特別インタビュー

オープンスペースを活かした他クラス交流や異学年交流が魅力の「相模原市立小山小学校」

地域に開かれた学校として、周囲の環境と調和した教育を提供する「相模原市立小山小学校」。特に、オープンスペースを活かした他クラスや異学年との交流が特徴で、学年を超えた協力や学び合いの場を豊富に設けている。また、教科担任制を導入し、子どもたち一人ひとりに対する教員の関わりを深めることで、より充実した学びを支えている。

今回はそんな「相模原市立小山小学校」の前田副校長先生に、学校の魅力や特徴、南橋本周辺エリアの魅力などについてお話を伺った。

「相模原市立小山小学校」正門
「相模原市立小山小学校」正門

教科担任制を実施し、多数の教員で一人の子どもを見る「相模原市立小山小学校

――まずは「相模原市立小山小学校」の歴史と概要を教えてください。

前田副校長先生:すぐ近くの16号沿いにある「相模原市立清新小学校」は、かつて児童数が日本一だったマンモス校で、本校はそこから分離する形で2003(平成15)年に新設されました。地域に開かれた学校というコンセプトで、目の前の「小原公園」と一体化して整備されました。当時は子どもたちが公園に自由に出入りし、学びの場として利用できることを想定していましたが、現在は不審者の侵入など昨今の状況を鑑み、学校と公園の間にフェンスが設けられています。

目の前にある「小原公園」
目の前にある「小原公園」

前田副校長先生:2025(令和7)年2月現在の児童数は548名。1年生のみ2クラスで、他の学年は3クラスあります。

進学先としては、私立の中学校に進学する児童は約2割で、多くは「相模原市立小山中学校」に進学しています。

――独自の教育方針などがあれば、ご紹介ください。

前田副校長先生:独自の教育方針として、3年生以上では教科担任制を実施しています。基本は担任がメインとなりクラス運営をしていますが、1人の子どもに関わる教員の数が多いことが、本校の良いところだと思います。導入3年目となった今年度アンケートを取ったところ、保護者からは「いろんな先生の授業を受けることで多くの学びがある」という点を高く評価していただいています。子どもたちも、授業をいろんな先生から受けられるのがいいという回答が多かったです。

また、2008(平成20)年度から「さがみ風っこISO」として環境にやさしい学校づくりに取り組んでいます。

インタビューに応じる前田副校長先生
インタビューに応じる前田副校長先生

――教室の仕切りが可動式になっていたり、校舎はオープンな設計になっていますね。他学年との交流など、貴校ならではのプログラムがあれば教えてください。

前田副校長先生:相模原市内にはオープンスペースを設けた設計の学校が3校あり、本校はそのうちのひとつです。3階建てで、1階に低学年の教室、2階に中学年の教室、3階に高学年の教室を配置しています。各学年で空間が分かれていて、その間に広々としたスペースがあり、集会などを行えます。各学年の空間もゆとりがあって、教室と教室は可動式のパネルで仕切られていますがドアはなく、本来は廊下である空間がオープンスペースとなっています。

扉のない教室とオープンスペース
扉のない教室とオープンスペース

前田副校長先生:こうした造りですので普段から他クラスとも交流しやすく、学年全体での合同授業もやりやすいですね。例えば2年生の生活科では学年全員でワークショップを行うなど、各学年でさまざまな授業を実施しています。

「小山っこ遊び」では、縦割りグループによる異学年交流を年間5回程度行っており、その際にもオープンスペースが大いに活用されています。もちろん校庭や体育館も使いますが、全学年が混ざった15名弱のグループで集まって移動したりもしますので、何かと便利です。

いろいろな使い方ができるオープンスペース
いろいろな使い方ができるオープンスペース

子どもたち自身にルールやモラルを考えさせる、「相模原市立小山小学校」のICT教育

――貴校が目指す「小山っこ」はどのような子どもでしょうか。

前田副校長先生:本校は「学び合い 高め合い 自分らしさを発揮する子を育てる」という教育目標を掲げています。

それを実現するため、「小山(おやま)」にかけた「おもいやろう やりぬこう まなびあおう」という目標を設定し、子どもたちに伝えています。相手を思う想像力という心の部分、見通しを持って取り組む気力と体力、そして学習面です。この3本柱から成る子どもたちの目指す姿を教職員で共有しています。

校舎内にも、目標が掲示されています。
校舎内にも、目標が掲示されています。

前田副校長先生:教育目標については毎年児童にアンケートを取っていて、経年変化を見ています。「やり抜こう」についてはまだ弱い部分がありますが、他の2つについてはおおむね子どもたち自身の評価も高いですね。人の話を聞いたり、協力したり、そういう部分はよくできていると思います。また、落ち着いて学習に取り組んでいる子が多い印象です。

――2020(令和2)年にはGIGAスクールの一環として、遠隔でプログラムの修正に挑戦されていることがメディアにも取り上げられていました。タブレットや無線LANなどの設備を活かした授業や取り組みはありますか?

