上の歴史があります。

水族館がある校舎
水族館がある校舎

中尾校長先生:地域の方にお話を聞くと、子どもの頃にはその海で遊んで、少し歩いただけで足のところを魚が泳ぎ回ったり、ハゼがコショコショっと触れてくすぐったかったりと本当に自然がいっぱいな場所だったそうです。そんなことを子どもたちにも感じてほしいという願いが込められています。

水族館のカクレクマノミ
水族館のカクレクマノミ

健康教育と深い学び

――学校の教育目標として、「健康を見つめ・つくる子 活かし・広げる子」とありますが、こちらの実現に向けて、どのようなことを実践をされていますか?

中尾校長先生:教育目標には大きくふたつの柱があります。ひとつは「体育科(運動)」に関しての部分で、もうひとつは「すこやか学習」という保健領域の部分です。

まず体育科については、ボール運動や器械運動系、陸上系、また「体つくり」といって、基礎体力などを各学年で目標を設定し、独自の授業づくりをしています。

「すこやか学習」については、通常ですと保健学習は学年ごとに設定された教科の時間枠があります。ただそれだけでは知識の詰め込みになってしまいがちなので、教科書の内容はもちろん、3、4時間程度の時間をさらに確保して、自分の成長や大人になっていく自分自身の健康についてより深く学ぶようにしています。
その際には、地域の校医さんや本校の栄養教諭、また養護教諭が入ったりして指導しています。子どもたちが自分の健康や体力をしっかり見つめ、いろいろな方から情報を得ることができるようにし、学びを自分の生活に生かしていけるように進めています。これをひと括りに「健康教育」と呼んで、取り組んでいます。

「学校保健優秀学校」として数々の表彰を受けている
「学校保健優秀学校」として数々の表彰を受けている

――小中一貫教育が推進されている地域ということですが、どのような取組をされているかお聞かせください。

中尾校長先生:小学校から中学校に上がるときは特に、「中一ギャップ」などと言われるズレが生じやすいと言われています。横浜市は各小中学校に児童・生徒の支援担当者がいますので、その間の連携をしっかりと図っていくということをまず大切にしています。
また、小中学校の教諭間で授業研究会を開いたり、授業の様子を見学しあったりしながら、互いの取組をよく知るようにしています。
今後については、2022(令和4)年度に「学校運営協議会」というものが立ち上がる予定です。「本牧学園」という構想のもと、ふたつの中学校と、本校を含む4つの小学校がひとつの協議会の中に含まれ、「本牧地区の子どもたち全員を、みんなで見守って、すこやかに育っていけるように、より連携を図っていきましょう」という動きです。現在、内容を話し合いながら進めているという段階ですので、2022(令和4)年度にはまた違った連携の形ができてくるかと思います。

教室内
教室内

森に隣接した恵まれた環境

――校舎や校庭など、施設面の特徴を教えてください。

中尾校長先生:本校は土地がとにかく広い学校なんです。校庭もかなり広いですが、さらに1段上がったところに、もうひとつ芝生の広場があり、ここも自由に遊べる場所になっています。その先には三溪園の森と一体化した「まかどの森」という森があり、中にはアスレチックのような遊具もあります。ほかにも、正門を入ったところが広場になっており、バスケットボールのコートが3面あったりと、本当に土地と環境に恵まれています。

芝生広場
芝生広場

プレイパークと地域とのかかわり

――NPO法人が主催する「まかどの森プレイパーク」というものがあるそうですね。これはどのような取組ですか?

中尾校長先生:「プレイパーク」というのは、学校主導ではなく横浜市主体で行っている取組です。NPO法人の方が、月に1、2回程度、学校近くの豊かな自然環境を活かして思いっきり遊べるような催しを企画してくださっています。木登りや土いじりをしたり、思いっきり走り回って遊んだりすることなどが中心です。

「まかどの森」入口
「まかどの森」入口

――地域の方々との関わりや、連携した活動などがあれば教えてください。

中尾校長先生:大きなものでは、水族館の運営ですね。30年くらい前に、「タッチングプール」というお魚に触れるイベントを行った時に作られたボランティア団体「アクアミューズフレンドリークラブ」の皆さんが水族館の管理を支援してくださっています。

地域の方々のサポートにより管理されている水族館の水槽
地域の方々のサポートにより管理されている水族館の水槽

中尾校長先生:ほかには、本牧神社で行われる「お馬流し」というお祭りです。藁(わら)で作った「お馬」さんを、神社から船に乗って、沖に運んで海に入るというものですが、一番先に戻ってきた地域にご利益があるということで、とても盛り上がります。そこには学校の職員も参加させていただいておりますし、子どもたちが参加する場面もあって、地域の方と連携した行事の一つです。
また、「お馬流しにちなんだメニューを作れないか」ということで、総合的な学習の中でメニューを考え、地域のお蕎麦屋さんで実際に出していただいたという取組もありました。

――森続きのお隣に、「三溪園」がありますね。こちらとの交流や連携はいかがでしょうか?

