スペシャルインタビュー

自ら考え、学びを深める今泉っ子。その原動力は教師の努力と地域の力

大きなショッピングセンターや高層マンションが次々と完成し、ここ数年で景色が様変わりしている「海老名」駅西口エリア。その地域を学区に含む小学校が、「海老名市立今泉小学校」だ。この学校は1981(昭和56)年に創立した市内でも新しい学校で、もともと田んぼだった地区に造られたため、校舎も校庭もとても広々としている。今回はこの今泉小の魅力について、校長の加藤秀夫先生にお話をうかがった。

子どもたちが主体的に考えられる環境づくり

海老名市立今泉小学校外観
海老名市立今泉小学校外観

――まずは、学校の概要について教えてください。

加藤校長:本校は1981(昭和56)年の創立で、今年で創立37年目となる学校です。海老名市の小学校では比較的新しく、2番目に新しい学校です。もともとこの地域には有鹿(あるか)小、上星(じょうせい)小がありまして、そこから分離するかたちで造られた学校です。

これまでの児童数の推移としましては、1985(昭和60)年ごろに最大となり、その後、少し前までは減少傾向にありました。ただ、ここ数年はマンションなどが増えまして、児童数も増加傾向にあります。今後数年の間にも、マンションが沢山できると聞いておりますので、さらに児童数は増えるのではないか、と予測しています。

市内でもトップクラスの広さを誇る校庭
市内でもトップクラスの広さを誇る校庭

――教育目標と、それに関係する具体的な実践内容についてお聞かせください。

加藤校長:学校目標としては「よく考える子、心ゆたかな子、健康な子」という言葉を掲げています。これを踏まえて、2017(平成29)年度の重点目標と「笑顔あふれる学校に向けて」という言葉をつくり、現在、この実現に向けて教職員が一丸となって取り組んでいるところです。

具体的な実践ということですと、まず、「よく考える子」という部分は、やはり「主体的な学び」から育っていくものだと考えていますので、授業の中で「考える」ということを大切にしています。

学校教育目標
学校教育目標

たとえば、授業を組み立てる時には、先生からすべてを「与える」ような内容ではなく、子どもたちが積極的に考え、子どもたち同士がコミュニケーションをとって、それを中心にして成り立っていくような授業計画を組み立てていくようにしています。

また、本校では英語活動を校内研究のテーマの一つとしています。通常、外国人講師が主となって授業を進めていくことが多いのですが、今泉小の場合は、担任が主となって授業を進めています。そのほうが、子どもたちがより主体的に活動できるだろう、という考えからです。その中で、外国人講師をうまく組み込んでいく、という授業の形を取っております。

3年生の英語授業の様子
3年生の英語授業の様子

このほかにも、授業中の発問についても細かく気を配ったりしながら、子どもたちが自分の考えをまず持ち、そのうえで全体で話し合うことができるような授業を作れるように、非常に工夫をして、心がけてくれている先生方が多いです。

――そのような授業展開に対して、子どもたちの反応はいかがですか?

加藤校長:やはり、子どもが発言をした時の、それに対する反応が良いですね。「同じです」とか、「違います」とか、そういった言葉が授業の中で自然に出てきます。先生方も、そういったつぶやきの中から新たな課題を拾って、また別の提示をしています。そういった中で、より深い学びが実現できているのではないか、と感じています。

教室風景
教室風景

ただ、こういったことは教師の手腕にもよるところが大きいので、最初からすべての先生にできることではありません。そのために、本校では先生方の自主的な勉強会として、「学力向上委員会」というのが開かれていまして、これは放課後の4時過ぎから自由参加の形で、月に1回行われています。

この向上委員会というのは、経験の浅い先生に対して、ちょっと先輩の先生が「こういうやり方もあるよ」「こうするとうまくいくよ」といったかたちで、実例などを紹介しながら共有していくものですが、こういった動きも良い授業につながっているのではないか、と思っています。これは業務外の時間ですから、先生方もとても楽しそうに、フランクな雰囲気でやっています。

屋外での授業風景
屋外での授業風景

 

保護者や地域による「学校応援団」の取り組み

――「えびなっ子スクール」や「ふれあいパーク」といった、地域の方々が主催する楽しい企画もあるそうですね。

加藤校長:そうですね、「えびなっ子スクール」については、夏休みに入った最初の3日間ぐらいに行われているものでして、普段の学校の授業ではできないような内容、たとえば、お花を活けたり、詩吟の先生に来ていただいて詩を作ったり、いろんなブースを作って、そこに子どもたちが自由に参加しています。これは地域の人や保護者で作る「学校応援団」という組織が企画してくださっているもので、例年、1日200人くらいの子どもたちが来ています。

