栗木台に暮らすKURIGIDAI AREA

“寺子屋先生”の知恵と経験を活かし、栗木台小学校の子どもたちに楽しい学びと体験を提供する「寺子屋くりぎだい」

地域ぐるみで子どもたちの学習と体験をサポートする、川崎市の「地域の寺子屋」事業。運営に携わる地域住民に対して教育委員会が事業を委託し、学校が場所を提供することで行われています。麻生区では16ある小学校のうち11校、中学校は8校中4校が実施。そのひとつ、「栗木台小学校」で実施されている「寺子屋くりぎだい」におじゃまして、“寺子屋先生”である松枝正純さん、川崎市教育委員会の波多野智央さんにお話を伺いました。

プリントが終わったら、その場で丸付けをしてもらえる
プリントが終わったら、その場で丸付けをしてもらえる

宿題やプリント学習だけでなく、楽しい実験や工作の時間もある「寺子屋くりぎだい」

――「寺子屋くりぎだい」の概要についてお聞かせください。

松枝さん:この寺子屋事業は2014(平成26)年度から始まった取組で、週1回の放課後の学習支援と土曜日など月1回の体験活動を行っています。2016(平成28)年10月にスタートした「栗木台小学校」での「寺子屋くりぎだい」は、毎週水曜日の14時15分から15時15分までの1時間、理科室と図工室の2部屋で行っています。

親や学校の先生ではない大人とふれあえる、貴重な機会
親や学校の先生ではない大人とふれあえる、貴重な機会

松枝さん:最初の30分間に宿題やプリント学習、トイレ休憩を挟んで後半20分間は「お楽しみ会」として実験や工作などをやり、最後に出欠を管理する参加カードに学習内容を記録して解散です。栗木台小学校の児童は現在617名で、対象の2~6年生は532名。2024(令和6)年度は対象児童の10.5%にあたる56名が登録していて、半数以上が2~3年生です。

子どもたちの勉強をみる“寺子屋先生”が11人、企画や学校との調整役を担うコーディネーターが6人。シニアを中心とした計17人が、知恵と経験を活かして子どもたちの学習支援を行っています。1教室あたり5~6人はいるわけですが、一人一人しっかりみようと思うと足りないくらいです。

理科室で思い思いに勉強する子どもたち
理科室で思い思いに勉強する子どもたち

素直で明るい子が多く、先生方も協力的な「栗木台小学校」

――川崎市内で複数の寺子屋事業が運営されていますが、活動内容など「寺子屋くりぎだい」の特徴があれば教えてください。また、栗木台小の児童や学校の雰囲気はいかがでしょうか。

松枝さん:子どもたちが前向きに宿題やプリントに取り組めるようサポートしています。こちらで学年ごとに用意している国語や算数のプリントをやる子もいれば、自宅から持参したドリルなどをやる子もいます。そうした日々の積み上げで、子どもたちが少しずつ成長しているのを感じています。

子どもからも保護者からも特に喜ばれるのは音読の宿題ですね。音読は家事をしながらの片手間ではなく、しっかり子どもの横について聞いてあげるべきですが、いまはそうした時間が取れないご家庭も多いので。

音読は国語の定番の宿題。ほめたり、励ましたりしてやる気を育みます
音読は国語の定番の宿題。ほめたり、励ましたりしてやる気を育みます

松枝さん:「寺子屋くりぎだい」を利用する栗木台小学校の子どもたちは、素直で明るい子が多いですね。勉強にも遊びにも全力で取り組んでいます。また、栗木台小学校の先生方が非常に協力的で、お楽しみ会や体験学習の準備などもスムーズに進めることができています。

プリント学習の様子
プリント学習の様子

――宿題やプリント学習だけでなく、遊び感覚で学べる「お楽しみ会」の時間があるのが良いですね。今日は理科室で「百人一首」、図工室で「静電気のふしぎ」をやっていましたが、他にどんな内容がありますか? 子どもたちに人気のものがあれば教えてください。

松枝さん:トリックアートや紙飛行機、ぶんぶんゴマや切り絵などの工作や合唱など、いろいろありますね。子どもたちには、テーマを設けないで行う折り紙やお絵描きが人気です。「なんでも作っていいんだよ」と言うと、子どもたちは自由な気持ちでより楽しめるようです。

水道から細く水を出し、静電気で動かす実験
水道から細く水を出し、静電気で動かす実験

松枝さん:今日のような科学実験も驚きがあるみたいで、多くの子どもが喜びますね。20分という限られた時間ですが、静電気の仕組みを説明したうえで、お箸を回し、流水を曲げ、ビニールひもを浮かすなど、視覚的にも理解してもらえやすかったと思います。

