普通に、誠実に。地域に愛され感謝されるベーカリー「ウルス（OURS）/クマパン屋」

店名の“ウルス”はクマを意味するフランス語だ。2015（平成27）年8月にオープンしてからすぐに、地域になくてはならない店となった。オープンまでの経緯、パンづくりについてお話を伺うなかで何度も“普通に”という言葉が登場した。これは“誠実に”と置き換えられるように感じた。普通につくる、誠実につくる、このシンプルな考えが地域に愛されている理由の1つとなっている。今回は、そんな地域に根ざしたベーカリー「ウルス（OURS）/クマパン屋」の店長 坂田純一さんにお話しを伺った。

慣れ親しんだ街の、食卓をより豊かにするために

――地元の方が多くいらっしゃると聞いています。どのような経緯で、この場所でオープンされたのでしょうか。

坂田さん　藤沢市には長いこと住んでいたこともあって、この慣れ親しんだ街で店を出したいと考えていました。私の理想ですが、駅前ではなく住宅街で店を出したいと思っていたので、今の場所はその条件にぴったりでしたね。オープンしたのは2015（平成27）年8月です。食事を美味しくし、食卓がより豊かになるようなパンづくりを心がけて日々焼いています。

――おすすめの商品や人気商品を教えてください。

坂田さん　店名の「ウルス」というのはフランス語でクマという意味ですが、カスタードクリームが入ったクマ型のパンが人気です。それと定番の山型食パンも人気ですね。周辺にはここ以外にもパン屋はあるのですが、それぞれに特徴があるので住み分けができているように思います。

当店のパンは、特別な製法でつくっているわけではありません。美味しいパンをつくるためにやるべきこととして、普通のことを普通に続けることがが大切ではないかなと考えています。

穏やかで和やか。心に余裕をもった素敵な人の多い街

――どのような方の利用が多いでしょうか？

坂田さん　嬉しいことに、少し離れたところからいらっしゃる方もいますが、多くの方は徒歩圏内、自転車圏内に住んでいる地元の方ですね。お客様と接していて、和やかで、心に余裕のある素敵な方が多いというのがいつも抱く印象です。

独立前は、東日本の店舗を見る立場にありましたから、各店舗を通していろいろな街とお客様を見てきました。この界隈のお客様は、“ありがとうございます”と感謝の言葉を添えてくださる方が多く、我々としては本当に嬉しくこういった街はここ以外に知りません。

――経営されるなかで、大切にされているポイントはありますか？

坂田さん　同じことを繰り返すようですが、やはり“普通”というのが何より大切なことだと思います。手を抜かず、レシピに従ってつくることで美味しくなるものです。形を似せるだけではなく誠実な姿勢をもって、普通に美味しくつくることが大切ですね。

お客様は正直ですし、美味しいものを知っている方が多い街ですから、期待を裏切らず、お客様の食卓をより豊かにするという想いをもって、これまで通りに喜んでいただけるパンを焼きつづけたいですね。

暮らしに必要な施設も、多彩なグルメ店もそろう湘南鵠沼エリア

――お店周辺の印象、街の魅力はいかがですか？

この近くの「諏訪神社」で毎年お祭りがあるのですが、そうした地域行事を通しても、人と人との繋がりを大切にされている方が多いなという印象があります。個人で頑張っているお店も多く、目の前を走る国道467号線沿いだけでも、コーヒーが美味しいお店や、お米がすごく美味しいお弁当屋さん、それ以外にも店主がこだわっているお店などがたくさんあります。観光客の多い海岸方面とは少し違って、この周辺は家庭的なお店が多いように思います。

そのほかにも、「藤沢市立片瀬小学校」や「藤沢市立片瀬中学校」なども近くにありますし、いくつかのクリニックが入った医療ビル「片瀬クリニックプラザ」などもあるので、近くに安心の環境が広がっていると思いますよ。

――最後に、これから新しく街に住まわれる方々に向けて、一言お願いします。

穏やかな気候が関係しているのかもしれませんが、心にゆとりのある方が多いので、街としてもどこか落ち着いた空気を感じます。また、鉄道のアクセスもよく、江ノ電「湘南海岸公園」駅、湘南モノレール「湘南江の島」駅にも歩いていくことができますし、生活圏の利用駅として小田急「片瀬江ノ島」駅やJR「藤沢」駅もあります。都心までもアクセスもしやすいですし、自転車があれば、さまざまな観光地やレジャースポットにも行くことができます。

藤沢市の全てを知っているわけではありませんが、この周辺に限定した印象を言わせていただくと、人も気候も食べ物も、住むにはいい環境がそろっているなと思いますよ。