前田副校長先生:本校ではタブレット学習を積極的に行っていて、どの教科でも利用しています。1年生も生活科や図工などの授業で活用していますし、プログラミングの授業にも低学年から取り組んでいます。

まずはどんどん使わせて、そして子どもたち自身から意見を出してもらい、みんなで一緒にモラルやルールを考えています。月に2回、朝時間の10分を利用して「GIGAタイム」を設け、インターネット利用時のモラルやスキルを子どもたちと共有しています。IDやパスワードを人に教えない、学校で撮影した写真や動画をインターネットにアップしない、といった基本的なルールは「私とタブレットPCの10の約束」として定めていますが、このルールも子どもたちの利用状況に合わせて更新していかなければなりませんね。

特別教室(イングリッシュルーム)にも、大きなモニターがあり、タブレットの画面を写し出して使うことも
特別教室(イングリッシュルーム)にも、大きなモニターがあり、タブレットの画面を写し出して使うことも

2駅3路線使えて車利用も便利!緑豊かで公園の多い南橋本エリア

――周辺地域の方と一緒に行う行事や、ご協力いただいていることはありますか。

前田副校長先生:野球やドッチボール、バスケットボールなどスポーツが盛んで、子どもたちも周辺の方も含め、熱心にやっている人が多いですね。本校は体育館を土日も夜間も地域に開放していて、子どもも大人も多くの人が利用しています。

さらに毎年1回、PTAで学校掃除や落ち葉掃きを行っています。コロナ禍でとりやめていた出前授業は復活していて、例えば4年生は福祉について勉強するので、地域の方にボッチャ(※1)を教えていただいたり、社会福祉協議会の方に来ていただいたりしています。キャリア教育の一環として、今年6年生は地域のさまざまな職業の方々から、職業についてお話を伺いました。

(※1)重度脳性麻痺者もしくは同程度の四肢重度機能障がい者のために考案されたスポーツ

体育館で行われている授業の様子
体育館で行われている授業の様子

――貴校から見て、周辺地域の魅力はどのようなところでしょうか。

前田副校長先生:相模線の「南橋本」駅と横浜線の「橋本」駅が使えて、「橋本」駅前には市内最大級のショッピングモール「アリオ橋本」があります。国道16号が通っていて圏央道の相模原I.C.も近いため、車で遠出するにも便利な立地です。

「アリオ橋本」
「アリオ橋本」

前田副校長先生:また、「橋本」駅の南側に東京-大阪を結ぶリニア中央新幹線の新駅(仮称)「神奈川」駅が建設予定で、今年は3年生が総合の学習で工事現場を見学に行きました。すでに便利ですが、交通や買い物など利便性はさらに高まっていくと思います。

目の前の「小原公園」や、道路を1本挟んで反対側にある「小山公園」など公園も多いので、子育てをするにも良い環境ではないでしょうか。「小山公園」の隣には、バスケットコートやパリ五輪で金メダルを獲った吉沢恋さんが練習していたスケート広場がある「小山公園 ニュースポーツ広場」(現在改修工事中、2026年3月中のリニューアルオープンを予定)もあり、子どもたちがよく利用しています。

春には美しく桜が咲き誇る「小山公園」
春には美しく桜が咲き誇る「小山公園」

――最後にこれからこのエリアに住みたいと考えている方々に向けて、一言お願いいたします。

前田副校長先生:2駅3路線使えて車の利用も便利。緑豊かで公園もたくさんありますし、何より本校の環境も良いです。子育ての観点から言うと、本校の存在が一番の魅力ではないかと思います。是非多くの子どもたちに、本校に入学していただきたいと思います。

神奈川県相模原市中央区・「相模原市立小山小学校」
神奈川県相模原市中央区・「相模原市立小山小学校」

相模原市立小山小学校

副校長 前田先生
所在地:神奈川県相模原市中央区小山4-3-2
電話番号:042-775-1700
FAX:042-775-1702
URL:https://oyama-e.sagamihara.andteacher.jp/
※この情報は2025(令和7)年2月時点のものです。