ホテルニューグランド インタビュー

迎賓館として開業した国際都市横浜の発展のシンボル「ホテルニューグランド」

横浜の歴史を語るとき、そこに必ず登場するのが“ホテルニューグランド”という名である。1927(昭和2)年に開業し、街の発展を見守ってきたクラシックなランドマークである。今回はそんな「ホテルニューグランド」を訪問し、総務人事部の主任である網倉裕子さんにホテルの歴史や、こだわり、また、横浜の街の魅力についてお話を伺った。

洋の東西を問わず、誰もが味わえる至福の時間

「ホテルニューグランド」外観
「ホテルニューグランド」外観

――90年の長い歴史を誇るホテルですが、開業の経緯について教えていただけますか。

網倉さん:ホテルニューグランドは、1927(昭和2)年12月1日に開業したホテルです。開業当時の建物が現存する日本有数のクラシックホテルとして、今年90周年を迎えます。開港以来、国際貿易都市として発展してきた横浜の中でも、ここ山下町は、開港当時、世界各国からの渡航者のためのホテルが海岸通沿いに建ち並ぶ華やかなエリアでした。そんな文化と流行の最先端をいく街を、1923(大正12)年9月1日、関東大震災が襲いました。輝かしかった横浜が見る影もなく一瞬で廃墟と化したこの出来事が、じつは「ホテルニューグランド」誕生のきっかけです。日本の玄関とも言える横浜の地に新たなホテルの建設が急務となり、当時の横浜市政財界と横浜市民が一丸となった結果、1927(昭和2)年に「ホテルニューグランド」が開業しました。

1927(昭和2)年12月1日、「ホテルニューグランド」開業日の玄関前
1927(昭和2)年12月1日、「ホテルニューグランド」開業日の玄関前

――重厚感のある素敵なホテルですね。建造物について聞かせてください。

網倉さん:当ホテルの本館は、「服部時計店」(現・銀座和光)や「第一生命館」を手がけたことでも知られている渡辺仁氏の設計によるものです。1992(平成4)年には横浜市認定歴史的建造物、2007(平成19)年には経済産業省の選定による近代化産業遺産に認定されました。

総務人事部、主任の網倉裕子さん
総務人事部、主任の網倉裕子さん

海外からのお客様をお迎えすることを念頭に、日本の第一印象を付与する意図をもってデザインされた建物で、瀟洒な洋館の中に、随所に東洋のエッセンスが感じられるモチーフを配置しており、和と洋の調和を感じられるのが特徴だと思います。関東大震災から復興するシンボルとして、耐震性を考えて建てられたこともあり、90年前の建物にもかかわらず、東日本大震災でもほとんど被害はありませんでした。この先人たちの築いた伝統を次世代へ継承するため、昨年、大規模な改修工事を実施いたしました。横浜の財産とも言えるこの本館を、100年、150年先も開業当時の雰囲気そのままに受け継いでいきたいと思っています。

――歴史に名を刻んでいるような方も、数多く宿泊されたそうですね。

網倉さん:最も有名なゲストは、連合国軍最高司令官のダグラス・マッカーサー氏ではないでしょうか。終戦後の来館がよく知られていますが、戦前、新婚旅行で日本を訪れた際にも宿泊されたと記録が残っています。戦後、マッカーサー元帥の執務室として使用された315号室は、現在では「マッカーサーズスイート」と呼ばれ、元帥ご使用のライティングデスクと椅子とともに今も残っています。そのほかにもチャーリー・チャップリン氏やベーブ・ルース氏なども宿泊しています。お迎えした著名人とそのエピソードを挙げていくと、話が尽きないですね。

本館2階ロビー
本館2階ロビー

――『THE有頂天ホテル』をはじめ、これまでに数多くの映画やドラマ、また雑誌の撮影などに使用されているそうですね。

網倉さん:作品を通じて当ホテルを知り、“聖地巡礼”にご来館される方も多くいらっしゃいます。あまり知られていないことですが、ご宴席等のお貸し出しをしていない時は、ロビーをご覧いただくこともできます。ホテルの前はよく通るけれど少し入りづらいというお声を頂戴することもあり、当ホテルを身近に感じるきっかけになればと、ロビーコンサートを定期的に開いたり、宿泊客限定ではございますが、館内をツアー形式でご案内したりしております。これまで多くの作品のロケ地としてご利用いただいておりますが、それぞれ異なる世界観の表現がこの空間と見事に調和し、ひとつの作品として完成するのを目にするたび、日々この場所で過ごしている者としても、改めて本館の魅力に気づかされます。

世代を超えて愛される一流のおもてなし

「スカイチャペル」
「スカイチャペル」

――落ち着きのある雰囲気と相まって、ウエディングには最適な環境ですね。

網倉さん:当ホテルにはタワーと本館の2つの建物があり、それぞれ趣の異なる横浜を味わうことができます。特に、タワー最上階にある「スカイチャペル」からは、みなとみらい、ベイブリッジをはじめ、横浜を一望する景色を独り占めすることができます。汽笛の音に祝福されるのも港街ならではなのではと思います。