中尾校長先生:三渓園では、原三渓がこよなく愛した蓮を守るため、夏休みの時期に「ザリガニ釣り大会」を行っています。しかし、昨年度はコロナの影響を受けて実施することができなかったそうです。それもあってか、今年の蓮の生育が思わしくなく、学校にザリガニ釣りのご提案がありましたので、子どもたちに釣りに行ってもらいました。
1・2年生と個別支援級、お世話役の6年生で伺い、ザリガニを500匹以上も釣ってきました。そのおかげもあり、蓮の花が今年もきれいに咲いたということで、三溪園さんにも喜んでいただきました。

卒業生からの寄贈品がたくさん掲示されている
卒業生からの寄贈品がたくさん掲示されている

――校舎のあちこちに地域の方が作ってくださった作品が置かれていたり、地域に愛されている学校ですね。

中尾校長先生:そうですね。本牧は昔からこの地に根付いている方たちと、新しく来た方たちが混在している地域ですが、みなさん、地域の行事や取組などに協力的な方が多く、素敵な地域だなと思っています。3代にわたって本校に通っているという方も多くいらっしゃり、「おらが学校」として応援してくださっている方もとても多く、大変ありがたく感じております。

宇宙飛行士の古川さんなど、卒業生の存在も大きい
宇宙飛行士の古川さんなど、卒業生の存在も大きい

――校長室に宇宙飛行士の古川聡さんのサインがありますね。古川さんも卒業生なのでしょうか?

中尾校長先生:そうなんです。本校の卒業生には、宇宙飛行士の古川さんや巨人軍で活躍した柴田勲さんなどがいらっしゃいます。
柴田さんは、盗塁王を取った際のトロフィーを学校に寄贈してくださり、職員室前に展示しております。それにちなみ、運動会の時の徒競走では一番速かった6年生に、レプリカで作った「かもしか賞」という賞を出しています。その賞の獲得を目指し、意欲を燃やして頑張っている子も多いですね。

柴田勲さんに提供いただいたトロフィー
柴田勲さんに提供いただいたトロフィー

中尾校長先生からみた地域の特色

――校長先生から見て、「間門小学校にはこんな子が多いな」といった印象があれば教えてください。

中尾校長先生:着任して感じたのは、「素直な子が多い」ということと、「明るい子が多い」ということですね。たとえば、街を歩いていると「あ、校長先生~!!」と言って声をかけてくれる子どもが多いです。それだけ、おうちの方が明るくて落ち着いていらっしゃるのかなと感じています。

広々とした校庭でのびのび活動する子どもたち
広々とした校庭でのびのび活動する子どもたち

――子どもたちに、将来はこんな子に育ってほしいという願いがあればお聞かせください。

中尾校長先生:間門小学校の子に限らずですが、「当たり前のことをきちんとできる」「自分の力で善悪を判断して、自分でちゃんと行動できる」という子に育ってほしいと願っています。「人のせいにしない。」「人が困っていたら助ける。」ごく当たり前のことですが、そういうことがきちんと身についた子になってほしいと思います。
それには、「当たり前のこと」ができた時に、「当たり前だから」とスルーをしないことが大事だと考えています。当たり前を毎日続けるのはけっこう大変なことです。それを継続する力を育てるには、まわりの大人がきちんと認めることが大事です。ですので、そういう場面を見た際は、「ちゃんとやっているね」と褒めてあげるということを職員とも共有し行っています。

「まかどの森」にある遊具
「まかどの森」にある遊具

――これから住まわれる方に向けて、本牧・山手エリアの魅力を教えてください。また、校長先生のおすすめスポットなどがあれば教えてください。

中尾校長先生:本牧はアメリカ風の異国情緒が味わえるような街並みや、「本牧山頂公園」、「根岸森林公園」という広い公園があったりと、子育てをするにはとても暮らしやすい街だと思います。
特に、「根岸森林公園」は私も大好きな場所で、思い切り身体を動かして遊んだり、ピクニックを楽しむこともできます。また、馬の博物館では馬とも触れ合うことができるので、おすすめの場所です。ほかには「三溪園」についても、桜の季節のライトアップや、蛍の鑑賞会などさまざまな催しがあり本当に素敵な場所です。
そして山手では、「港の見える丘公園」や「外国人墓地」周辺が好きです。また、「大佛(おさらぎ)次郎記念館」も、静かな雰囲気でゆっくりと時間を過ごせる大好きな場所のひとつです。実は先日も、記念館の方が本の紹介をする「ビブリオバトル」というものやってくださいました。そういった方々と学校がつながれるというのも、この地域ならではだと感じています。

横浜市立間門(まかど)小学校

中尾和世 校長先生
所在地:横浜市中区本牧間門29-1
電話番号:045-622-0005
URL:https://www.edu.city.yokohama.lg.jp/school/es/makado/
※この情報は2021(令和3)年11月時点のものです。

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