川崎市立百合丘小学校 小澤校長先生 スペシャルインタビュー

豊かな自然に囲まれ、地域全体で子どもたちの成長を見守る「川崎市立百合丘小学校」

小田急小田原線「百合ヶ丘」駅から商店街を歩くと見えてくる、環境に配慮した明るい校舎が目印の「川崎市立百合丘小学校」。ヤマユリの群生地だった地に立つこの学校は、子どもの視点に立った教育を心がけているという。地域の人たちによる「ヤマユリ植栽」や子どもたちが運営や企画を担当する「スポーツフェスタ」など、特徴的な活動も目立つ。今回はそんな「川崎市立百合丘小学校」の小澤校長先生に、学校や子どもたち、街のことについてお話を伺った。

今回インタビュー取材にご協力頂いた小澤校長先生
今回インタビュー取材にご協力頂いた小澤校長先生

――まずは学校の沿革や概要について教えてください。

小澤校長先生:本校は1965(昭和40)年4月、百合ヶ丘団地の造成にともない「西生田小学校」から分離独立する形でこの地に開校いたしました。当時の全校生徒は今の半分ほどだったようですが、地域の開発とともに生徒数も増え、1968(昭和43)年には過去最多の1600名の生徒が在籍していたようです。現在は合計909名の児童が元気に通学しています。
本校は「笑顔あふれる学校」を教育目標に掲げており、こちらは子どもだけでなく、先生や地域の方々も笑顔になれるような学校を目指したいという思いがあります。また、目指す子ども像としてあげている「明るい子・よく考える子・がんばる子」の「明るい子」とは、心配事や悩みのない子どもらしい伸びやかな姿をもつ子、「よく考える子」とは自分のことのように相手のことも考えることができ、日々の学習を楽しく前向きに行える子、そして最後に「がんばる子」とは目標に向かって地道に努力できる子を意味していて、そんな子どもたちに成長してほしいという思いが込められています。

ヤマユリをモチーフとし、「力強さ」「ゆかしさ」「リズム」をデザインした校章
ヤマユリをモチーフとし、「力強さ」「ゆかしさ」「リズム」をデザインした校章

――2012(平成24)年に完成した新校舎の特長を教えてください。

小澤校長先生:旧校舎の老朽化にともない、2010(平成22)年度から2012(平成24)年度にかけて校舎の改築を行いました。子どもたちの意見を取り入れたり、地域の代表の方々にも参加していただいて、「作りあげよう 地球にやさしい輝く百合小」というスローガンを掲げ、構想に8年をかけて今の校舎が完成したと聞いています。
例えば建物全体にガラスブロックが使用されたり、教室の廊下側に壁がなくオープンな教室になっているので、自然光が取り入れやすく教室全体が明るくなっています。また、太陽光発電や屋上緑化、二重窓などによる断熱化、二重庇(ひさし)による反射光の利用など、様々なところに工夫がちりばめられており、徹底して「環境にやさしい校舎」となっています。このような校舎で過ごすことで、子どもたちも環境への意識が高まり、環境問題などにも積極的な行動が取れるようになるとプラスに感じております。

自然光が入り、開放感のある校内
自然光が入り、開放感のある校内

――「ヤマユリ観賞会」では地域の方々もご招待されているのですね。

小澤校長先生:この地域はもともとヤマユリが群生する自然豊かな土地と言われています。そしてその場所に開校した本校は、校名や校歌にも百合の文字が使われています。長年の宅地開発などでヤマユリが激減し、ヤマユリ自体が絶滅を危惧されている現状を踏まえ、本校では開校40周年記念として「ヤマユリを学校に咲かそう」と植栽事業を始めることになりました。
校庭の端にある斜面部分をならし、教職員と住民の方々、サポーターのお父さんたちが30~40cm程度の深さの穴を掘るんですが、これがなかなかの重労働でして…(笑)。そして、そこへ子どもたちがヤマユリの球根を植えていきます。毎年10月末から11月上旬頃に球根を植え、花が咲くのは7月下旬頃になります。ですが、球根を植えてから実際に花を楽しむまでに成長するには3、4年はかかりますので、今現在咲いている花たちはすでに卒業した子どもたちが植えたものがほとんどです。校庭の斜面には地域の方も自由に出入りを楽しんでいただいています。

ヤマユリ
ヤマユリ

――合唱団の活動も盛んだとお聞きしました。

小澤校長先生:5~6年生の有志による「ユリっ子合唱団」は、現在40名ほどの部員がおります。高齢者施設や障害者福祉施設などで定期的にコンサートを行ったり、川崎市の地区ではもちろんNHKやTBSなどの合唱コンクールにも挑戦するなど、積極的に活動しています。この「ユリっ子合唱団」が学校外の方々とのかけ橋役になっていて、地域と学校を繋ぎ、学校への理解を深めていただいていると感じます。

