Kamoi Special Interview

1994年(平成6)年創業、横浜・鴨居を愛するシェフが営むケーキ屋さん「ロゼ・ダンジュ」

地元の人に「鴨居の美味しいケーキ屋さんは?」と聞けば、きっと最初に名前が挙がるであろう「ロゼ・ダンジュ」。創業から地元に根ざして間もなく30年近くという同店を訪れると、ドアを開けた瞬間、ふわりと甘い香りに包まれる。厨房では職人気質のシェフが真剣な眼差しを見せ、ショーケースの前では奥様が朗らかな笑顔で迎え入てくれる。

最近は、洋菓子店をパティスリーと呼ぶことも増えてきているが、この店に似合うのは「ケーキ屋さん」だろう。近所の人が気軽に声を掛けたり、おつかいを頼まれた子どもがケーキを買いに来たり…そんな光景も日常にある「ロゼ・ダンジュ」のこれまでの歩みや、鴨居のことについて、オーナーシェフ・野尻聡さんにお話を伺った。

優しい雰囲気が印象的な野尻さんご夫婦
優しい雰囲気が印象的な野尻さんご夫婦

愛着のある横浜で開業場所を探し、気に入った鴨居の街

――1994(平成6)年に開業されたそうですね。なぜ鴨居にお店を開くことになったのでしょうか?

野尻さん:もともと私は熊本出身で、18歳で東京に出てきまして、最初は池袋の洋菓子店で修行をしました。その後、新潟の「ローランローゼ」というお店で技術指導をし、また東京に戻ってきて務めたのですが、そのときの洋菓子店が首都圏に5店舗を展開していて、私は総括のチーフとして、主に働いていたのが横浜の店舗だったんです。当時は住まいも横浜だったので、横浜自体にすごく愛着を持っていました。

1994(平成6)年創業の「ロゼ・ダンジュ」
1994(平成6)年創業の「ロゼ・ダンジュ」

ですから、独立してお店を出そうとなった時にも、横浜で出したいと思いました。いろいろな場所を見て回りましたが、予算などもあり、見た範囲で一番気に入ったのがこの鴨居という街でした。たまたまのご縁ではありましたが、それから店を開いて今日まで約28年間、この場所で続けさせていただいています。

家族で楽しめるスイーツから、地域を代表する「鴨居のお土産」まで

――お店のこだわりや、大切にしていることをお聞かせください。

野尻さん:「リーズナブルにお届けする」ということと、そのような中でも「原材料にはこだわる」ということですね。こだわった原材料を使っていますが、できれば千円札1枚あればご家族3~4人みんなでケーキを食べられる、というようなイメージです。最近は原材料が高騰してなかなか千円以内というところまでは難しいのですが、それでも、できる限り価格を抑えていこうと努力しています。

――看板商品やおすすめの一品などがありましたら教えてください。

野尻さん:うちの看板商品と言えば、「鴨居の石畳」と「白山ちーず」ですね。どちらも地域の名前にちなんだ商品です。

「ロゼ・ダンジュ」を開店した当時、横浜土産と言われるものは多数ありましたが、“鴨居のお土産”というものが無かったのです。手土産として持って行って頂けるように地域の名前を付けて、この地域を代表するようなお菓子に育てられたらいいな、という思いから生まれました。

こだわりのチョコレートを使用した、「鴨居の石畳」
こだわりのチョコレートを使用した、「鴨居の石畳」

――それぞれのお菓子の特徴を教えてください。

野尻さん:「鴨居の石畳」は、生クリームとチョコ生クリーム、バニラのスポンジ、チョコのスポンジを重ねたもので、表面を覆っているガナッシュには、厳選した海外のクーベルチュール(製菓用のチョコレート)を使っています。私自身チョコレートが大好きなので、この商品をはじめチョコレート系のお菓子は全体的にこだわっていますね。

「白山ちーず」は、フランス産のクリームチーズを使った、スフレタイプのチーズケーキです。こちらも、チーズの質や量にこだわっていますので、ぜひ食べてみていただきたいですね。

こちらも“鴨居のお土産”におすすめの「白山ちーず」
こちらも“鴨居のお土産”におすすめの「白山ちーず」

ほかにも、「まほうのプリン」、「3時の幸せクーヘン」なども人気商品です。プリンの材料といえば「卵」と「牛乳」がスタンダードですが、うちの「まほうのプリン」はほぼ「卵黄」と「生クリーム」で作っています。どちらかと言えばクレームブリュレに近い作り方ですので、一味違って、濃厚で美味しいですよ。

「3時の幸せクーヘン」は、これまで作っていたパウンドケーキをちょっと改良し、生地にメレンゲが入っていますので、「リッチさ」と「軽さ」が特徴のケーキです。

――生ケーキはどういった品揃えでしょうか?

