スペシャルインタビュー

有名レストランの名シェフが生み出す行列パンのお店「Champs de Ble(シャンドブレ)」

「料理のように、素材感を生かしてパンを作る」。それが、「HANZOYA」の名シェフが生み出す行列パンのお店「Champs de Ble(シャンドブレ)」だ。「HANZOYA」はかつて横浜アリーナのすぐ裏手にあり、普段はレストランとして、そして週末は年間数百組もの結婚式が行われる“レストランウエディングのメッカ”として愛されてきた。そんな「HANZOYA」の専属ベーカリーとして稼働してきた「シャンドブレ」。

2019(令和元)年、「HANZOYA」は歴史の第一幕を閉じることになったが、翌2020(令和2)年に「創作料理 Maison HANZOYA」として「シャンドブレ」の隣に新たな店をオープンさせ、レストランとベーカリーがこれまで以上に連携して、新しい歴史を紡ぎ始めている。今回はこの「創作料理 Maison HANZOYA」と「シャンドブレ」の両店舗を統括する加藤英二オーナーシェフと「シャンドブレ」を任されているベーカリーシェフの西春知哉さんを訪ね、商品に込めた想いや新横浜地域の魅力についてお話を伺った。

本当に美味しいと思ったものだけを提供したい

「創作料理 Maison HANZOYA」外観
「創作料理 Maison HANZOYA」外観

――まずは、ベーカリー「シャンドブレ」を開店された経緯をお聞かせください。

加藤シェフ:私どもはもともと、横浜アリーナのすぐ裏で「HANZOYA」というレストラン兼結婚式場をやっていました。その中でお出しするパンに関しては、最初のころは近くのパン屋さんから購入し、それをお食事と一緒に提供しておりました。そうすると当然、料理だけではなく、パンに対してもお客様からのお声をいただきます。褒めて頂くこともあれば、時にはお叱りの言葉も頂戴しました。お叱りがあればその内容をパン屋さんにも伝えるのですが、それが、いつまでも改善されなかったりと、さまざまなジレンマが生まれてきていました。

そうした中で「じゃあ、自分たちでパン屋さんを作ろう」という話が出てきました。最初は工場にしようと考えていましたが「お客様が見えない料理」を作り続けるのは作り手の「やりがい」に繋がりにくいと考え、敢えて店舗として始めることにしました。ただ、当時は新横浜の家賃がとても高くなっていたので、「自分の生まれた家を改装してパン屋さんにしよう」ということで、自宅の敷地の一部にパン屋さんを作りました。

創業当時について語る加藤シェフ
創業当時について語る加藤シェフ

――加藤シェフは結婚式場時代から、レストランのシェフとして活躍されていたそうですね。

加藤シェフ:私はもともと、フランスで長く料理の勉強をしていました。たまたま日本に帰国していた時に(レストランをやっていた)兄が事故で亡くなってしまい、父と母に懇願されて、少しの間、レストランを手伝うことにしました。最初は1年だけ手伝って、またフランスに戻るつもりでしたが、1年やって、それは諦め、レストランを引き継ぎました。

ただ、ウエディング部門を仕切っている母が現役を引退する時には、ウエディングをやめて、レストランだけに専念させてほしいという約束をしました。そのタイミングが2018(平成30)年に訪れ、2019(令和元)年末で、「HANZOYA」を閉じることに決めました。

式場のような内装
式場のような内装

――そしてシェフの本当の夢だった、「自分の店」を持たれたということですね。

加藤シェフ:そうですね。この店は「創作料理 Maison HANZOYA」という店ですけれども、「シャンドブレ」の隣にあった自宅の建物を建て直し、お店の前も整備して、ちょっとした公園のような場所にしてみました。

結婚式場を彷彿とさせるオブジェクト
結婚式場を彷彿とさせるオブジェクト

――お店の内装は結婚式場時代のものを引き継いでいるそうですね。

加藤シェフ:レストランの内装については9割ほど、前のお店から引き継いでいます。調度品はほとんど変わっていないので、式を挙げてから毎年来てくださっている方は、「なつかしいよね」や、「まったく変わっていなくて良かった」などと言ってくださっています。

フランス料理の技術によって生み出されるパンの数々

――とりわけベーカリーについては、地域にお住まいのお客さんが多く、日常的に愛用されているかと思います。人気のパンなどがあれば教えてください。

西春さん:当店の一番人気は「牛スジコンカレーパン」です。これはルウからすべて手作りで作っており、中にはたっぷりの牛すじ肉とこんにゃく、アクセントに福神漬が入っていまして、お陰様で毎日すぐに売り切れてしまうくらいの人気商品になっています。