――毎年春に行われている「スポーツフェスタ」について教えてください。

小澤校長先生:本校の「スポーツフェスタ」は1~6年生までの縦割りで、「赤・青・黄・緑」の4色のチームに分かれて、対抗戦を行います。基本的には子どもたちが企画運営から応援、装飾、広報、そして当日の進行までを積極的に行っています。この「スポーツフェスタ」では、チーム対抗の応援合戦があり、これまでは様々な賞を設けて全てのチームが何かしらの賞を受賞できるようにしていました。ですが、実は昨年度子どもたちの方から「評価を得点制にしてきちんと審査し、優勝チームを1つに決めてほしい」という声があがりまして。各チームで考えた掛け声や応援歌、寸劇などを交えた応援などそれぞれオリジナルの応援合戦を披露するので、実に見応えがあります。来賓の方やPTAの方々、もちろん私自身もしっかり見て真剣に投票しています。

チームごとに分かれて戦う「スポーツフェスタ」
チームごとに分かれて戦う「スポーツフェスタ」

――保護者の方々主導で行われるイベントもあるそうですね。

小澤校長先生:毎年秋に行われる「きらきらフェスタ」は、毎年PTA主催で行われています。土曜参観の後、様々な道具類がササッと出てきて、校庭や校舎、体育館などが一瞬にしてお祭りの風情に変身します。学校の体育館を利用しているスポーツ団体や父の会の方々も出店してくださっていて、フランクフルトやドーナツなどのお店からフリスビー投げやお宝釣りなどのゲームコーナーなど、様々なお楽しみ企画が学校中で繰り広げられます。PTAの方々をはじめ、学校に関わるみなさんが「子どもたちを喜ばせたい」という思いで開催してくださっているイベントなので、子どもたちもとても楽しみにしている行事のひとつです。

校庭を使い、さまざまな催しが行われる「きらきらフェスタ」
校庭を使い、さまざまな催しが行われる「きらきらフェスタ」

――日々の学校生活のなかで、先生が大切にしていらっしゃることは何ですか。

小澤校長先生:教育目標でもある「笑顔あふれる学校」というのは、子どもたちが学校に来ることが楽しみになるような学校であり、「早く学校に行きたい」と思う気持ちになれる場所。これは子どもだけでなく先生方にとっても「子どもにこんなことを教えてあげたい」「子どもたちの成長を見守りたい」という気持ちになれる学校という意味でもあります。
また、これは私や教職員、児童コーディネーターの先生ともお話ししていることなのですが、「子どもは一人一人が何かしらの課題や悩みを持っている」という視点を持つことでもあります。学校では気丈に元気に振る舞って、何事も問題なく見えるような児童でも、人にはあえて話さない悩みを抱えているかもしれない。そういう視点を教職員全員が持つことで、注意深く子どもたちを観察することができ、様々な問題を早く気づいてあげられるのではないかと考えています。 また、学校の授業やヤマユリの活動、合唱団、応援団など子どもたちにとって自分の居場所となるような子どもの「核」になる場所を用意してあげられたらと思っています。

――今後、力を入れていきたい取り組みや活動について教えてください。

小澤校長先生:現在、準備を進めている「寺子屋学習」は地域の方々に子どもたちの勉強や体験活動をサポートしていただくというものです。例えば、平日には学校の宿題や読書を通して子どもたちの勉強をサポートをしていただいたり、土曜日には将棋や茶道など、地域の方々の得意分野を通して子どもたちが体験的に学べるものをご指導いただきたいと考えています。このような体験を通じて、地域の方々とつながりを持つことで子どもたちの生活がより豊かになると考えています。校内で希望者を募ったところ、かなり多くの児童が参加したいということでしたので、曜日を決めるなど少し工夫をしてなるべくたくさんの子どもたちが寺子屋に来られるようにしたいですね。

寺子屋
寺子屋

――学校周辺の街の魅力はどのようなところでしょうか?

小澤校長先生:一つには自然や公園が多く、非常に落ち着いた環境であるということですね。もともとこの辺りは野山を開拓して作られた街なので、その面影が学校周辺にも残り、街そのものに緑が多い街だと感じます。二つ目は、コンパクトにまとまった暮らしやすい街であることですね。最寄りの「百合ヶ丘」駅周辺には地域密着のスーパーやドラッグストアなどがそろい、さらには駅から学校までをつなぐ商店街には交番、消防署、郵便局といった公共機関が並んでいるので、街に必要な機能がこの「百合丘小学校」周辺に整っているのもうれしいところです。

美しい緑に囲まれた自然豊かな街
美しい緑に囲まれた自然豊かな街

三つ目は、街の方々がとても温かいということ。街探検などで郵便局や商店街のお店などに子どもが訪ねて行った時や登下校の際にもよく声をかけてくださって、本当にいつもお世話になっています。「子どもを地域で育てよう」、「子どもを地域で守ろう」という意識があり、学校に向けてくださる目にも温かさを感じます。それがこの街の大きな魅力になっていると思いますね。

小澤校長先生
小澤校長先生

神奈川県川崎市立百合丘小学校

校長 小澤洋一先生
所在地 :川崎市麻生区百合丘2-1-2
電話番号:044-966-3550
URL:http://www.keins.city.kawasaki.jp/2/ke210301/
※この情報は2018(平成30)年6月時点のものです。