たまプラ一座まちなかパフォーマンスプロジェクト 林月子さん インタビュー

まちと人、人とひとのつながりから「育ちあい」がうまれていく「たまプラ一座まちなかパフォーマンスプロジェクト」

2013(平成25)年、「たまプラーザ」駅前の広場で行われた集団パフォーマンス、「フラッシュモブ」。その様子は動画サイトにも投稿され話題を集めたが、この“まちぐるみパフォーマンス”を企画したのは、たまプラーザの住民有志で作る「たまプラ一座(いちざ)」というグループだ。当時は「フラッシュモブ実行委員会」として活動していたが、現在は活動の幅をさらに広げていることから、名称も変わったという。

今回はこのフラッシュモブプロジェクトの発起人であり、現在も「たまプラ一座」の代表として活動に携わっている、林月子さんを訪ね、プロジェクトにかけた思い、たまプラーザの街の魅力などについてお話を聞いた。

お話を聞いた林月子さん
お話を聞いた林月子さん

――まず、林さんが「たまプラ一座」を始められた経緯について教えてください。

林さん:今も横浜市と東急電鉄さんが取り組まれている「次世代郊外まちづくり住民創発プロジェクト」というものがあるんですが、これはもともと2012(平成24)年から始まったもので、当時、どんなプロジェクトができるかを話し合うワークショップが行われました。そのワークショップには地域住民が100人くらい参加し、「この街でこんなことをやってみたい」「こういう街になったらいいな」という意見交換をしました。そこから「住民の手で何かに挑戦しよう、何かを作ろう」という取り組みが幾つか生まれました。「たまプラ一座」もその一つですし、この「3丁目カフェ」も、そのプロジェクトから生まれたコミュニティカフェです。

さまざまなコミュニティが集う「3丁目カフェ」
さまざまなコミュニティが集う「3丁目カフェ」

それまでの私は、この街について、なんとなく、「きれいで、おしゃれで、ちょっとハイソ」みたいなイメージを持っていたんですが、私もそのワークショップに参加して、それだけじゃなくて、もっと人が育ちあえる、人が優しくなれる街になっていけばいいな、って思っていたことに気づかされました。たとえば誰かに「たまプラーザってどんな街?」って聞いた時に、「あそこに住んでいると優しい人になれるんだよ」とか、「みんなで助けあっている街だよね」とか、そういうイメージの街になったら、ここは本当の意味で“豊かな街”になる。そのために私は何ができるのかな、という思いが今につながっています。

2016年に開催されたパフォーマンス「BAMBOOOM」
2016年に開催されたパフォーマンス「BAMBOOOM」

パフォーマンスをするようになったのは、2013(平成25)年に駅前広場で行ったフラッシュモブが最初です。もともと私は「ダブルダッチ」という縄跳びの競技に関わっていました。実は、この街に何人もその競技の世界チャンピオンがいて、うちの子どもたちも世界チャンピオンになったことがあるんです。ですので、私はダブルダッチもこの街の文化のひとつだからもっと普及させたい、という思いを持ってました。そうしたら、ちょうどその当時「フラッシュモブ」が流行って、ダブルダッチでフラッシュモブをやったらダブルダッチもこの街も注目を集めそうだ、と考えたんです。

フラッシュモブから住民たちのまちづくりが始まった
フラッシュモブから住民たちのまちづくりが始まった

ただ、広場の使用許可など課題も多く、面白そうだけど実現は難しいとも思っていました。ですが、まちづくりに関する講演会で、「たまプラーザの駅前広場は隠れる場所がいっぱいあるので、フラッシュモブにはピッタリですね」と講師の方がお話をされて、「もしかしたら出来るかもしれない」と。それでダブルダッチを取り入れたフラッシュモブ実施の企画で、「次世代郊外まちづくり住民創発プロジェクト」のプロジェクト候補にエントリーしたんです。そうしたら、本当に認定されて、認定プロジェクトになったことで駅前広場の使用許可ももらえました。

最初は1回だけのフラッシュモブ実現のために人を集め、その先のことはまだ具体的には考えていませんでした。けれど、実際にやってみたらフラッシュモブを通して知り合った人同士がつながって、「またやりたい」「これもやろうよ」となっていって…、これまでにパフォーマンスは合計4回もやってきました。今年度からは2年に1回のペースにしましたが、「またやりたい」という声がある限り、続けていきたいと思っています。

