「ゴッデスインターナショナル株式会社」代表 鈴木正さんインタビュー

茅ヶ崎に本物のサーフィン文化を根付かせた「ゴッデス」。 自然と向き合いシンプルに人生を謳歌する。

日本のサーフィン文化について語るとき、必ず登場するのが“鈴木 正”という名前。新潟県に生まれ、高校生のときに家族で茅ヶ崎に移り住み、25歳で渡米。日本に本場のサーフボードのシェイプ(サーフィンボードの原型をデザインして削ること)技術を持ち帰り、サーフィンを広めた第一人者で、今なお現役のシェイパー(サーフィンボードを削る職人)でありコンペティター(たくさんのサーフィンの大会に参戦する選手)でもあります。今回は、彼がオーナーを務めるサーフショップ「ゴッデス」を訪ね、サーフィンへの想いや、茅ヶ崎の街についてお話を伺いました。

少年時代に偶然見たサーフィンの風景

――鈴木さんとサーフィンとの出会いを聞かせてください。

鈴木さん:中学生のとき、入院先の病院にたまたまサーフィンの光景を切り取った写真が飾ってありました。その後新潟県から茅ヶ崎に移り住むことになり、茅ヶ崎の海を見て、病院で見たその写真のことを思い出したんです。波が似ていたので、同じことができるかもしれないな、と。まだ世の中に「サーフボード」という言葉すら知られていない時代のことですから、自分でつくるしかなく、そこでベニヤ板を買ってきて製作したのですが、まったく話になりませんでしたね(笑)。

日本のサーフィン文化の先駆者・「ゴッデス」鈴木正さん
日本のサーフィン文化の先駆者・「ゴッデス」鈴木正さん

諦めかけていたときに、たまたま七里ヶ浜でサーフィンを楽しんいる外国人がいたので、頼み込んでやらせてもらいました。そして次に会う約束をしてサーフボードを譲ってもらうことになったのですが、大卒の初任給よりも高い買い物になりました。本当は自分の手でつくりかったのですが、ウレタンフォームを使うべきなのに発泡スチロールを使ってしまうなど、苦労を挙げたらそれこそ切りがありません。

本場アメリカで名シェイパーと出会う

――渡米されて、本場の技術を学ばれたそうですね?

鈴木さん:独学でのサーフボードづくりに限界を感じていたときのことです。池袋の百貨店にサーフボードが飾ってあるというのを耳にして訪ねていくことにしました。そこで見たサーフボードの完成度に愕然となり「これは本場に行くしかない」という考えに至ったのです。

自社製のサーフボードがずらりと並ぶ「ゴッデス 茅ヶ崎本店」
自社製のサーフボードがずらりと並ぶ「ゴッデス 茅ヶ崎本店」

当時は簡単にはアメリカに入国できない時代でしたが、ある縁で知り合ったビル・ヒューリーさんというアメリカ人に身元引受人になってもらったことでビザを取得できたわけですが、教えられた住所にたどりつくまでの道中はスーツケースを盗まれたりなど、本当にいろいろなことがありましたね。この辺りのことは、自著にも書いてあります。
苦労したことも多かったのですが、身元引受人になってくれたビルさんは、驚いたことにサーフボードを削る名シェイパーでした。彼の元にステイした約5ヵ月の間に本当にさまざまなことを学ばせてもらい、シェイプに必要な道具を手に入れて帰国しました。

サーフィンのない人生は考えられない

初心者からプロまで信頼を寄せる
初心者からプロまで信頼を寄せる

――現役のサーファーでありシェイパーでもある鈴木さんですが、サーフィンの魅力とは?

鈴木さん:サーフィンに関連しないことは、すべてが不要と感じるくらいの圧倒的な面白さがあります。サーフィンをするためには、まず健康を維持しなくてはなりません。ですから煙草も吸いませんし、お酒も飲みません。

店内に飾られた、数々のトロフィーや賞状
店内に飾られた、数々のトロフィーや賞状

ベスト体重をキープしないといけないので、栄養バランスやカロリーにも気を使わないといけないのですが、それもサーフィンを楽しむためのことですから苦しいと思ったことはありません。自然と向き合い、心が静寂となる、じつにシンプルな感覚を得られるのがサーフィンではないかと思います。

絶対に良いものをつくる、という揺るぎないポリシー

――「ゴッデス」としてのポリシーやこだわりを教えてください。

鈴木さん:自らシェイプし、それに乗って大会に出ることで製品の良さを立証できるというのが「ゴッデス」の強みです。ここまでくるには紆余曲折もありましたが、それでも一貫して、“絶対に良いものをつくる”という思いを大切にしてきました。継続は力なりという格言もありますが、もし途中でサーフィンに関係ないことに手を出したり、根底にあるものを忘れたりしたら、現在の「ゴッデス」はなかったと思います。

シェイプしたボードを自ら使用することで品質を高めてきた
シェイプしたボードを自ら使用することで品質を高めてきた

鈴木さん:近年、オンラインで買い物をされるケースが増えてきましたが、雑貨や洋服であれば大きな問題はないと思いますが、やはりサーフボードのように高価で、身を預けるものについては現物の確認が必要だと思います。その意味では、よりたくさんの商品が置いている大型店が有利になりますが、「ゴッデス」には、サーフィンを始められたばかりの方からプロサーファーまでやってきますよ。

「ゴッデス 茅ケ崎本店」外観
「ゴッデス 茅ケ崎本店」外観

茅ヶ崎の魅力と未来への想い

――茅ヶ崎の海ならではの特徴とはどのような点でしょうか?

鈴木さん:良い意味でも悪い意味でも、近くに駐車場がないことが大きいですね。それによって昔からの雰囲気が保たれています。サーフボードを持っているのは地元の方が大半なので、その多くが顔見知りだったり友だちたったり(笑)。それと、同じ茅ヶ崎でもポイントによって波が違うので、目的やレベルに合わせて選べることができるというのも魅力だと思います。

様々な人がサーフィンを楽しむ茅ヶ崎の海
様々な人がサーフィンを楽しむ茅ヶ崎の海

――茅ヶ崎の地域の魅力と、街への想いをお聞かせください。

鈴木さん:湘南エリアのなかでも、最もゆったりとした時間が流れているように感じます。人も自然も街も“湘南らしさ”が残されています。景観は変わりつつありますが、それでも強い想いで、「茅ヶ崎の街を守ろう」という方が多くいます。

子どもが多い街なので、サーフィンに限らずこの環境を活かし、街全体で子どもを育てるという姿勢が広がってくれればと思います。子どもは宝です。私としては、その宝が大きくなって、ライフスタイルのなかにサーフィンがある大人になってくれれば、とても嬉しいですね。

鈴木さんは、何よりも自分自身が徹底的に楽しむことでサーフィンの面白さを伝え続けている
鈴木さんは、何よりも自分自身が徹底的に楽しむことでサーフィンの面白さを伝え続けている

ゴッデス
ゴッデス

ゴッデス 茅ヶ崎本店

オーナー 鈴木正さん
所在地:神奈川県茅ヶ崎市中海岸3-9-20
TEL:0467-86-1173
URL:http://www.goddess.co.jp/
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。