「今泉ふれあいパーク」というのは、これも「えびなっ子スクール」と似ていますが、土曜日の授業参観の後に行われているお楽しみイベントです。こちらはPTAの方が中心になって、いろいろな遊びをするブースを作ってくださっています。前回は缶積み、的当て、ストラックアウトなどが行われていました。

――その他、特徴的な年間行事について教えてください。

加藤校長:一つ特徴的なのは、5年生で取り組んでいる、田んぼ関係の作業です。田植え、稲刈りといった作業を、地域の方の協力のもとで体験させていただいています。それ以外にも、稲を使ったしめ縄飾り作りも行っています。これは市内でも珍しいと思います。

こうした体験を通して、子どもたちに地域のことや、農業のことを知ってもらえれば、ということで、伝統的に行われているものです。主に協力していただいている方は、地域にお住まいのもう80歳を過ぎた方なのですが、すごく元気な方で、積極的に、強い思いを持って協力してくださいっています。

地域の方によるしめ縄飾りづくりの様子
地域の方によるしめ縄飾りづくりの様子

――小小連携、小中連携の現状や、今後の予定などについてお聞かせください。

加藤校長:小小の連携については、今まではほとんど行われてきませんでしたが、今年度から始めていこうと、検討している最中です。本校の児童は今泉中に進学しますが、同じ今泉中学校区である上星小と、田んぼの作業を共同で行うようにできないかなど、調整を進めているところです。今後もこういった小小連携は増やしていきたいと思います。

また、小中の連携については、カリキュラムの都合などもあり、子どもたち同士の連携や交流といったものは比較的難しいのですが、教員同士の交流や連携には力を入れています。本校から今泉中に行って授業を参観をしたり、逆に、中学校の先生が来て、小学校の授業を参観するということは従来から行っています。今後はこういった機会をより効率的に多く持てるように、スケジュールの共有も図っていきたいと考えています。今年度もすでに、行事や校内研究会の日程を中学校に送って、その中で、来られる時には来ていただく、というかたちを提案しています。

――地域の方々や、保護者との連携についてお聞かせください。

加藤校長:先ほど触れた「学校応援団」をはじめ、図書ボランティアや、「おやじの会」という父親会のメンバーも含まれていて、そういった組織の方々と、様々なかたちで連携や協力を行っています。

ユニークなものでは、「花咲(はなさか)クラブ」というものがあります。これは保護者の方のボランティア組織でして、学校内にたくさん花を植えていただいたり、夏にはゴーヤのグリーンカーテンを作っていただいたりしています。毎年、卒業式で飾っている菜の花も、このクラブの方が育ててくださったものです。

校内にもたくさんの草木花が。写生をする子どもたち
校内にもたくさんの草木花が。写生をする子どもたち

そのほか、地域の方が1年生の下校時間に合わせてパトロールしてくださったり、1年生の生活科の授業の中で昔あそびを教えてくださったり、といったものがあります。地域の皆さんには、本当にいろんな場面で助けていただいています。

――周辺には企業や研究所もありますが、そちらとの連携や協力などはありますか?

加藤校長:すぐ近くに「リコーテクノロジーセンター」という研究所があり、そこの方が「えびなっ子スクール」でブースを開いてくださるなど、折に触れて協力いただいています。授業で連携をするというのは現時点ではありませんが、今後生まれていけば良いですね。
また、本校のすぐ隣には「産総研(神奈川県産業総合研究所)」がありまして、こちらには毎年、1年生が虫捕りでお邪魔させていただいたり、どんぐり拾いをさせていただいたりしています。今年度からは、2年生が産総研の玄関脇に花を植えて、育てていくという活動を取り入れていきたいと検討しています。

その他、企業や大学等との連携という点では、「学校応援団」を介して、昨年度は3年生の授業の中で、ヤクルトとカルビーの方に来ていただく機会が持てました。今年度は横浜国立大学の吹奏楽団を呼んで、芸術鑑賞会をできないかと検討しているところです。

――では最後に、学校周辺の子育て環境としての魅力を教えてください!

加藤校長:やはり、「海老名」駅という大きな駅が近いわりにはとても静かで、今でも田んぼなどの自然も残っている、という点でしょうか。平坦な地形というのも、小さなお子さんを持つ家庭には魅力かもしれません。

駅から少し歩くだけで、豊かな田園風景が現れる
駅から少し歩くだけで、豊かな田園風景が現れる

あとはやはり、この今泉小ですね。先生方はとても活気があって研究熱心ですし、子どもたちも穏やかで落ち着いていて、勉強熱心です。保護者の方も学校に対して協力的な方が多いですし。笑いがあふれる、良い学校だと自負しています。

海老名市立今泉小学校 加藤校長先生
海老名市立今泉小学校 加藤校長先生

海老名市立今泉小学校

校長 加藤秀夫先生
所在地:神奈川県海老名市上今泉2028
電話番号:046-232-2295
URL:http://www.imaizumisyo.edu.city.ebina.kanagawa.jp/
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。