2016年に開催されたパフォーマンス「BAMBOOOM」
2016年に開催されたパフォーマンス「BAMBOOOM」

――当初は「フラッシュモブ実行委員会」だったんですね。それが「たまプラ一座」になっていったのですね。

林さん:2013(平成25)年の5月に立ち上げたのは、「フラッシュモブ実行委員会」という名前で、15人、私が一本釣りでメンバーを集めて始めました。それからメンバーが増えて、「たまプラ一座だよ!全員集合!」という名前になった時期もあって、今では「たまプラ一座 まちなかパフォーマンスプロジェクト」が正式名称になっています。でも、また別の名前に変えるかもしれません。長すぎて、領収書をもらう時などいろいろと大変なので(笑)。

――パフォーマンス以外にもさまざまな活動があるようですね。最近はどのような活動をされているのでしょうか?

林さん:これまでは1年に1回、街でパフォーマンスをすることをメインの活動にし、日頃暮らしている街の中を舞台に、ダンスや歌、打楽器などを使って、パフォーマンスをするという内容でした。けれど、実はこれらは「パフォーマンスをする」ことが目的ではなく、そこに至るまでの製作過程の中で、みんなが教えあったり励ましあったりして、「育ちあう」ことが本当の目的なんです。みんなが育ちあって、いつしか、街に大家族のようなつながりができればいいな、という思いでパフォーマンスをしてきたわけです。

林さんがインドで仕入れたスパイスを使ったカレーパーティーの様子
林さんがインドで仕入れたスパイスを使ったカレーパーティーの様子

ですから最近は、他にも「育ちあい」につながるいろいろなことをしています。たとえば、みんなが気軽に集まれる場として、食のイベントをしたり、ワークショップをしたり、といった感じです。子どもたちが参加しやすいようにピクニックをやったり、資金を集めるために地域のお祭りでお店を出す、という活動もあります。

ユニークなものだと、近くに「ロリンズ」というジャズバーがあって、そこのマスターも仲間なので、そこを借りてよく食のイベントをしています。料理が得意なメンバーが主役になって、得意の料理を振る舞い、沢山飲んでもらって、その売り上げの一部を活動資金にするというイベントが多いですね。

私もたまに、「月亭割烹」という名前で、家で作っているような和食を出していますし、アジア料理が得意な藤本さんが「たかっしーのバリナイト」を開いたり、青森の七戸の団体と交流があるので、特産のニンニクを使って「ガーリックナイト」を開いたりもしています。本当にいろいろなことをしています。そこでは飲んで食べるだけじゃなくって、みんながそれぞれの活動の紹介をしたり、得意なことを披露したり。

駅前通り商店街で開催された「たまプラ―ザの夏祭り」に参加
駅前通り商店街で開催された「たまプラ―ザの夏祭り」に参加

あと、こういうイベントやパフォーマンスをやっていると、その中で新しい交流が生まれるので、自主的な活動もたくさん生まれています。音楽が好きな人が集まってバンドを作ったり、衣装が得意な人、絵が上手な人、楽器が好きな人、編み物が上手な人など、メンバーにはいろいろな得意分野を持った人がいるので、そうした人たちを中心とした活動も生まれています。私達の活動は一貫してはいませんが、自主的な広がりができてきています。

――「たまプラ一座」にはどんな方が参加しているのでしょうか?どうやったら参加できますか?

林さん:中心的なメンバーは「実行委員」で、私を含めて8名います。もう少し気軽に関わりたい人は「連絡会」のメンバーに、大きなパフォーマンスをする時には人数が必要なので、キャストとかパートナーという形で、その都度沢山の方に参加していただいています。これ以外にも、ちょこちょことお手伝いしてくださるボランティアさんもいます。

年齢も幅広くて、赤ちゃんから、最高齢は78歳の方まで、いろいろな年代の方、職業の方がいらっしゃいます。なので、イベントは主に週末にやっており、打ち合わせなども、みんなが集まりやすい時間でやっています。

「美しが丘公園」で開催された桜祭りにも
「美しが丘公園」で開催された桜祭りにも

参加については、まずは、イベントごとに参加者を募集するので、そのタイミングで参加して下さるのが一番良いと思います。SNSでも募集の告知をしていますけれど、口づてで参加される方が一番多いと思います。これまで参加された方が、「すごく楽しかったから一緒に来ない?」と、誰かを連れてきてくれるんです。だから街の住人以外の方もいますし、「この街を良くしたい」と思っている方はもちろんですが、「ただ楽しみたい」という方でも大歓迎です。