野尻さん:生ケーキは15種類から20種類くらいで、3割が季節ごとに、3割が半年ごとに入れ替わり、残りが定番商品となっています。一番人気があるのは、「いちごのショートケーキ」ですね。初めて来られた方、久しぶりに来られた方などに選んでいただく事が多いです。頻繁に来られる方は逆に、限定品、季節のケーキを楽しみに来られる方が多いと思います。

定番から季節限定商品まで、バリエーションに富んだ生ケーキ
定番から季節限定商品まで、バリエーションに富んだ生ケーキ

先程の話の通り、チョコレートにはこだわりがあり、チョコレート系の生ケーキやバレンタインの時期に出す、ボンボンショコラもおすすめです。他にも冬から春にかけて販売する「いちご大福」なども、隠れた人気商品になっていますね。

どの商品もお年寄りの方や、お子さんでも食べやすいようなものになっていますので、家族みんなで召し上がっていただければと思っています。

――ショーケースの一角に、フランスパンがあるのも気になっているのですが…。

野尻さん:これは美味しいフランスパンを自分で食べたいから、と私の気まぐれで作ったパンなのですが、意外にも好評でして(笑)。このパンだけを買いに来られる方も多いんです。

隠れた人気商品だというフランスパン
隠れた人気商品だというフランスパン

「街のケーキ屋さん」ならではのお客さんとのコミュニケーション

――どのようなお客さんがいらっしゃいますか?

野尻さん:やはり地元のお客様がとても多いですね。普段のおやつに、ご贈答に、誕生日のケーキに、などいわゆる「街のケーキ屋さん」として使っていただいていると思います。遠方から来られる方は、贈り物やお土産としてお菓子をもらった側の方が、ショップカードを見て来ましたというような方もいらして、やっぱり嬉しいですね。

――地域で長く営業されているお店ならではのエピソードなどはありますか?

野尻さん:うちにはイートインが無いので、お客様とは店頭で顔を合わせる程度なのですが、手作りのニュースレターを作ってお渡ししていまして、これがコミュニケーションのきっかけになることが多いです。「この間のお話が面白かったです」とか、「あの話の続きが聞きたいです」とか声を掛けていただいたりして、そこから会話が広がっていきますね。

地域密着ならではの工夫でお客さんとの交流も生まれる
地域密着ならではの工夫でお客さんとの交流も生まれる

鴨居ならではだなと思うことでは、お客さんが野菜などの農産物を持ってきてくださることですね。従業員にまかないを作って出しているので、そこでいただいた野菜を有難く使わせていただいています。

また、お子さんが「生クリームが苦手なんだけれど、ロゼ・ダンジュさんのケーキなら食べられるんです」とか、高齢で食べ物をあまり受け付けなくなってしまった方が「鴨居の石畳だけは好きですごく食べてくれます」など、添加物の入っていない、こだわった材料でお作りしていてよかったな、というようなうれしい声をいただいたりもしています。

生活利便もあふれる緑も、都会と田舎の良いとこ取り

――鴨居エリアの住みやすさについて、お聞かせください。

野尻さん:適度に都会で、適度に田舎。近くに「ららぽーと横浜」があって、都会のように近くでいろいろな用事が済んで便利なのに、緑がある場所に行きたいと思えば、すぐ近くに緑も川もある。そういうところが魅力だと思います。

「鶴見川」の土手沿いの散歩コースがすごく気に入っています。すごく開放的で、気持ちがいいところですよ。

緑あふれる環境が魅力(写真は「佐江戸公園」)
緑あふれる環境が魅力(写真は「佐江戸公園」)

――これから鴨居に暮らしたいという方に向けてメッセージをお願いします。

野尻さん:鴨居は横浜に出るにも、町田に出るにも、東京に出るにもアクセスもすごく便利です。それでいて緑もあふれていて、とても住みやすいところだと思いますので、たくさんの人にお住まいになっていただきたいですね。そしてぜひ、うちの店にもお越しいただければと思います!

「鴨居」駅からは交通の便も良い
「鴨居」駅からは交通の便も良い

 
ロゼ・ダンジュ
ロゼ・ダンジュ

ロゼ・ダンジュ

オーナーシェフ 野尻 聡さん
所在地 横浜市緑区鴨居5-6-3
電話番号:045-936-2629
URL:http://www.rose-dange.com/docs/
※この情報は2022(令和4)年5月時点のものです。