「牛スジコンカレーパン」
「牛スジコンカレーパン」

――なぜ、それほどの人気なのでしょうか。

加藤シェフ:このカレーパンは、どうせ作るなら「さすがフランス料理屋さんが作っているだけあるな!」と思わせるようなパンがいいなと思い、開発しました。欧風、和風、インド風の3つの料理の要素を詰め込んだカレーパンになっています。

「ルウを仕込んで作っている」というところは「欧風」、玉ねぎをしっかり炒めて、クミンとガラムマサラを加えている部分は「インド風」、昆布、こんにゃく、しょうゆ、みりんなどを入れているところは「和風」です。この3つをバランスよくひとつのパンにしました。

中には牛スジ肉がかなり入っていまして、フランス料理の基本スープ「フォンドボー」は有名ですけれども、これを骨じゃなく牛スジで作ったものを「ジュドブフ」と言います。このカレーパンは、牛スジをオーブンでしっかり焼いて、そこに玉ねぎ加えて煮込んだ「ジュドブフ」をベースにしているので、そういったところは、フランス料理の技術ですね。実は仕込みに1週間もかかっているんですよ。

「セルワッサン」と「ミルクフランス」
「セルワッサン」と「ミルクフランス」

――カレーパン以外にも、おすすめのパンがありましたら教えてください。

西春さん:「セルワッサン」という、塩パンのようなクロワッサンも定番人気の商品です。こちらは、カルピスバターとゲランドの塩を使って、ザクザクとした食感を作るように折り込みをしているクロワッサンになります。

最近の一押しは「ミルクフランス」でして、これもカレーパンと同じように、以前からレシピはあったのですが、ここを始める時に社長と一緒に新たに考え直し、手作りのコンデンスミルクに少しだけコニャックを入れて、リッチな感じのミルクフランスに仕上げています。ご注文を頂いてからクリームを詰めるので、サクサクとしたパンの食感も楽しんでいただけると思います。

加藤シェフ:「フルート」(細めのバゲット)はレストランで出しているのと同じものなので、ぜひ食べてほしいですね。地名を名前にしている「大豆戸(まめど)食パン」もおすすめです。

――パンの素材や製法について、こだわっている点を教えてください。

西春さん:やはりひとつひとつ、「最適な作り方」をしていることです。フルートに関しては、低温長時間でじっくり発酵させて小麦の風味を生かしていますし、「大豆戸食パン」については、国産小麦を使っていますが、ただ国産小麦を使うだけでは味気なくなってしまうので、はちみつ、生クリームなどを練り入れて作っています。カレーパンの生地も、単純にパン粉で包むのではなく、クルトンを表面にまぶして食感に変化をもたせています。それぞれのパンの全体のバランスを考えて、いろいろな工夫をしています。

素材を生かすことへのこだわり

――「シャンドブレ」ではフランス料理店とベーカリーがタッグを組んでレシピ開発をされているわけですが、一緒にやることの強みとは何でしょうか?

加藤シェフ:やはり、料理人とパン職人がお互いに相談して、バランスを考えながら作ることができることが一番のメリットだと思いますね。その中で、全体のバランスというのを私はとても大事にしていて、ここはあくまでも「パン屋さん」ですから、「総菜が主役」のようになってしまっては、絶対にダメだと思うのです。

パンについて語る西春さん
パンについて語る西春さん

――味加減や塩加減なども、料理で培ったセンスが生きているのでしょうか。

加藤シェフ:そうですね。フルートは特にそうだと思います。そもそも、パンには多くの塩を使いますが、それをフランス料理と一緒に食べると、パンの主張が強くなってしまいます。特に私の料理は「素材感」が命で、砂糖や塩などを極力減らしているので、しょっぱいパンを付けてしまうと、料理が台無しになってしまいます。

そのため、フルートについては塩分をだいぶ減らして、粉の香りはするけれど、塩分はあまり感じないくらいにしています。「素材の持ち味を生かしてくれるパン」ということで、西春君と一緒に考えて調整しましたね。同じように「リュスティック」というパンも塩分を調整しています。

西春さん:ただ、レストランとまったく同じ味にすると使いにくいパンもあるので、レストラン用と店用とで、塩加減をまったく変えているものもあります。「玄米ブール」などは、レストランと店とで、全然味が違っています。

