歴史ある“文体”のバトンを受け継ぎ、さらに進化したスポーツ文化振興施設へ/横浜武道館・メインアリーナ

横浜開港100周年記念行事の一つとして建設され、58年もの間「文体」という愛称で市民から親しまれた「横浜文化体育館」が、老朽化のための建て替えられることとなり、2020(令和2)年9月6日にその歴史に幕を閉じた。その再整備事業として、旧施設跡地を活用した「メインアリーナ」とホテルなどの民間施設が2024(令和6)年に開業予定、また近接地である横浜総合高校移転後の跡地にサブアリーナ施設として「横浜武道館」が、先行して2020(令和)年7月24日に開業した。今回は、開業して間もない「横浜武道館」を訪ね、市のスポーツ施設運営に関わる横浜市市民局スポーツ振興課の赤羽様と、同館初代館長を務める大山様に、施設の魅力や今後の話についてお話を伺った。

左から、横浜市市民局スポーツ振興課の赤羽様、横浜武道館 館長 大山様
左から、横浜市市民局スポーツ振興課の赤羽様、横浜武道館 館長 大山様

歴史的な熱戦や公演も行われた横浜のスポーツ・文化拠点を再整備。2つの施設誕生で集客力や機能も進化。

――まずは、「横浜文化体育館」の歴史や、再整備事業の経緯をご紹介頂けますでしょうか。

横浜市市民局スポーツ振興課 赤羽様:「横浜文化体育館(以下「文体」)は、1962(昭和37)年に横浜の開港100周年記念の事業の一環として造られた建物です。“プロレス聖地”とも言われ当時大変人気のあった力道山をはじめとするプロレスの試合や、1964(昭和39)年の東京五輪では男子バスケットボールや女子バレーボールの日本代表チームの試合が行われ、(当時最新鋭だった設備を活かして)テレビ中継が入ったりもしました。またスポーツだけでなく、美空ひばりやクイーンなど、国内外の様々なアーティストの公演が行われてきた歴史的な建物として50年以上運営をしてきましたが、この度老朽化ということで建て替えを決めた次第です。

文体」の愛称で長らく親しまれ、58年の歴史に幕を閉じた「横浜文化体育館」
文体」の愛称で長らく親しまれ、58年の歴史に幕を閉じた「横浜文化体育館」

――「単純な建て替えではなく、メインアリーナとサブアリーナ(横浜武道館)の2つの施設としたのはなぜでしょうか。

赤羽様:建て替えに当たり、ちょうど「文体」横の敷地の「横浜総合高等学校」の移転計画が重なったため、できるだけ施設の休館期間を短くし継続して事業を進めたいという理由から、まず高校跡地を活用して「横浜武道館」を建て、そちらが出来上がってから「文体」を取り壊して「メインアリーナ」を作るという計画になりました。そうして、本年7月に先行してこの「横浜武道館」が完成した、というのが現在までの経緯・経過になります。

横浜市市民局スポーツ振興課 赤羽様
横浜市市民局スポーツ振興課 赤羽様

サブアリーナを武道館とした背景としては、これまで横浜市内には武道が行える市営の場所がありませんでした。横浜市内は武道の人口も多く、特に柔道や、剣道・なぎなたを含めた10団体があります。また、それに拍車をかけるように2012(平成24)年の「新学習指導要領」で中学校の武道必修化がありました。そこで今回の再整備を契機に、横浜の武道振興のための「武道館」を建設し、さらに「メインアリーナ」を作ることで、そちらが完成した時にはそのサブ施設としても活用し、国際大会などにも対応できるように計画しました。

――2つの施設となることによるメリットや魅力も教えて頂けますか?

赤羽様:両施設とも、「横浜文化体育館」の1.3倍程度の大きさを誇るので、単純に両方を合わせた施設規模は「文体」の2.6倍以上になります。横浜市は人口370万人都市で、これまでは施設の整備が追い付いていない点もありました。今回の施設整備によって、より都市の規模やスポーツ人口に見合ったキャパシティの施設でスポーツ振興ができるようになると思います。

「メインアリーナ」に先行して2020(令和2)年7月に開業した「横浜武道館」
「メインアリーナ」に先行して2020(令和2)年7月に開業した「横浜武道館」

また、「文体」の収容人数は5,000人程でしたが、「横浜武道館」はアリーナで3,000席、武道場で500席あり、さらに「メインアリーナ」は約5,000席の設置を予定していますので、全体の集客力が向上いたします。さらに「横浜武道館」のアリーナや「メインアリーナ」にも大型スクリーンを設置するなど設備面の魅力もアップします。 また、2施設あることで、国際大会などの際に片方を試合会場に、もう一方をウォーミングアップ施設にするなど、機能を補完し合いながら使えることも進化する点と言えると思います。

「横浜武道館」2階 アリーナ (提供:横浜市市民局スポーツ振興課)
「横浜武道館」2階 アリーナ (提供:横浜市市民局スポーツ振興課)

市民や地域住民が気軽にスポーツ・文化を楽しめる場を提供する「横浜武道館」。多彩な教室も魅力。

――それぞれの施設の機能の違いや魅力を、より詳しく教えて頂けますでしょうか。

赤羽様:「横浜武道館」は地上4階建てで、1階の「武道場」は武道振興の場として小規模の大会などにも利用され、2階以上の「体育館(アリーナ)」は市民の方がリーズナブルに、気軽に、スポーツを楽しめることをコンセプトにした施設となっています。一方、「メインアリーナ」は興行やエンターテイメントなど、よりプロフェッショナルなスポーツや文化を見て楽しめる施設を目指しています。