子どもたちにアンケートを取ったり、どんな取組をすれば子どもたちが楽しめるか意見を出し合ったりして、短くとも充実した時間になるよう工夫しています

手でこすって帯電させたストローを近づけると流水が曲がる
手でこすって帯電させたストローを近づけると流水が曲がる

近隣4校の合同体験学習で、普段とは違う出会いや交流も

――プログラミングゼミや和凧作成、科学の学習、陶芸体験など幅広い体験活動をされていますが、特に人気の高いものはどんなものでしょうか。

松枝さん:どれも人気がありますね。科学への興味を促すものなど、ワクワクできて児童の学びに寄与できる内容を心がけています。JAXAの方を講師に招いてバルーンロケットを楽しんだり、プロの先生に生け花を教えていただいたり、内容は充実していると思います。

ときどき麻生小、片平小、はるひ野小の寺子屋との4校合同の企画も行っていて、つい先日も「黒川青少年野外活動センター」で「ピザ作り体験」を開催しました。初めて火起こしをした子も多かったようでしたし、新しい友だちとの交流も楽しめたのではないでしょうか。地域の団体や地元企業の方と連携し、引き続き子どもたちの好奇心を刺激するような活動を実施できたらいいなと思います。

寺子屋先生やコーディネーターに見守られながら行う百人一首
寺子屋先生やコーディネーターに見守られながら行う百人一首

――川崎市で取り組んでいる子育て支援施策や特徴的な教育について教えてください。

波多野さん:川崎市ではさまざまな子育て支援策を打ち出しています。なかでも就学後の支援として、子どもが通い慣れている小学校敷地内で、希望する子どもは誰でも利用でき、スタッフが見守りを行う「わくわくプラザ事業」を実施しています。寺子屋とも一緒に利用できるので、放課後最初の1時間は寺子屋で勉強して、そのあと「わくわくプラザ」に行って遊ぶという子もいます。

寺子屋事業は取組から10年が経過し、子どもにとってもサポートする地域の人にとっても、大切な居場所として根付いてきていると感じます。市内には170の小・中・特別支援学校があり、現在はそのうち97校が寺子屋を実施しています。今後も取組の意義を広め、すべての小中学校での開講を目指していきます。

数台あるタブレットを交代で使うこともできる
数台あるタブレットを交代で使うこともできる

生活に必要な施設が徒歩圏に集積、見通しの良い通学路も安心の栗木台小学校周辺

――栗木台エリアの魅力やおすすめスポット、子育てに適している点などを教えてください。

松枝さん:この地区には小田急多摩線「黒川」駅と「栗平」駅があり、そこを中心にまちが広がっています。区画整理事業によってできた住宅地なので、歩道などもしっかり整備されていますし、子どもたちが毎日使う通学路も見通しが良く安心です。歩ける距離にスーパーマーケットをはじめ、病院や郵便局など、生活に必要な機能がそろっている点が、この辺りの魅力じゃないかと思います。

ロピア 黒川店
ロピア 黒川店

松枝さん:また、この辺りは第2種高度地区で5階建て以上の建物がほとんどありません。だから全体的に景色が良く、あちこちから富士山がよく見えます

南黒川第1公園
南黒川第1公園

――最後に、これから栗木台エリアに住むことを考えている方々へメッセージをお願いいたします。

松枝さん:川崎市と聞くと、昔の工場地帯のようなイメージを持たれる方がいらっしゃるかもしれませんが、栗木台地区は川崎市の中でも自然が豊かな地域です。一方で小田急線も通っていて首都圏へのアクセスも良く、非常にバランスのとれた住みやすいまちだと思います。安心して引っ越してきていただける街だと思います。

栗木台小学校のキャラクターである栗太郎くんと栗子ちゃんの間に立つ、松枝正純さん
栗木台小学校のキャラクターである栗太郎くんと栗子ちゃんの間に立つ、松枝正純さん

寺子屋くりぎだい 松枝正純さん
寺子屋くりぎだい 松枝正純さん

寺子屋くりぎだい

寺子屋くりぎだい 松枝正純さん
川崎市教育委員会事務局 生涯学習部 地域教育推進課
所在地:神奈川県川崎市川崎区宮本町1番地
電話番号:044-200-3565
FAX番号:044-200-3679
URL:https://www.city.kawasaki.jp/880/page/0000083815.html
※この情報は2025(令和7)年1月時点のものです。

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