なぜなら、私は参加する理由は「後付け」でいいと思っているからです。そもそも私達だって、まちづくりをしようと思ってこの活動をしているのではなくて、「みんなで一緒にやったら楽しいから」というところから始めました。それが結果的に、「育ちあい」につながって、みんながこの街を愛するということにつながると思うんです。

一座のみんなで活動について話し合います
一座のみんなで活動について話し合います

それに私達は、いろんな“覆い”を取り払って、“素の人”同士でつながりあいたいと思っています。そうすれば、本当に、いざという時にも、声を掛けあったりしやすいし、それが本当の意味での「暮らしやすさ」になっていくのかな、と思っているんです。そこに大義名分は不要ですよね。

たまプラーザってなんとなく、ハイソな街のイメージが定着しているので、住む人もそういうふうに「演じていないといけない」と、ついつい思っちゃうんですけど、私は、そんなの取り払って、もっとさらけ出せばいいと思うんです。みんなが受け入れあって、受け止めあっていけば、本当に暮らしやすい街になると思っているので。だから気軽な気持ちで参加してほしいですね。

――将来のビジョンを教えてください。

林さん:わたしたちは「育ちあい」をテーマにしているので、とにかくこの活動を通して、「みんなが育ちあっていけたらな」と思っています。だから私達はいつも、「まちなかパフォーマンス」の最後に、「この街の育ちあいが広がっていきますように!」と唱和しているのですが、それが一番の思いです。たまプラーザの街で生まれた「育ちあい」が、世界中に広がっていってほしいな、と思っています。

――最後に、たまプラーザ地域の暮らしやすさ、子育て環境の魅力について、コメントを頂ければと思います。

林さん:私は1990(平成2)年からこの街に住んで、子育ても経験してきましたが、子どもを育てる環境という面から見ると、きれいに整った街並みで、治安がいいところですから、とても安心できる場所だと思います。そういった点を魅力に感じられて引っ越してくる方は多いみたいですよ。親としては、なるべく安全な場所で過ごさせてあげたいと思うのは当然だし、その意味で、ここはすごく魅力がある場所なのかな、と思います。

それから、最近は保育園が多くできてきましたし、子育てに関わる人たち、子育てに関心がある人たちが多くて、そのネットワークもありますから、子育てに不安を抱えることも少ないと思います。

実は私も、「横浜子育てサポートシステム」というものに登録していて、有償ボランティアとしてお子さんの一時預かりをしたり、最近まで「こんにちは赤ちゃん訪問員」として、赤ちゃんが産まれたばかりのご家庭に訪問して、市の子育てに関する冊子をお届けし、ママの様子を伺うという活動をしていました。そういう仕組みも整っていますし、参加する方も多いですし、「街のみんなで子どもを育てましょう」という雰囲気があるので、子育てはしやすいと思います。

たまプロピクニックなどみなさんで楽しむイベントも開催
たまプロピクニックなどみなさんで楽しむイベントも開催

もちろん、生活する場所としても、とても便利な街ですね。駅に出ればだいたいのものが揃うし、交通の便もいいです。自治会の活動もさかんですし、学校のPTAなどについても、「自分の子どものためなんだから、みんなでやりましょうよ」って雰囲気があって、みんな楽しみながら関わっている感じがあります。

それから、私がこの街の一番の資産だと思っているのは、人の「才能」です。私もこの活動を通してわかってきたのですが、たまプラーザには本当にいろんな、人に教えられるようなスキルを持った方が、沢山住んでいるんです。ここには特産品のようなものは特に無いんですけれど、そういった「人の才能」こそが、この街の資産であり、魅力だと思っています。

――最後に、この地域で生活したい方に向けてメッセージをお願いします。

林さん:ここは典型的な郊外住宅地で、緑も多くて、都心へのアクセスもとても良くって、日常生活をするうえでは何の不便もなく快適に暮らせる街です。そういうところも魅力なんですけれども、もうひとつ、街に住んでいる、いろんな才能を持った「人」も、この街の魅力であり財産だと思うので、ぜひいろんな人と出会って、「育ちあい」の輪に入っていただければと思います。

林さん
林さん

たまプラ一座まちなかパフォーマンスプロジェクト

代表 林月子さん
URL:https://ja-jp.facebook.com/tamaplaza/
※この情報は2017(平成29)年9月時点のものです。