「フェニックスルーム」
「フェニックスルーム」

本館の宴会場は、ロビーや大階段と同様、それぞれ凝ったつくりになっています。開業当時、メインダイニングとして利用されていた「フェニックスルーム」や舞踏室として多くの人が集った社交の場「レインボーボールルーム」など、会場ごとに趣が大きく異なるので、ウェディングの際は、どの宴会場を選ぶか悩まれる方はとても多いですね。

「レインボーボールルーム」
「レインボーボールルーム」

タワーにも、豪華客船を思わせる華やかな会場や、横浜のモチーフを散りばめた会場があり、いずれの会場をお選びいただいても、その空間が醸し出す雰囲気はゲストの記憶にも刻まれることでしょう。ウェディングという人生の門出を親子三代にわたってお手伝いさせていただくなど、世代を超えて、この場所で物語が紡がれていくことこそ、当ホテルならではの特徴ではないかと思います。

――「ホテルニューグランド」発祥と言われる料理があるそうですね。

網倉さん:発祥に諸説あるものもございますが、「シーフードドリア」「スパゲッティナポリタン」「プリン・ア・ラ・モード」の3品が当ホテル発祥の料理とされています。誕生エピソードをひとつご紹介致しましょう。ホテル開業当初、“コック長は此のメニュー以外の如何なる料理にても御用命に応じます”との表記がメニューにあり、柔軟にご要望に対応しておりました。ある日、 “体調が良くないので、何かのど越しの良いものを”とリクエストされ、初代総料理長サリー・ワイルはその場にある食材を使って即興で一皿作ってお出ししました。それが「シーフードドリア」(当時は「シュリンプドリア」として提供)です。その後日本中に広まり、今も親しまれているこの料理は、ニューグランド生まれなんですよ。ご紹介した3品とも、今も変わらない味で、本館1階コーヒーハウス「ザ・カフェ」でお召し上がりいただけます。

「ホテルニューグランド」発祥の料理
「ホテルニューグランド」発祥の料理

「ザ・カフェ」以外にもホテル内にはレストランやバーが5つあり、いずれもこだわり抜いた味を提供しています。ホテルニューグランドの味を受け継ぐメインダイニングである「ル・ノルマンディ」では、ソースやスープを何日もじっくり手をかけて作るなど、受け継がれたレシピそのままに、手間を惜しまない確かな味をお楽しみいただいております。イタリアンレストラン「イル・ジャルディーノ」では、イタリア各地の味を旅するようにお楽しみいただけます。イタリアからのお客様にも、故郷の味と変わらないと喜んでいただきました。また、お近くまでいらっしゃったら、ぜひバー「シーガーディアンII(ツー)」でカクテル“ヨコハマ”をお楽しみいただきたいですね。横浜の夕焼けを映したかのような美しいカクテルです。

さまざまな文化が調和する街、横浜

ホテルから望む「山下公園」
ホテルから望む「山下公園」

――歴史の一部として、じつに興味深い「ホテルニューグランド」ですが、その周辺にも魅力的なスポットが多いですね。

網倉さん:通りを挟んで「山下公園」があり、「中華街」や「元町」もすぐ近くにあります。全国的に知られる観光スポットが凝縮しているエリアと言えると思います。また、少し足を伸ばすと、日本の情緒を味わえる「三渓園」もあり、国際都市として異なるさまざまな文化が調和しながら“街”として独自の魅力をまとっていることが横浜の魅力だと思っています。新しい文化、新しい価値観を受け入れるという開港時からの姿勢を、これからも大切にする街であってほしいですね。

総務人事部、主任の網倉裕子さん
総務人事部、主任の網倉裕子さん

――もうしばらくすると「ホテルニューグランド」は、100周年を迎えることになります。将来の展望について聞かせてください。

網倉さん:今後も変わらず、多くの方に訪れていただけるように、この場所で過ごした大勢の方々のかけがえのない思い出を大切に、貪欲に先人の想いや歴史を究め、原点に立ち返りながら、時代に合わせて進化を怠らないように、100年・200年の時を磨いていきたいと思います。当ホテルを一度でも訪れたことのある方にとって、ここで過ごしたひとときがかけがえのないものとなるように、また、まだ当ホテルを訪れたことのない方に知っていただき、足を運んでいただけるように、一日一日を大切に、努めてまいります。横浜にお越しの際は、ホテルニューグランドに訪れていただければ嬉しいです。

総務人事部、主任の網倉裕子さん
総務人事部、主任の網倉裕子さん

ホテルニューグランド

総務人事部 総務人事課
主任 網倉裕子さん
所在地:横浜市中区山下町10
TEL:045-681-1841
URL:http://www.hotel-newgrand.co.jp/
※この情報は2017(平成29)年4月時点のものです。