「横浜武道館」1階 武道場(提供:横浜市市民局スポーツ振興課)
「横浜武道館」1階 武道場(提供:横浜市市民局スポーツ振興課)

――「横浜武道館」について、具体的にはどのように利用できる施設なのでしょうか。

横浜武道館 館長 大山様:先ほどの話にもあったように、「横浜武道館」は市民や地域の方が身近にスポーツに親しめることに重点を置いていまして、11月から早速教室事業を開始する予定で、現在参加者の募集を行っているところです。

横浜武道館 館長 大山様
横浜武道館 館長 大山様

教室事業自体は、「横浜文化体育館」でも行っていたので、人気があったプログラムを一部継続しつつ、新しい教室も加えて、幼児のお子さまからご高齢の方まで幅広く参加頂ける充実したプログラムを用意しています。例えば、武道館ならではの武道の教室や、ソサイチ(7・8人制サッカー)などは新しく開催いたします。また、「文体」から引き継いで開催する卓球教室は非常に人気があるため、日本卓球株式会社と協力をして、「横浜武道館」ではハイレベルな指導者向けの教室も始めますので、参加者のレベル感に応じた教室を楽しんで頂けると思います。

豊富なプログラムが用意された「横浜武道館」主催のスポーツ・カルチャー教室
豊富なプログラムが用意された「横浜武道館」主催のスポーツ・カルチャー教室

また、スポーツだけでなく、絵画教室、書道などのカルチャー教室も用意しています。教室への参加方法も、事前受付と、当日受付で参加できるものとバリエーションを設けました。教室以外の市民利用は、各種大会や興行などが優先利用となりますが、空いていれば6か月前から市民サークルなどの団体でも予約してご利用頂けます。

「横浜武道館」でのスタートとして、ひとまず今回の教室ラインナップで開始いたしますが、これ以外にもまだまだやりたいことがありますし、お客様のニーズに合わせて内容も見直していくと思います。

また今後、全国レベルの大会やプロリーグなどの開催も予定されているので、ハイレベルなスポーツ競技を身近に感じて頂けると思います。

キャパシティ約5,000人の「メインアリーナ」は、2024(令和6)年春に開業に向け整備進行中。

――2024(令和6)年開業予定の「メインアリーナ」についても、現在決まっている施設概要をお聞かせ頂けますか?

赤羽様:フロア面積は2,400平方メートル程で、先ほど申し上げた通り約5,000人を収容できる施設を計画しています。1階にはアリーナ・更衣室・会議室、2階には観客席やウォーミングアップなどに利用できる小さな体育室、3階にはラウンジなどが作られる予定です。一般的に「アリーナ」というと、四面から中心を見るような配置をイメージされると思いますが、今回の施設は一面に舞台スペースを設け、それを他の三面から見られるような造りで設計されるのが特徴です。また、「メインアリーナ」の建物に併設して、遠方からお越し頂いた方などに宿泊していただけるホテルを建設予定です。

2024(令和6)年開業予定の「メインアリーナ」の完成予想パース。(© 梓設計・アーキボックス・大成建設設計共同企業体)  
2024(令和6)年開業予定の「メインアリーナ」の完成予想パース。(© 梓設計・アーキボックス・大成建設設計共同企業体)  

今後のスケジュールとしては、今年11月頃から「文体」の解体工事が始まり、2022(令和4)年1月頃から新施設の建設を開始、2024(令和6)年のグランドオープンを予定しています。

他事業と共に関内&横浜都心臨海部の新たなまちづくりに寄与。地域にも愛される施設を目指す。

――横浜市の地域施設として、防災機能などは備えているのでしょうか?

赤羽様:はい、横浜市の指定で帰宅困難者の一時滞在施設として位置づけられており、2施設合計で7,500人(横浜武道館2,500人、メインアリーナ5,000人)を受け入れる体制をとっています。

大山様:「横浜武道館」4階には救助物資を入れる倉庫も作っており、防災備品として、保存食2,500セット、災害用救急トイレセット、毛布などを保管し、有事の際の備えをしています。

――他にも複数の再整備事業が進む関内エリアの今後についての思いもお聞かせ頂けますでしょうか。

赤羽様:市庁舎が移転し、関内・関外のまちづくりが同時並行でまさに動き始めており、相当なインパクトがあるタイミングだと思います。その中の一つの事業として、我々も新たな街の魅力や賑わい創出に寄与できればと思っています。また、個人的にも横浜に長く住む者として、この関内と、みなとみらいや元町中華街などが繋がるこの横浜臨海部一帯は、住みやすく、これからも発展していく街として、横浜が誇れるエリアだと思います。

大山様:「横浜武道館」としましては、全国各地から来て頂くお客様はもちろんですが、まずは地域に愛される施設を目指すことが大切だと思っています。先ほどご紹介した地域の方々に気軽に参加していただける教室事業も展開しますし、今後も色々と地域に向けたイベント開催なども考えていきますので、期待して頂ければと思います。

地域に愛される施設を目指す「横浜武道館」
地域に愛される施設を目指す「横浜武道館」

横浜武道館・メインアリーナ インタビュー
横浜武道館・メインアリーナ インタビュー

今回お話をお聞きした方

横浜市市民局 スポーツ統括室 スポーツ振興課 担当課長 赤羽様
横浜武道館 館長 大山様
■横浜武道館
所在地:神奈川県横浜市中区翁町2-9-10
電話番号:045-226-2100
URL:https://budokan.buntai.jp/
※この情報は2020(令和2)年10月時点のものです。