横浜市都市整備局 みなとみらい21推進課 インタビュー

大規模ビルが開発ラッシュに、世界最大級の音楽アリーナも誕生予定!エリアの仕上げともいうべき開発が進行中で注目される「みなとみらい21地区」

今から半世紀以上も前に、横浜市が21世紀の新しい港湾都市の姿を求めて計画した「みなとみらい21」の開発プロジェクト。そこから長い年月の間に、「横浜ランドマークタワー」「クイーンズスクエア横浜」「よこはまコスモワールド」「赤レンガ倉庫」など、数々の横浜の新名所が生まれてきたことは、多くの人が知るところだろう。しかし一方で、地区の北側では数年前まで空き地が大部分を占め、やや寂しげな光景を見せていたことも事実だ。
ところがこの2、3年の間に、これらの空き地に今大きな変化が起きている。「新高島」駅周辺を中心としたエリアで、数々の大規模な建物の工事が始まっているのだ。これからこの界隈はどのように変わっていくのだろうか。横浜市で「みなとみらい21」地区の開発を担当されている、横浜市都市整備局都心再生部みなとみらい21推進課・課長の白井正和さんにお話を伺った。

 横浜市都市整備局 みなとみら い21推進課 課長 白井正和さん
横浜市都市整備局 みなとみら い21推進課 課長 白井正和さん

横浜市を「個性ある自立都市」にすべく始まったプロジェクト

――そもそも「みなとみらい21」の開発とは、どのような事業なのでしょうか?

事業の発端は、1950年代から70年代初めの高度経済成長期に、東京への「一極集中」が顕著になったということがあります。横浜は東京のすぐ隣にあるので、東京に通われる方が(横浜に)多く住まわれるという状況が生まれ、人口が急増していきました。ところが、インフラの整備が人口増加に追いつかなかったため、都市としていろんな歪みが発生してしまったのです。

事業着手前の「みなとみらい21」地区(1980年)。写真左奥が「横浜」駅、右手前が「関内」駅周辺。
事業着手前の「みなとみらい21」地区(1980年)。写真左奥が「横浜」駅、右手前が「関内」駅周辺。

横浜市ではそれらの“歪み”に対応しながら、横浜を「個性ある自立都市」とするために、1965(昭和40)年に「六大事業」を発表しました。そのひとつの柱が「都心部強化事業」というものでしたが、その事業の中核的なプロジェクトが、「みなとみらい21」の開発事業でした。
もともとこの地区には造船所や国鉄の貨物の操車場があったのですが、それらの施設には移転をしていただいて、また一部は新しく埋め立てを行い、今のようなまとまった敷地になりました。こうして横浜市が主体となって区画整理をした土地を、民間事業者に売却して、開発をしていただいているというのが、この「みなとみらい21」という地区になります。

――「みなとみらい21」地区は3つのエリアに分けられているそうですね。それぞれのコンセプトの違いを教えてください。

「みなとみらい21」地区は「中央地区」「新港地区」「横浜駅東口地区」という3つの地区の総称になります。全体コンセプトとして、「24時間活動する国際文化都市」「21世紀の情報都市」「水と緑と歴史に囲まれた人間環境都市」といった言葉を使っておりまして、この目標に向けてまちづくりを進めています。

現在の中央地区
現在の中央地区

3つのエリアのうち一番広い「中央地区」は、皆さんがよくイメージされる「ランドマークタワー」等もある地区です。この地区では「賑わいと活力ある都市空間の創造」ということをキーワードにしています。1988(昭和63)年には中央地区の地権者等の間で「みなとみらい21街づくり基本協定」を締結し、水、緑、パブリックスペース等の配置や、建物の色調などについても、自主的なルールを定めました。それに沿って、調和のとれたまちづくりを進めています。

「横浜赤レンガ倉庫(赤レンガパーク)」のある「新港地区」
「横浜赤レンガ倉庫(赤レンガパーク)」のある「新港地区」

一方、「横浜赤レンガ倉庫」などがある地区を「新港(しんこう)地区」と呼んでいます。こちらは「歴史と景観を活かした再開発」という目標を掲げています。歴史的なシンボルを大事にしながら、開港の地にふさわしい街並み形成を進めて、水辺のうるおいや港の歴史が感じられる街に、また、国際性があふれる街にしていこう、という趣旨です。こちらでも「新港地区街並み景観ガイドライン」というルールを別に定めまして、良好な景観にも配慮しながら、開発を行ってきました。

両地区の違いをわかりやすい数字でご紹介しますと、「中央地区」については、建てられる建物の最大の高さを「300メートルまで」としていますが、「新港地区」については「30メートルまで」としています。10倍も違うんですね。高さ以外にも、用途や形態についてもそれぞれ異なる制限をかけていまして、それに従いながら、個性的な街づくりが行われています。

もうひとつ、「東口地区」はそごうとスカイビルがある面積も小さいエリアで、「横浜」駅との結節点として位置づけられる地区になります。

地区ごとに綿密な計画を練り、民間事業者と協力しながら進行中

――インフラは横浜市が整備し、建物は民間事業者が開発する、とのお話でしたが、開発内容に横浜市は関与されないのでしょうか?