加藤シェフ:ベーコンも塩加減にはこだわっています。ベーコンの一般的な塩分って、だいたい2.6%から3.2%くらいなんですが、パンと一緒に焼くとさらに塩辛くなってしまうのです。それでは使えない、ということで、塩分が1.9%くらいのベーコンを自分たちで作っています。このくらいにすると、パンと合わせた時にちょうどいい具合になり、小麦の味がちゃんとするのです。

「シャンドブレ」外観
「シャンドブレ」外観

住宅街の中にありながら行列が途絶えない人気店

――「シャンドブレ」の客層について教えてください。

西春さん:コロナ前にはビジネスマンの方や、横浜アリーナのイベントの前後に来られるお客様や、遠方からのお客様なども多かったですが、コロナになってからは地元の方の割合がかなり増えています。中心としては30代、40代くらいの女性のお客様ですね。お友達と一緒に来てくださったり、幼稚園の帰りなどにお子さんを連れて来られたり、という方が多いです。ご年配の方も多いです。

加藤シェフ:この店は、とても分かりづらいところにあるのですが、おかげさまで毎日行列ができるくらいになっています。こんなところまで来てくれて、本当にありがたいなあと思っています。当店は見てのとおり、テラスもあり、自由に座れる椅子なども置いてありますので、パンを買ったら、レストランでコーヒーでも頼んでいただいて、コーヒーと一緒にテラスなどでくつろいでもらえたら理想的だな、と思っています。

テラス席
テラス席

利便性が高く、大規模スタジアムも有する魅力的な街

――続いては、地域の話題についてお聞きしたいと思います。加藤シェフは生まれも育ちもこの地ということですが、新横浜の住環境としての魅力は、どのような点だと思われますか?

加藤シェフ:利便性については申し分ないです。新幹線、横浜市営地下鉄、JR横浜線も利用でき、今後は新線開通でさらに便利になりますね。道路については東名高速道路、首都高速道路、第三京浜道路が通っていて、東京に行くにも、海に行くにも、山に行くにも全部近いです。どこからでもアクセスができる場所なので、そういう意味では、いろんな方に愛される場所にあるのかなと思います。

あとはやはり、「横浜アリーナ」や「日産スタジアム」があることも魅力のひとつでしょうね。あと、ワンちゃん連れの方にもとても住みやすい土地です。鶴見川沿いには大きなドッグランがあり、都内からわざわざ来る人もいるようです。散歩しても気持ちいいですしね。

「日産スタジアム」を中心とした「新横浜公園 」
「日産スタジアム」を中心とした「新横浜公園 」

――新横浜近辺で、個人的にお好きな場所はどこですか?

加藤シェフ:場所ではないですけれど、コロナが流行るまでは「日産スタジアム」の周りをよくジョギングしていました。それ以外にも、このあたりは横浜市内でも平らなところなので、いろいろないいコースがあり、ジョギングやマラソンが好きな方にもおすすめだと思います。

また、おすすめの場所は、「新横浜プリンスホテル」の上の展望フロアですね。きれいな夜景が見られる場所です。食事などで自由に行ける場所ですのでおすすめです。新横浜ならではということですと、「新横浜ラーメン博物館」も面白いですよね。

「新横浜」駅前の様子
「新横浜」駅前の様子

――今後の新横浜の街に対する期待をお聞かせください。

加藤シェフ:少し前までは、新横浜と言えば「ビジネス街」のイメージが強かったと思います。線路の北側はビジネス街で、こちら側にはマンションが少しだけある、みたいな。でも、最近は変わりました。どちら側にも、マンションが建ち、「暮らす街」という感じになってきたと思います。今でも便利で暮らしやすい街なんですが、暮らす人がもっと増えていけば、もっともっと、暮らしやすい街になっていくのかな、と期待しています。

そういう流れの中で、私たちがパン屋とレストランを営業できているというのは、とてもラッキーなことだと思っていますし、もっともっと、地域の方々に愛される店にしていきたいと思っています。

創作料理 Maison HANZOYA

オーナーシェフ 加藤英二さん
所在地 :神奈川県横浜市港北区大豆戸町1149 HANZOYA Park内
電話番号:045-434-8989
URL:https://hanzoya.co.jp/

Champs de Ble(シャンドブレ)

ベーカリーシェフ 西春知哉さん
所在地 :神奈川県横浜市港北区大豆戸町1149
電話番号:045-431-7788
URL:https://hanzoya.co.jp/bakery/
※この情報は2022(令和4)年3月時点のものです。

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