いえ、個別の案件ごとにしっかりと内容を協議、吟味させていただいています。「みなとみらい21」地区で建物を開発する時には、単に「法律に合っていればOK」ということではなく、建物の見た目についても、色についても、施設の内容についても、「この地区が目指すところにふさわしい中身になるように」ということで、細かなことまで協議をさせていただいています。

――現在は段階として、どんな状況なのでしょうか?

街区開発状況図(みなとみらい21推進課WEBページより転載)
街区開発状況図(みなとみらい21推進課WEBページより転載)

現在の状況はこちらの図にあるとおりですが、ピンク色の部分が完成済み、紫色の部分が工事中、青色の部分が着工準備中、ということになっています。特にこの3、4年くらいで決まったプロジェクトが、現在動いているという状態です。いよいよ、残るところ(未売却地)も少なくなってきた、という段階です。

――すべてが完成するのはいつになりますか?

現在工事中のものや、着工準備中のものは、2019年から2021年にかけて順次完成していく予定です。ただ、その他の未定区画に関しては、早いに越したことはないと思いますが明確な時期の目標というものは立てていません。今はこの開発の最後の仕上げの段階だと思っていますし、これから開発する地区は「横浜」駅に近いエリアで、区画も比較的大きいですから、「いつまでにそこを埋める」というよりは、「どれだけいいものを作るか」ということに注力したいと考えています。

世界最大級の音楽専用アリーナなど注目の施設が続々完成予定!

――今後完成する施設の中から、特に見どころとなるものをご紹介ください。

注目が高いところで言えば、やはり2つの「音楽専用アリーナ」かと思います。ひとつは「(仮称)MMアリーナ」。「ぴあ」さんが実施している事業になりますが、1万人規模の音楽専用アリーナが首都高の出口付近で建設中です。こちらは2020年春の完成予定です。実は、音楽専用アリーナはもうひとつ計画されていまして、以前「マリノスタウン」があった辺りに、「(仮称)Kアリーナ」という2万人規模の非常に大きなアリーナが造られる予定です。こちらは2021年度中の完成予定です。聞いたところでは、音楽専用アリーナとしては世界最大級の規模だということです。このふたつの新しい音楽アリーナができることで、街の雰囲気もだいぶ変わるのではないか、と思っています。

(仮称)MMアリーナ 外観イメージ(出典:ぴあ株式会社ニュースリリース)
(仮称)MMアリーナ 外観イメージ(出典:ぴあ株式会社ニュースリリース)

そのほかの施設については、「みなとみらい21」の最近の特徴として、企業のR&D(研究開発)系の施設が集積してきている、ということがあり、特に「新高島」駅の周辺を中心にそういった施設が多くできていきます。「(仮称)資生堂のグローバルイノベーションセンター」を皮切りに、「(仮称)LGグローバルR&Dセンター」「(仮称)京急グループ本社ビル」「村田製作所みなとみらいイノベーションセンター」「神奈川大学みなとみらいキャンパス」などが、今後この地区に誕生します。

左奥が「(仮称)LGグローバルR&Dセンター」と「(仮称)資生堂のグローバルイノベーションセンター」予定地、右奥が「横浜グランゲート」
左奥が「(仮称)LGグローバルR&Dセンター」と「(仮称)資生堂のグローバルイノベーションセンター」予定地、右奥が「横浜グランゲート」

――今後完成していく施設の中に、横浜市が関わっている施設はありますか?

「パシフィコ横浜」では拡張工事を現在行っていまして、現在の施設の隣に6階建てのコンベンション施設を作っていますが、こちらは民間事業者に開発していただいたものを、市が借り受けて運営するという形をとります。高級ホテルも併設されます。
もうひとつは、「新港地区」で工事中の新しい客船ターミナルです。こちらにはターミナルとともに、にぎわい施設、商業施設も作られる予定で、「パシフィコ横浜」と同様に、民間事業者の力を借りて造っていただいています。

拡張工事中の「パシフィコ横浜」
拡張工事中の「パシフィコ横浜」

――今後、「横浜」駅側からのアプローチが改良される計画はあるのでしょうか?

現段階で決まっているものはありませんが、現時点で(「横浜」駅から徒歩で)来にくい、わかりにくいというご指摘はよく頂いていますし、今後は音楽アリーナ等の大きな施設もできてきますので、課題として考えているところです。

盛り上がるまちづくりの最後の仕上げ

――今後のこの地区に対する思いをお聞かせください!

「みなとみらい21」地区は昨年度の来街者数が約7,900万人、就業者数が約10万5千人、事業所数が約1,810社ということで、特に就業者数と事業所数については過去最高を記録して、さらに右肩上がりになることが予想されています。そんな中で、残りの未開発街区も少なくなってきているという状況ですが、これらは「横浜」駅にも近い、非常に重要な街区だと認識していますので、開発の最後の仕上げとして、事業者の皆様によりよい提案をいただけるように、引き続き頑張っていきたいと思います。

また、「みなとみらい21」といえばビルのイメージが強いかと思いますが、実は公園や緑も非常に多くありますし、野鳥や昆虫など、いろんな生き物も棲んでいます。ぜひそういったものにも触れながら、街を楽しんでいただけたらと思います。

課長 白井正和さん
課長 白井正和さん

横浜市都市整備局 みなとみら い21推進課

課長 白井正和さん
所在地:横浜市中区港町1-1
URL:http://www.city.yokohama.lg.jp/toshi/mm21/
※この情報は2018(平成30)年9月時点のものです。